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最近の基地局

閑話  近所に某社の4G基地局が生えてきた。柱の埋設を含めて工事は半日程度で終わっていた。今どきの基地局ハードウェアがどうなっているのかを詳細に観察できて面白い。  構成自体はアンテナ3基クラスタにGNSSアンテナという一般的な構成。腕がやけに太いなと思ったらRTSという電動架台が各アンテナに取り付けられているモデルだった。 Youtubeに開発元のプロモーション映像があり見てみると、遠隔で角度指定して首振りする様子が紹介されている。動いているのをみるともはやロボットである。  PVで謳われているように、一部で電動架台が採用されるメリットはいくつかある。都市部の基地局設置場所はすでに飽和しているので、後発局の立地は必ずしも見通しが効くとは限らない。近所に背の高い建物が建ったりすれば、伝播環境は変わってしまう。後からアンテナ方向の調整を行うにしても、微調整を人の手で行うのは大変だ。  開発元は設置から調整までのメンテナンスにかかる工数削減に加え、端末が集中するエリアへの能動的なビーム制御まで提案している。ついでに衛星通信もできたりしないかな…。  PVを一通り見たあと、静かにそびえる基地局を見上げていると、制御を乗っ取られたアンテナが腕の多い深海生物のようにゆっくりと蠢き始める姿を想像してしまうようになった(終)

Arduino Nano Everyを試す

 秋月で売っていたAtmega8と、感光基板でエッチングしたArduino互換ボードを製作してみて、次に本家ボードも買って…  と気が付いたら10年が経過していた。  ハードウェア的な観点では、今は32bitMCUの低価格化、高性能化、低消費電力化が著しい。動作周波数も100MHz超えが当たり前で、30mA程度しか消費しない。  動作電圧範囲が広く、単純な8ビットMCUが不要になることはまだないだろうけど、クラシックなAVRマイコンは値上がりしており、価格競争力は無くなりつつある。 そしてコモディティ化により、公式ボードでは不可能な値付けの安価な互換ボードがたいていの需要を満たすようになってしまった。     Arduino Nano Every https://store.arduino.cc/usa/nano-every https://www.arduino.cc/en/Guide/NANOEvery  そんな中、Arduino本家がリリースした新しいNanoボードの一つ。  他のボード2種はATSAMD21(Cortex-M0+)と無線モジュールを搭載したArduino zero(生産終了済み)ベースのIoT向けボードだが、 Nano EveryはWifi Rev2と同じくAtmega4809を採用していて、安価で5V単電源な8ビットAVRボードだ。  Atmega4809はATmegaと名がついているが、アーキテクチャはXMEGAベースとなり、クラシックAVRとの間にレジスタレベルの互換性は無い。   https://blog.kemushicomputer.com/2018/08/megaavr0.html  もちろん、ArduinoとしてはArduinoAPIのみで記述されたスケッチやライブラリは普通に動作するし、Nano Every用のボードオプションとして、I/Oレジスタ操作についてはAPIでエミュレーションするコンパイルオプション(328Pモード)がある。 公式のMegaAVR0ボードはどれもブートローダーを使わず、オンボードデバッガで直接書き込みを行っている。  ボードを観察...

Atom x5 タブレット

Coreiを積んだノートPCは重たく、冷却ファンの音が意外と大きい。ということで最近は型落ちのAtom x5なタブレットPCを携行している。  中古で手に入れた富士通のQ507/MEは、10型でフルHD、デジタイザと軽量キーボードがついていて、フルサイズのUSBが2ポートついている。  電源キャップ破損固体なので無効だけれど、一応防水、防塵の機種だ。  1代古いQ506/MEのカスタムモデルは一時期大量に出回っていたので有名だ。Q507と506を比べると、ただのマイナーチェンジかと思いきや、底部のアクセサリポートを除いてUSBポートの配置などが全く違って興味深い。 Atom x5-Z85XXを搭載したタブレットや2in1はたくさん出回っているけれど、どのメーカーの製品であっても長期間のスリープ後などに起動すらしなくなる不具合を抱えているようだ。  バッテリを切り離し、電源を完全に落とさないとこのループから抜けられないため、機種によっては対処法が無いものがある。  この機種はハードリセットスイッチがあるため、復旧は簡単に行えるが、初めて直面したときはヒヤヒヤした。  軽量でファンレス。文章を書くにはとても良い。  ストレージサイズが64GBしかないけど、回路図CADとVisualStudio Code、IDEを少々入れて、Dropboxのスマート同期を有効化する程度ならそんなに問題にならない。  Live USBを走らせる  Linux環境という点では、WSLを動かすのはAtom x5レベルだと結構厳しい。VM運用もあまりしたくないので、Raspberry pi Desktopを Live USBのまま使ってみることにした。  ハードウェアとしては、USBメモリを優先的に起動するようBIOSで設定するだけだ。  フル規格のUSBポートが2つあるので、つけっぱなしでも支障がなく使いやすい。  Live USBだと、Atom x5タブレットでもオーディオを除けばほとんどの機能がそのまま使える。  なお、SSDを消去してクリーンインストールする道を選ぶと、ドライバや画面設定回りで修羅の道が待っている...

