2015/11/26

H-IIAの夜光雲?

11月24日の15時50分、種子島からH-IIA 29号機が打ち上げられた。
その後、日没後1時間の関東で不思議な雲を見たので、方位や距離を調べてみた。

17:23  東京都 調布市  RX100M3  1/4秒 ISO800 焦点距離21.4mm
11月24日 17時20分ごろ、作業が一段落したので、見晴らしの良い場所から西の空を見ると、日没後の南西の方角に普段とは違う雲が見えた。

 夕焼けの名残りで僅かに赤い西の空に、輝く白い帯状の雲があった。 一番白い場所では、彩雲のような細かい虹色の模様が見える。
けっこう遠くまで広がっているらしく、尾は暗くなりながらも、南まで延びているようだった。

その時は、珍しい飛行機雲かなと思い、カメラをとりに戻って、何枚か手持ち撮影した。 風が冷たく、良いカメラでの撮影はそれきりになってしまった。

17:30 iPhone6s 1/15秒 ISO2000  トリミング済み

17時30分 一旦カメラの写真を吸い出しに戻ったあと、もう一度、空を確認しに戻った。夕焼けの光が消えて、暗くなってからも、青白っぽい雲はかろうじて観察できた。

関東圏の広範囲で、この雲は目撃されていたようで、たくさんの人が写真をアップロードしていた。
http://togetter.com/li/904464

 24日の日没時刻は4時半ごろなので、5時半に輝いていた雲はかなり高高度であると思われる。
ネットで検索しながら写真を見返すと、 夜光雲と特徴が似ている。

 夜光雲そのものは、高緯度で見られる珍しい現象なようで、 高度80km付近の中間圏で、氷の結晶を主成分とした雲が発生し、日没後や日の出前の上空で、太陽光を反射して白く輝いて見える。

 日常的な微小な流星塵や火山の噴出物などが核となり、氷の結晶に成長するらしい。

ロケットの打ち上げが人工的に夜光雲のような発光雲を引き起こす事も知られている。 となると、H-IIAの打ち上げが関係していてもおかしくなさそう。 ロケットの排気によって氷の結晶ができたのだろうか。

ロケットが高層大気で引き起こす現象は神秘的に見えるものが多くて、探すとたくさん見つかる。
いずれも観測地では日没後や夜間で、ロケットの飛翔経路には日照があるというタイミングだ。

H-IIAロケットの飛翔経路

ちょっと古い資料だが、29号機と同じく、204型で、静止軌道へ投入された11号機の飛翔データ(kml形式)が公開されている。 GoogleEarthで読み込むと、グリグリ動かして確認できる。

第一段までのシーケンスは、両者でほぼ同じだ。

   29号機の打ち上げ計画書 http://www.jaxa.jp/press/2015/09/files/20150918_h2af29.pdf
   11号機のデータ、kmlファイルの場所 http://www.jaxa.jp/countdown/f11/


H-IIA 11号機のロケット飛翔経路データ
 飛翔経路によれば、H-IIAの経路は雲と同じ方角から始まっている。 山の近くで、だいたい90km程度の高度がある。

方位の特定

方位については、ランドマークとなる地形や建物から、おおよそのものを特定した。
その結果が、以下のGoogleEarthで表示した線となる。
線を延長すると、おおよそ種子島の方角と一致する。
ただ、画面左側にも帯は続いているので、その先端についてはもっと太平洋側に張り出しているのかもしれない。




方位とH-IIAの飛翔経路を表示させてみた。 それぞれのイベント時の高度を付け加えている。

仰角の特定


仰角については、星を使う。
写真にはかすかだが、恒星がいくつか写っていた。 ノイズも多いので、手ブレしていたカットでぶれた星像があったものを選んでプロットし、Stellariumというフリーソフトで同じ方角の星図を表示して、Photoshopで簡易的に合成してみた。



写真だと70mm換算で撮影していたので大きく見えるけど、実際はそれほど大きくない。 写真で輝いていた部分は、仰角にして5°から7°、 方位角にして25~30°程度の範囲に広がっていたようだ。