大きめの構造をプリントする

 Adventurer3を導入して4か月が経ち、5月に入ってからPETGフィラメントを使っている。PLAと似て匂いは無く、やや柔軟性があって加工しやすい。  テーブルの傾き テーブルが手前から見て右奥に向かって斜めに傾いており、特にPETGになると右奥の1層目が定着せずはがれるようになった。右奥まで使う広い造形だと、はがれて定着に失敗する。  右奥のプレートの下にアルミテープを斜めに張り付けて、奥に向かっての傾きを調節すると、PETGで10x10㎝を超える板状の造形も成功するようになった。 傾きなどは一度補正できてしまえばその後はしばらく無調整で使える。数値的に調整したいので、ダイヤルゲージを買って水平出しをしようと思う。  PETGのパラメーター調整も済んだので、150mm^3のプリントエリアを生かせる構造物として、CubeSatの1U規格構造のモックアップをモデリングしてみた。 家庭用の3Dプリンタには1Uサイズがちょうどよい。  分解して持ち運べるように、M3の六角ナットをはめ込み、各面のパネルを皿ねじで固定する組み立て式にした。Z面(上下)には前回の記事で作成した5㎝角基板用フレームを固定できる。  印刷時間は、メインのY+レール面が3時間半、X面が1時間半、Z面蓋が3時間 3種6面でだいたい16時間かかった。 最小板厚を2mmとしているのだが、もし壁の内部を充填したらもっとかかるだろう。  お仕事では3Uをよく目にするけれど、自宅のテーブル上で1Uサイズを組み立ててみると、これはこれでかなりの大きさがあると感じる。 20年前にこの体積を埋めていた通信機や基板群はどんどん小さく、高性能になっていった。構造規格は変わらないけれど、いまや立方体形状は、観測機器のためのサイズや発生電力を考慮した2U以上の実用衛星の方向か、薄く重箱のようにスタックされたテレメトリセンサの方向への岐路にある。  回路部品実装と構造積層を同時に行って、構造と回路基板の境目を無くす方向も面白いかもしれないなぁ… と、実物大の構造を手に取って考えたりするのであった。

ロケットの港街

     内之浦 肝付町への出張の間に撮りためた風景写真を幾つか。  ここでは、地元から飛び立っていったロケットや宇宙機たちの似姿が、日常風景に溶け込んでいた。  街のすぐ近くにある叶岳は、麓から展望台まで555段の階段が整備されている。  高所に引き寄せられる習性があるため、オフの日に登ってみることにした。   最後のあたりはとても急峻になるので、疲れて足を滑らせないように慎重に登る必要があった。   日頃の運動不足が祟り、だいぶ心臓にダメージを負いつつ展望台まで登りきると、よい眺めが待っていた。  小さな湾を一望できる。 (展望台のこの 雰囲気は、一人だとちょっと眩しすぎる・・・)    国民宿舎の裏手、立派な松の防風林を抜けると、簡単に海岸に出られる。 冬ということもあり、散策していた間はほとんど人を見なかった。  寄せては返す波頭の立てるリズムに精神を同調させながら、海岸の終わりまで行って戻って40分ほど。      人工光も少ないので、月の無い夜は暗い星までよく見えた。  雪国で育ったので、冬の星空を眺めているのに、手足が凍りつきそうな寒さではないことが新鮮だった。   波打ち際でちょうど極大になった流星群を観察してみると、輻射点から淡い流星が放射状に飛び出し、絶えず降り注いでいるのが見えた。   薄曇りの夜だと、雲が鹿屋市から漏れる灯に照らされているのがわかる。  砂浜といえばフィールドテストということで、休みの時間には持ち込んだ独立電源モジュールを何度かテストしていた。  砂の上に置いて、海岸に流れ着いたセンサといった物語を思い描きながら、この地で手を離れ、白煙を空に描きながら軌道上へ旅立っていった納品物のことを考えたりしていた。

軌道上に狙いを定めて

                                             ・・・・ ・  2014年の夏も終わる頃、 ひと粒 の人工衛星の軌道寿命が尽きようとしていた。  人工衛星が寿命を迎えるパターンは3通りある。人間が運用を停止したとき、機械が設計寿命を迎えたとき、もはや軌道を維持できなくなったときだ 。  大型の気象観測衛星へ相乗りした軌道投入から半年が経過し、当初400kmあった軌道高度は250kmを切っていた。   低軌道は宇宙空間とされているが、同時に高度1,000kmほどまでは熱圏とよばれる大気構造の中でもある。軌道を変えるには推力が必要だが、ここでは希薄な大気との衝突が抗力を発生させ、軌道高度を低下させる作用をもたらす。 低軌道衛星は高度によって数ヶ月〜数百年といったタイムスパンで空力ブレーキを受け続けているのだ。  緻密な螺旋降下が解けるとき、 遂に軌道は消滅する。衛星は濃い大気圏とまともにぶつかることになり、圧縮された空気が溶鉱炉並みの熱をもつ瞬間が訪れ…。  国際宇宙 ステーションや低軌道の大型衛星は推進系を用いて失った軌道高度を維持できるように設計されているが、小さな衛星はロケットが稼いでくれたエネルギーを失い続けるしかなかった。  もうすぐ、地球は1.5kgの質量を取り戻すだろう。  計画に携わった人工衛星の再突入が迫ったとある夕暮れ。  久しぶりに自宅で衛星追尾をすることにした。 がらくた箱から 手づくりの八木アンテナを 掘り返す。  バルサ材を軸として、ホームセンターで買ったアルミと真鍮の棒をエレメントとして並べた簡素なものだ。何度か自作して、一番コストパフォーマンスが高く、作りやすい素材を組み合わせている。   保管していた 間に曲がったエレメントを一つ一つ手でまっすぐに直す。  こんなアンテナでも、 低軌道衛星が相手なら必要十分な性能がある。    知覚を技術で拡張する遊びは...

大型パラボラアンテナの時代

昔のSFチックな映像作品だと、やたらとパラボラアンテナが並んでいたものだけれど、その近未来感は、大容量の海底ケーブル、地上回線、携帯電話網に置き換わりつつある。 先進国では、アンテナという用語を、画面隅のピクトグラム以外に意識しない世代が育ちつつあり・・・ ****** 府中には浅間山(せんげんやま)がある。 標高は80mほどだが、林の中は整備されていて居心地が良い。自転車散策の途中で立ち寄ってのんびりする場所の一つ。 整備された登山道を登り、新小金井街道が見渡せる場所に立つと、北西の方角も森になっていて、木立の間から、パラボラアンテナが2基そびえ立っているのが見える。  写真は4月に撮影したもの。  もともと在日米軍の通信設備で、調べるといろいろな資料が見つかる。 冷戦当時は全国に同様の中継局が置かれ、専用回線を構成していた。 返還後も解体されずに朽ちるままとなっているようだ。  このパラボラは、対流圏散乱波通信に使われていた。 見通し外通信の一種で、対流圏で僅かに電波が散乱されることを利用する。 電離層を利用する短波帯などと比べ、太陽活動や季節の影響を受けにくい利点がある。 ただし、減衰が大きいため大掛かりなアンテナと送受信設備が必要になった。 見通し外通信といえば、月を利用するものもある。 文献を漁ると、宇宙開発初期の時代には、NASAが世界各地の深宇宙局の時刻同期をとるために、月面反射通信を利用していたという。 もっとも、当時は原子時計がまだ大規模すぎて、各地に配備できなかったという事情があるようだ。  こうした設備も、60年代からは衛星通信などに置き換わっていった。  60年代の通信衛星についてのドキュメンタリーがYoutubeで見られる。 通信衛星といっても、パッシブな風船、エコー衛星と、商業衛星として有名になったテルスターについてのもの。 どちらも初期特有の独特な衛星だ。  宇宙に中継点を置くために試行錯誤していた時代。 アンテナの形態も、技術や周波数、通信対象の変化で時代とともに移り変わっていく。 最近は老朽化した大型アンテナの解体や、更新の時期にあるようなので、いつまでも建っているとは限らない。  今後大型...