その時点で日照がある高度と地点


AGIのSTKという航空宇宙用の解析ツール(フリー版)を使い、単純な検証として、当時の時刻で太陽が見える緯度経度と高度を強引にあたってみた。

方位で設定した方位Aと方位Cの線の上にある高度を見てみることにする。
写真から、方位Aの雲は仰角7°、方位Cは仰角4°となる高さにあると仮定して、
仰角の延長線上で、かつその高度で日照がある場所を探す。

今回は1地点のデータなのと、雲が見えなくなるまで観測したわけではないので、雲の高度における日没が正確にはわからない。
今回は、写真の時刻から10分程度日照がある範囲なら良しとする。

おおよその地点を設定。 数値は各ポイントの高度と観測点からの距離、仰角

方位Aでは、四国の室戸岬のあたりに1Aを、四国と紀伊半島の中間に2Aというものを設定した。 それぞれ観測点からは同じ角度に見える高度に設定。 どちらも太陽が見えるが、当然1Aのほうが日照時間が長い。

方位Cでは、室戸岬の南の海上に1Cを設定してみた。 仰角が低いため、同じ高度でも遠くになる。


位置関係
当時の時刻(UTC)のとき、1Cから太陽を見たところ。

 仰角と日照高度の情報によれば、四国沖~紀伊半島沖の高度80km付近に雲が存在していたことになる。
中間圏で雲ができる高度の条件は満たしていそうだ。 

座標については、日没時刻の解釈で前後に誤差が大きい。
四国や和歌山などではほぼ真上に見えたはずだけど、衛星画像や過去の予報では曇りだったようだ。 単純に観測できなかったのだろうか。

それにしても、あの雲が種子島から打ち上げられたH-IIAがもたらしたものだとすると、遠く関東でロケットの引き起こした現象を観測することができたということで、なかなか感慨深い。

追記

ひまわり8号の画像から分析している方のブログ記事

ひまわり8から見たロケット打ち上げ ~ H-IIA F29のロケット雲を宇宙から見よう!

http://blog.syo-ko.com/?eid=2328


ロケット雲の発生と、流れていった方角が写真の雲と一致している様子。
雲については、固体ロケットのSRBが発生源であるようだ。

2015/11/06

白金温度センサ

白金温度センサは測熱抵抗素子(RTD)の一種。 測定できる温度レンジが広いこと、かつ温度特性が広範囲で直線的なので、高精度な測定に用いられる。
JIS規格でPt100と呼ばれ、0度で100Ωを示すように調整されている。

普通のサーミスタと比べるとだいぶ値段が張るけれど、秋月で購入してみた。 PTFA101B000というもの。
-50~600℃の測定レンジを持つ。 もう一種類あったけど、そちらのほうが小さくて安い。

白金電極のパターンが見える

そのままデジタルマルチメータに接続して、抵抗測定モードで計測すると、気温に比例した抵抗値が表示されていた。 測定レンジ的には、はんだこてにセラミックのセンサ部を当てても大丈夫
氷水で校正すれば、かなり正確な値を示すようだ。


測定回路としては、1mAまたはそれ以下の定電流で駆動するとある。 手元のマルチメータだと600Ωレンジでは0.57mAで測定していた。 これ以上だと自己発熱が大きくなってしまう。

とりあえず、部品箱の電流源ICとしてLT3092があった。抵抗をセットすれば、0.5~200mA出力の電流源になる。 これも秋月にあったもの。  センサ用としてはややパワフルすぎるかもしれない。


簡単な確認ということで、直読しやすいように1mAで駆動することにする。 SET端子からは10μAが出力されているので、OUT端子の抵抗値はそれを加算して1mA程度になるように抵抗値を選ぶ必要があった。

今回は、手持ちの10kΩと、100Ω抵抗から、101Ωに近いものを選別した。
 抵抗値の誤差もあり、現実には1.02mA程度の出力となった。 可変抵抗にすると良いかもしれない。