Kindle PaperWhite(2015)

Kindle Paperwhite(2015) Wifiモデルが届いた。 グローバルモデルのKindle Touchを3年使い続けてきたが、日本語ストアにアクセスできないのがネックだった。  解像度が300ppiになった利点については、洋書での比較は解像度ごとにフォントが最適化されていることもあって、読み進む上ではあまり意識することはない。  日本語や漫画、PDFの細かい表示では、レスポンスの向上も相まって、かなり効果がある。 それよりも、バックライトによって、表示の読み取りやすさが環境にあまり左右されないのは嬉しい。 利用可能な内蔵辞書の数も増えていて、語学的な観点でもだいぶ充実した端末になっている。

ウォルターの亀の子孫たち

 時は2015年。ロボット掃除機も普通にリサイクルショップに平積みされる時代。  真の名は自動掃除機。 掃除の定義を集塵に絞り、ダストボックスの中身は人間が廃棄する。 まだ全自動掃除機への進化の余地を残していそうだが、それは制度や家の設計から始める必要がありそうで別の話になってしまうかも。  立ち寄った中古屋では2~3年前のルンバが多く、ついで低価格な類似機種たち、割と希少な日本の製品と続く。 きれいな状態のものが多く、様々な家庭事情がうかがえる。  歴史的な視点で陳列棚を見渡すと、ルンバの初代機(Discovery)の箱付き品があった。箱の側面に、ゲンギスからPacbotに至る、iRobot社の歴代のロボットたちが紹介されていて、科学教材のような雰囲気をまとっている。このあたりのいきさつは、ロドニー・ブルックスの著書に載っているのでおすすめ。(Flesh and Machines / ブルックスの知能ロボット論)  ロボット台車としてのルンバは、DINコネクタを介してシリアル通信によるコマンド制御が可能なのだが、箱も含めてわりとデカい。  アメリカンサイズゆえに、重くて置き場所に困りそうなので見送る。 かわりに小さめで安いロボットクリーナーをみつけた。 ツカモトエイム製 AIM-RC03というモデル。 ニトリの掃除機コーナーでよく見かける低価格機だ。 ブラシ欠品のため安く手に入った。  仕様は、14.4Vのニッケル水素バッテリ、充電は手動。  積みがちなボードコンピューターに足を生やすにはもってこいかもしれない。 中身の観察 足回り  ネジ一本で止められている筺体底面の蓋を開け、モーターのケーブルを外すとギアボックスごと取り出せた。裏にサスペンション用バネがある。 とても交換修理がしやすそうだ。 ギアはウォームギア、モーターはJXD-RK370(8V 8000rpm)  370系モーター? 基板  大きく分けて、ニッケル水素電池の充電回路、モータードライバのブロック、センサと制御マイコンがある。 マイコンっぽい石は製造元がよくわからない。 コンパレ...

宇宙系電子書籍

Kindleで洋書を読む理由は未訳の海外作家のSFを読むことだったけど、半年ほどかけて10冊くらい消化した後、Storeでキーワード「Satellite」などで探してみると、宇宙/工学関係の本が結構見つかることに気付いた。 特にNASAやアメリカ政府が出版するものは、過去のプロジェクト資料、歴史をまとめたかなりボリュームのあるものが多い。 今はNASAのDSN(深宇宙通信ネットワーク)の歴史をまとめた本を読んでいる。 ほとんどが日本の文庫本価格で手に入るのも良い。Kindle買って1年、通勤時間に鍛えたお陰で結構流し読みできるようになってきた。  (電子ペーパー端末のいいところはかさばらず目が疲れないのと、SNS見に行けないところと、文字サイズを大きくできることだと思う) CubeSatをDIYするというテーマでも何冊か本が 出ている。 著者はSandy Antunesという方。 去年あたりからシリーズ物としてすでに3冊めとなる。 ・ DIY Satellite Platforms ・ DIY Instruments for Amateur Space ・ Surviving Orbit the DIY Way (O'Reilly Mediaのリンク) Kindle Storeでも購入できるが、O'ReillyMedia で買うとDRMフリーで手に入るとのこと。 主にTubeSat Kitを題材としているが、CubeSatでも応用可能な話が多い。 おすすめはSurviving Orbit the DIY Way。熱真空槽を圧力鍋で自作する方法など、低コストで機器をテストする方法に触れている。 ちゃんとNASAの設計基準に基づいて、CubeSatの大きさで必要十分なテスト方式を解説している。   プロジェクトサイトのコラムにも内容が載っているので、参考に。 http://projectcalliope.com/ 読んでいて、「CanSatのつくりかた」みたいな文章を書いてみたくなってきた。