オークションで入手した電源装置。 

まだ誤差を追い込んでる途中だが、出力電圧はmVをΩに換算すれば、そのまま読める。
OPアンプで増幅し、LPFを組んでADCに入力すると良さそうだ。

 RTD向けの電流源としては、REF200という外付け部品無しで100μA出力を2つ持つカレントリファレンスがある。 組み合わせで400μAまで簡単に生成できる。 RTD用の回路例も載っていて、こちらのほうが簡単に組めそうだ。 (これも結構単価が高い)

配線を延長する場合は、3線接続やケルビン接続で配線抵抗をキャンセルするのが良いらしい。
Digikeyなどを漁ると、PT1000という1kΩの高抵抗なタイプもあり、PT100よりも高精度の測定に向いていそうだ。

TIによるRTD回路のアプリケーションノート http://www.tij.co.jp/jp/lit/an/jaja306/jaja306.pdf

2015/10/18

PIC32MXでIrDA送受信の実験

Bluetoothが流行る前といえば、機器間通信は赤外線だった。 そろそろ赤外線でアドレス交換したことの無い世代が増えつつあるのかな・・・

さて、16/32bitなPICのUARTには、IrDA SIR規格のエンコード/デコード機能がある。

IrDA規格のトランシーバーをつなぐだけで、最高115.2kbpsの赤外線通信ができる。

以下は、プロトコルスタックに触れる前に嵌った点についての記録。 なおIrCommについては、Microchip社からアプリケーションノートとプロトコルスタックのサンプルプロジェクトが入手できる。


機能自体は、UARTのポート初期化時に、UART Modeレジスタのbit12を設定するだけで有効化できて簡単。

 今回は、PIC32MXのArduinoAPI互換環境であるMPIDEのコアライブラリを少し改造し、ハードウェアUARTの初期化ルーチンでIrDAのbitを有効化してみた。 

PIC32MX250F128BのUART/IrDA 115200bps

画像は、UARTの時とIrDAのTX波形を観測してみたところ。(解析されたIrDAのbitオーダーがバグってる気が…)

IrDA規格では、ボーレートの16倍のクロックを基準に3クロック幅のパルスが使用される。 115.2kの場合、パルス幅は1.63usとなる。

エラッタ?

実際は、一部の機種で受信ができなかったため、だいぶ嵌っていた。

 PIC32MXにはリリース時期によって2種類の周辺バスがある。 初期のピン機能固定のシリーズ、後発でPPS(ペリフェラルピンセレクト)に対応したもの。 両者ではエラッタリストの内容がだいぶ違う。
 初期のシリーズのエラッタシートを読むと、IrDAについて不穏な記述があった。 よく読むと規格のパルス幅の最小値では受信できないらしい。それだけならボーレートを変えれば特に問題はなさそうだが・・・。

当初、PIC32MX340Fで実験していたが、送信はできても、受信ができなかった。 2つあるUARTポートを交換しても、 MPLABXでIrCommのサンプルをいじっても、IrDAモードで沈黙する。 後発のPIC32MX250F128Bだと問題なく信号をやり取りできるのに・・・。

ところが、初期シリーズの最上位バージョンであるPIC32MX795F512Lで試してみたところ、こちらは送受信ともに正常だった。  ポート2つの石だとダメなのか、リビジョンやロットに起因するものなのか。まだ検証できていない。

IrDAトランシーバーの波形仕様

IrDAトランシーバーにも、微妙な機能差がある。

 とりあえず部品箱に眠っていた秋月のIrDAモジュール(ROHM製)を使ってみたところ、このモジュールは受信波形をボーレート関係なく1.5μ秒に整形するタイプ。 どのビットレートでも同じパルス幅を検出できるようになっているようだ。

 赤外線通信式のモバイルプリンタのジャンクから取り出したモジュールはSharp製で、こちらは素直にパルス幅をそのまま出力してくれる。  

GP2W0116YPS(Sharp)とRPM851A(ROHM) 対応する規格は順に1.2 、 1.0

Kindle PaperWhite(2015)


Kindle Paperwhite(2015) Wifiモデルが届いた。 グローバルモデルのKindle Touchを3年使い続けてきたが、日本語ストアにアクセスできないのがネックだった。

 解像度が300ppiになった利点については、洋書での比較は解像度ごとにフォントが最適化されていることもあって、読み進む上ではあまり意識することはない。
 日本語や漫画、PDFの細かい表示では、レスポンスの向上も相まって、かなり効果がある。
それよりも、バックライトによって、表示の読み取りやすさが環境にあまり左右されないのは嬉しい。

利用可能な内蔵辞書の数も増えていて、語学的な観点でもだいぶ充実した端末になっている。

2015/09/14

ウォルターの亀の子孫たち


 時は2015年。ロボット掃除機も普通にリサイクルショップに平積みされる時代。

 真の名は自動掃除機。 掃除の定義を集塵に絞り、ダストボックスの中身は人間が廃棄する。
まだ全自動掃除機への進化の余地を残していそうだが、それは制度や家の設計から始める必要がありそうで別の話になってしまうかも。

 立ち寄った中古屋では2~3年前のルンバが多く、ついで低価格な類似機種たち、割と希少な日本の製品と続く。 きれいな状態のものが多く、様々な家庭事情がうかがえる。

 歴史的な視点で陳列棚を見渡すと、ルンバの初代機(Discovery)の箱付き品があった。箱の側面に、ゲンギスからPacbotに至る、iRobot社の歴代のロボットたちが紹介されていて、科学教材のような雰囲気をまとっている。このあたりのいきさつは、ロドニー・ブルックスの著書に載っているのでおすすめ。(Flesh and Machines / ブルックスの知能ロボット論)

 ロボット台車としてのルンバは、DINコネクタを介してシリアル通信によるコマンド制御が可能なのだが、箱も含めてわりとデカい。
 アメリカンサイズゆえに、重くて置き場所に困りそうなので見送る。 かわりに小さめで安いロボットクリーナーをみつけた。 ツカモトエイム製 AIM-RC03というモデル。 ニトリの掃除機コーナーでよく見かける低価格機だ。 ブラシ欠品のため安く手に入った。

 仕様は、14.4Vのニッケル水素バッテリ、充電は手動。 




積みがちなボードコンピューターに足を生やすにはもってこいかもしれない。


中身の観察


足回り




 ネジ一本で止められている筺体底面の蓋を開け、モーターのケーブルを外すとギアボックスごと取り出せた。裏にサスペンション用バネがある。 とても交換修理がしやすそうだ。


ギアはウォームギア、モーターはJXD-RK370(8V 8000rpm)  370系モーター?


基板


 大きく分けて、ニッケル水素電池の充電回路、モータードライバのブロック、センサと制御マイコンがある。
マイコンっぽい石は製造元がよくわからない。

コンパレータが幾つかあり、充放電と健全性確認に使われている。

 モーター電圧はDCDCによって8Vが生成され、足回りの2つのモーター、回転ブラシ用モーター、吸気ファン用モーターに給電されている。それぞれパワートランジスタでON・OFFできるようになっていて、床が検出できない状態などが続くと、モーターは止まるようになっている。

走行モーターはパワートランジスタによるハーフブリッジ回路になっていた。

床検出用の反射センサが3つ、前部のバンパーもフォトインタラプタによる検知だ。 

放浪者

  吸引モーターとブラシのモーターを取り外して、しばらく走らせてみた。 基本的に、バンパーか段差検知が働くと、少しバックして回転し、回避行動をとる。 走行パターンは3つあり、らせん走行や障害物まで直進するバンパー走行、壁伝い走行を数分ごとに遷移する。 場当たり的ではあるが、局所解にはまって行動不能になることはほとんどない。走行パターンの遷移が脱出につながる。

 この製品は、筺体が小さめなことが有利に働いて、狭い通路もはまり込まないし、オフィスチェアーの下を器用にくぐり抜けたりする。 モーター音が静かなら、部屋の中で放し飼いにしてもいいかも…。 バンパーが物に当たる音や、吸気音、走行音が筐体から響いてしまうのがやや難点か。 

廊下を片付けて実験。 明かりを消して、 5分ほどの走行の様子を、本体のLEDの軌跡で蓄積してみた。
 1分露出を5~6枚合成している。 赤と緑のLEDが交互に点滅するので、ホタルが飛んでいるみたいだ。 光の密度でどこでたくさん滞在していたかがわかりやすい。