物語駆動開発

※脈略のない話です。 組立中の本物の人工衛星を見る機会に恵まれていたこともあり、時々、「陸にあるときの衛星ってなんて呼べばいいんだろう」というロクでもない思考を始めることがあった。  人工衛星という単語自体は、まず天文学的な定義がある。惑星をまわる物体を衛星といい、中でも人が打ち上げたものが該当する。 速度的には第一宇宙速度に達したものとなる。(速度を得るのはロケットの仕事だけれど)  冒頭のどうでもいい疑問については、宇宙機(SpaceCraft)という上位の言葉が用意されている。手のひらサイズのキューブサットから、大型衛星、惑星探査機まで含まれる。人工衛星の制作現場では、単に「衛星」と略されるため、はじめは混乱する。地上でいえば、携帯電話とその携帯基地局くらい規模の違うシステムが含まれている。  衛星って一般的にどう理解されているのか。その思いはMAKE会場で展示に興味を持ってくれた人の衛星観を見聞きしてきた中でだんだん育っていった。 普段衛星技術そのものを考えたことのない人が衛星について抱くイメージを知るチャンスってなかなか無い。 大学衛星も時折ニュースにはなるが、それほど数は多くないので、まったく知らない人が多いだろう。  軌道には決して投入されない模擬衛星実験や高層気球でも衛星と混同するような説明の文章をたまに見かける。(これは英語でも見かける)、広報媒体で採用される言葉には公報用語的な飛躍が見え隠れすることも多いので、さらに混乱を招いているかもしれない。  話を交わした中で、特徴的な誤解には以下のようなものがあった。 ・ロケットが打ちあがった姿でそのまま回っている ・地上から昇っていく ・静止衛星の一種 衛星の立場から見て、上の誤解の中でやや懸念したのが、「地上から昇っていく」という認識だった。 実際には第一宇宙速度を稼ぐロケットがあってはじめて、衛星は軌道を巡ることができる。 ウェブではしばしば高高度気球がバルーンサットと紹介され、そこに載せた搭載カメラのHD映像が大手ブログサイトなどでも取り上げられて結構有名になった。 メディアの書き方をみると、気球と衛星を混同している人は結構いるらしい。 ということで、低軌道衛星というものはどうもスルーされている気がする。(その事実...

ローバー機構の信頼性と並行二輪

どうでもいい話。 ロボットを作ると並行2輪車体になりがちだが、1輪と2輪車体を作った上で、2輪のデメリットおさらいしてみた。 まず、安い模型用ギアボックスとモーターは精度にばらつきがあるので、直進しないことが多い。 入門用の書籍では足回りにタミヤとTAシリーズのモータードライバを使っているので採用するけれど、応用に進むとパワーの面で多分がっかりする。私もがっかりして自分で作ることにしたが…  ライントレースやロボコン的に見れば、並行二輪は理想的だが、探査システム的に見たら、2基のモーターが完璧に動作しないと直進すらしないシステムと言える。 荒っぽいことをする屋外用途の使用において、これが結構効いてくる。 落下させて片方の車軸が曲がってしまったり、折れてしまったりしてまっすぐ進まないケース。コンペにおいて、これで泣きを見た人たちは数知れない。 冗長系、安全率といった信頼性から見たら、重量の余裕が無い時は果たして並行2輪であるメリットが大きいのかどうか、評価する必要がある。もちろん、その場回転などの機動性が必要なケースもあるので、あくまでミッションで必要な最小限のアクチュエータ数を考えた上でのこと。 大きさに制限が無ければ、さっさと4輪にしたりするわけで…。 Spinnerの子孫はただっぴろい荒野を走らせたいので、そんなに小回りしなくて良い。小回り出来なくても、前に進むだけでも良い。となると1輪(1モーター)でも問題ない。 方向転換の解決策として、一輪のSpinnerOneは腕というアクチュエータが代わりに付いているが、重さはモータ1個に比べれば軽く、またモーターの定格を上げても、アクチュエータは独立しているので重量増には関わらない。 並行2輪のデメリットをまとめれば、冗長系でも無いのに、動作に同規格の2つのモーターが必要不可欠で、モーター定格をスペックアップするたびに2個分ずつ重量が増えるということだ。  1輪+腕というSpinnerOneのシステムは、実際は単純化した2WD車そのものである。アクチュエータ数のみで判断すれば、ステアリング機構+1個のエンジンという点に共通点が見いだせる。 別に1輪を持ち上げるわけではなく、延々とやっていたことがRCカー作りと同じことだった、ということが言いたかったのでした…(完)...