 壁伝いとバンパー走行の軌跡が確認できる。 らせん走行は確認できなかった。
掃除効率が床の障害物の密度に左右されるので、広いフロアは等間隔に障害物を置きたくなってくる。 自動掃除機ユーザーが部屋の最適化を図りだす動機が何となくわかり始めた。
(高級機種になるとLIDERやカメラを搭載して、環境地図をつくりながら、まんべんなく掃除できることを売りにしている)

長くなったので、改造はまた今度に。

 ウォルターの亀というのは、1950年台にグレイ・ウォルターという人が造った電気仕掛けのロボットのこと。 生物を模倣するために、単純な反応を組み合わせて複雑な行動を生成することを目的に作られている。 壁伝いに周囲をうろつき、腹がへる(バッテリ電圧が低下する)と巣に戻り、自動的に給電を受けるようになっている。
ロボット掃除機たちの祖先といえる。


2015/09/02

RFダミーロード


 無線機の動作確認に便利なダミーロードを製作。 

100Ω3Wの金属皮膜抵抗をパラで50Ωにしたもの。(マルツで購入)

一応6Wまでは規格上、10Wくらいまでは短期間でなら使えそう。放熱の問題になってくるので、テスト用に1W未満でしか使わないけども…。


特性的に、UHFまで大丈夫かどうかは今度測定器を借りて確かめる予定。

追記: ネットワークアナライザでVSWRを測定してもらったところ、VHFで1.4 UHFで2.5となった。3以下ではあるようだ。


念のため、カプトンテープを巻いた上から銅のシールドテープを巻いて綴じこみ、はんだ付けしてケージングとした。



写真のアルミケースは自由空間損失を模擬するために作った1Wの通過型アッテネータ。秋月で扱っていた通過型アッテネータを幾つか組み合わせて合計140dBの減衰量にした。 QRPな電波を模擬するのに便利だが、漏れ出てる成分が多そう…。

2015/08/30

オシロ導入(DS1054Z)

RIGOL社の低価格オシロ、DS1054Zを購入。 趣味で使うには十分すぎる機能がそろっている。

5万円前後だとほかにもいろいろあるけれど、音声帯域の信号や突入電流などのアナログ波形を見ることに使いたかったので、波形の64階調の表示が可能なこの機種にした。

Aliexpressで発注して、1週間ほどで届いた。 梱包を取り除くと、開けたての電子機器のにおいが漂う。筐体は思っていたよりも小さかった。

おなじみのAM変調波形をWaveGeneで作成して入力。


動作中、冷却用のファンの音がそれなりに聞こえる。 20cm距離で環境音+20dBくらい。 風量を多めにしている様子。

 あとはDDSを引っ張り出して、正弦波を25MHz程度まで入力してみたりしたが問題はなかった。

プローブのテスト用の方形波出力をみたもの

FFT
AD5700によるFSK

2015/08/13

CAL.430FRの開発(7) ADXL362のテスト


CAL.430FRにはADIの3軸加速度センサ ADXL362を搭載してます。

SPI接続で、動作時でも数μAしか消費しません。 コイン電池にはうってつけです。

割り込み出力が2系統あり、振動トリガ、ジェスチャ検知といったレジスタが用意されています。ふるまい検知によってマイコンを起こし、タスクを実行させるといった使い方で、消費電力の削減ができます。

とりあえず、動作確認のために前回紹介したEnergia IDEを使い、ライブラリを利用してADXL362を動かしました。 画像は1Hzで各軸と温度センサの値を画面に表示させています。

Energiaで書いたプログラムを動作させる場合、特にスリープといった処理は入っていないので、CR2032で動かしてもそれほど保たないはずですが、この記事を書いている現在で2週間ほど動作し続けています。 電池電圧の降下率が上がりはじめたので、そろそろ放電カーブの曲がり角に近づいてきているみたいです。 電池からダイオードを挟んでいるため、0.3Vほど電圧降下している分、最後はやや使い切る手前でMSP430のBORが働くことになります。

CAL.430FRのセンサ情報ですが、ADXL362の3軸加速度、温度の他に、MSP430FR内蔵の温度センサ、分圧された電源電圧が取得できます。 外付け部品無しにコイン電池の電圧もわかるので便利です。 

2015/06/21

バッテリレスデジタルウォッチ AL-190W


カシオのバッテリレス腕時計 AL-190Wを買ってみた。
逆輸入モデルで、チープカシオと呼ばれる価格帯の製品。

太陽電池が文字盤の半分を堂々と占めている。 今時のソーラー腕時計は、安価なモデルであっても透過性の文字盤の裏に隠すのがあたりまえになっているので、とてもあからさまにソーラーである。

メモリ液晶な腕時計を作るまでは特に興味無かったけれど、最近これがかっこよく見えてきた。 

技術的には、バッテリレスの回路構成にも少し興味がある。 太陽光のみで稼働する様子は、デザイン的にも宇宙機を思わせる。

この時計、バンド固定にはバネ棒が使われていて、一応18mmに対応している。ただ、ウレタンバンドのつけごこちはとてもよい。 高校時代に使い続けていたMQ-24と同じく、つけていることを忘れる。 個人的理由としては、腕が細いのであまり大きな時計が似合わないということもある。

 バッテリレスというのは、電池ではなく電気二重層コンデンサが入っているという意味だ。こまめに充電さえすれば電池寿命をほとんど意識せず動き続けるという。カタログ値では、一度のフル充電で2週間動作し続ける。

 開封直後で充電前の状態であっても、時計は起動した。 表示するだけなら、キャパシタの残電圧とは関係がないようだ。 充電電圧が低いと、残量警告マークが表示される。



分解をしてみた。細かいバネ構造がスイッチを兼ねていたりするので、無理なテンションをかけないよう慎重に取り出す。中のモジュールは3274というモデルで、ややデザインの違うHDD-S100というモデルと共通。

元に戻す時は、金具とスイッチの位置に注意が必要だった。パッキンの埃も綿棒などで取り除き、可能ならシリコンオイルを塗布する。

本来ならCR2032でもありそうな位置に、コインセル型のスーパーキャパシタが金具で固定されている。シールの型番には、EECE0EL205Nとある。 Nを除いて検索すると、データシートがヒットする。
パナソニック製で、2.5V 2Fのものがそれっぽい。

表のアモルファス太陽電池は5直列と思われるので、2.5Vが開放電圧となるはずだ。 キャパシタの満充電電圧に合わせてある。

メタル部分はGND電極、バッテリホルダ、スイッチを兼用。
基板を外すと、コンデンサ、樹脂モールドと水晶発信子、スピーカ-駆動用のインダクタ、トランジスタ ?がある
太陽電池とキャパシタの接続については、外付け部品が無いのでわからなかった。単純にダイオードOR構成のような気も。

太陽電池+キャパシタ+マイコンという構成だと、以前ソーラーライトキーホルダーでPICを動かしたのがお手軽だが、省電力設定を極めれば何かと使えそうな可能性を秘めている。

大事にすれば、文明が崩壊しても時を刻みつづけることができそうだ。 プラスチックの劣化を考えると、ステンレスモデルのほうが良いけれど…。

追記
買ってから一年ほど、散歩のお供として使っている。 特に窓辺に置かなくても、室内光で十分発電されているようで、電池警告マークが点灯したことは無い。
 使っている個体の特性かもしれないが、MQ-24等と比べると時刻が遅れやすい。 ただしスペックの範囲内には収まっているので、MQ-24(1330)が優秀なだけかも。

2015/05/10

TNC-22の修理


骨董品なタスコのTNCを見つけた。
古びた金属筺体のネットワークHubの山にTNCが紛れ込んでいるというパターン。 324円だった。

TNC自体はモデムも含めて、PCで完結するソフトウェア実装のほうが性能は良いため、実用面での必要は無くなってしまっている。  (大学衛星の地上局では、コマンド用にまだ現役だったりするけれど…)

TNC-22は、DIPとリード部品のみで構成されているわかりやすい作りで、Z80の周りに74シリーズがたくさん並んでいる。 今ならマイコン一つに収まる回路規模だ。