スマートフォンにおけるGPS機能

GoogleMap、ふたつのOS(iOS,Android)、A-GPSの3つが組み合わさることで急速に統合されたモバイルGPS業界。 どちらかというとWindowsCE時代のスタンドアロンなGPS機能に慣れ親しんできたので、最近のトレンドを若干誤解していたのだが、スマートフォンのGPS機能はネットワーク依存の比重がとても大きい。 ネットワーク以前の情報端末におけるGPSはスタンドアロンなナビゲーションだった。高価な地図データをカードにおさめて、高感度を売りにするSiRFなどの専用SoCをつかう図式である。Garmin社の専用GPS端末やカーナビと同じ図式だ。 対して携帯電話は早くからA-GPSを搭載した。A-GPSにおいて、端末は衛星から時刻情報だけ入手し、基地局から位置情報を提供してもらう。 基地局を頼ることで、測位までの時間の短縮、GPSの苦手な都市部での測位を実現した。 地図はもちろんサーバーからサービスとして入手する。オンラインであることが前提だ。 なのでA-GPSは携帯の機能を提供するベースバンドチップにも早々と組み込まれている。 (もちろんほとんどの機種では単独測位が可能) そしてスマートフォンはケータイと同じく通信インフラが前提にある。調べたところでは、Andoroid端末のほとんどがベースバンドチップのGPS機能を利用しており、iPhoneや一部のAndroid端末のみがBroadComなどの専用チップを利用している。Appleも専用SoCにこだわりがあるわけではないようで、CDMA版iPhoneでは統合機能を利用している。 意外にもかつては主流だったSiRF系の専用チップを組み込んだ端末は全く見当たらない。ハイエンドなGPS端末で有名なGarmin社が手がけたAndroid端末は売上げで苦戦しているらしい。 つまり、かつてのPDAと携帯を融合させたスマートフォンは、ネットワーククライアントへ変化すると共に、位置情報もネットワーク利用を前提にしたということだ。逆にPDA時代のGPSソリューションは、カーナビ端末として専門化され現在に至っている。OSが遮蔽されているから誰も気にしないけれど。(なので、WindowsCEの隠れシェアはかなりあったり?) 以前みちびきに対応したGPSチップを載せた端末が出回ってい...

初代Shuffleの使い勝手

ヘッドホンに無理やり装着 4年前に発売されたiPod Shuffleを今更入手してみた。 iPod touchが電池寿命を迎えつつあるので、 お気軽な再生デバイスを探したが、 結局ジャンク屋で700円で売っていた初代Shuffleを手に入れた。 Yシャツの胸ポケットに入れても重くないし、写真のようにヘッドホンに付けるなんてこともできた。 発売当初は音質がいろいろ言われていたけど、音の傾向はtouchと同じだった。ヘッドホンでも駆動力が足りないことはない。  もちろん電車で聞くといった用途には何の問題ない。なので分解して遊ぼうという目論見は止めた。 ネタで手に入れたはずなのに・・・。 激安の新品より、それなりに作りがしっかりしている型落ち品のほうが高性能という法則がまた実証された。 <オーディオ曲線>   この図が示すのは、おおよその民生音響機器の価格帯と音質(機械的な)の相関を適当にプロットしたものである。 ポータブル機器の場合は、個別要素(イヤホン)もまた別にカウントされる。 ソースは大体こんな感じという大雑把なものだが、人生で視聴してきた限りではこんなものだろう。   なにがいい音かというのは個人個人で異なる。(と秋葉原のスピーカー屋も言っていた) オーディオ趣味はグルメと似ていると思う。 4年もたったというのに、12時間再生が可能だった。 単機能デバイスはいろいろ気軽だな、と改めて思う。