 ためしに12VのACアダプタを使って、スイッチを入れてみると、LEDが一瞬光るだけで、通電が途絶えてしまう。

ネットにアーカイブされていた取説を読みながら、バックアップ電池を交換し、RS-232を結線して、ちょうどその場にあったシグマリオンにつなぐ。 

スイッチを押しこみ続けると電源がついたままになり、ブートメッセージが表示されるので、電源スイッチが故障しているらしい。

内部の清掃がてら、ハンダを吸い取って基板からスイッチを取り外し、機構を分解してみた。 内部接点が錆びている。 研磨することで通電を確認できたので、元に戻した。 

改めてブートメッセージを読んでみると、ROMのソフトウェアは自分の生まれた年に書かれたもののようだ…。 
 送信ラインをモニターすると、おなじみのBell 202なピガー音が聞こえる。
 受信については、ハンディ受信機を接続して、APRSパケットを入力し、音声レベルを調節しているうちに受信に成功した。

 パケット通信をしたことある人達の文章を読むと、やはり1200bpsでは遅いという記述が多くて、アマチュア衛星の運用を思い出すのであった。 低軌道衛星との通信は距離がダイナミックに変化する。
まとまった大容量データをやりとりするのはかなりしんどい作業だった。

 意外だが、アマチュア無線のパケット通信とイーサネットはどちらもALOHANETというプロジェクトを祖先に持っている。
  

ジャンク HP200LXの修理


 HP200LXをハードオフのジャンク箱(ゴミ箱)から発見。 540円だった。 存在は知っていたけど、見るのはじめて。 コンパクトなので、よく見つかる古い電子辞書と誤認してスルーしそうになった。

単三電池2本で長時間稼働するモノクロ液晶のDosモバイル機だ。一度手に入れてみたかった。


モノクロ機といえど、20年の歳月はハードウェアの劣化として現れる。 液晶は中央が変色し、 樹脂筺体は脆くなり、ネジ固定部が2箇所割れていた。
 幸い、電池を入れた所、初期画面らしきものが表示された。液晶が変色して見づらいけど、回路は問題ないようだ。
 コミュニティ情報がかなり豊富なので、故障事例と修理例がたくさんある。とりあえずバラして、筺体の割れた箇所をエポキシ樹脂で補修した。

液晶の応急処置

ビネガーシンドロームが発生してしまった液晶は、偏光板と接着面を剥がすしかないようだ。
ドライヤーで温めてから偏光板を剥がす。 剥がした瞬間、酸っぱい匂いが強烈になる。

ゆっくり剥がしてみたが、変質した接着面がガラス上に残ってしまった。


 ハンズの偏光シートを置いてみると、接着面とガラス面で色が違う。 モノクロ液晶の接着面には光学材料が含まれているらしく、除去してしまうと元のコントラストを取り戻すことはできないようだ。

見えないよりマシなので、接着剤落としで溶かしつつ、すべての接着剤を取り除いた。


 左右の金属フレームの隙間に溶剤が残ってしまうので、気になってフレームを外して掃除した。
ハンズの偏光シート(接着剤無し)をちょうどいい角度で切りとり、上からスマートフォン用アンチグレア保護シートを貼って固定した。
液晶の裏には、ラインドライバのQFPがたくさん並んでいる。なかなかお目にかかれない構成。 このQFPもハンダ不良を起こしやすいようだ。 組み立てなおした直後は、ライン抜けが多発していたので、何度かはめ直したり、ハンダを載せ直してなんとかライン抜けを解消した。


コントラストが低下したため、周りが明るくないとやや見にくい。

イカから逃げる迷路ゲーム(プリセット)

なかなか本格的なターミナルとして使えるので、端子用のアダプタを作成中。
 拡張用のPCカードについても、SD/CFアダプタを持っているのでなんとかなるだろう。 電池の心配があまりいらないモバイル機っていいなぁ。

PCカード型SDカードアダプタを使い、64MBのSDカードを認識させてみた。 2GBのmicroSDカードもOKだった。 このへんの周辺機器は、WindowsCE機をレストアして遊んでいた時に揃えたもの。