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ロケットの港街

  

 内之浦 肝付町への出張の間に撮りためた風景写真を幾つか。  ここでは、地元から飛び立っていったロケットや宇宙機たちの似姿が、日常風景に溶け込んでいた。


 街のすぐ近くにある叶岳は、麓から展望台まで555段の階段が整備されている。 
高所に引き寄せられる習性があるため、オフの日に登ってみることにした。 

 最後のあたりはとても急峻になるので、疲れて足を滑らせないように慎重に登る必要があった。  
日頃の運動不足が祟り、だいぶ心臓にダメージを負いつつ展望台まで登りきると、よい眺めが待っていた。 小さな湾を一望できる。
(展望台のこの雰囲気は、一人だとちょっと眩しすぎる・・・)  



 国民宿舎の裏手、立派な松の防風林を抜けると、簡単に海岸に出られる。 冬ということもあり、散策していた間はほとんど人を見なかった。  寄せては返す波頭の立てるリズムに精神を同調させながら、海岸の終わりまで行って戻って40分ほど。   


  人工光も少ないので、月の無い夜は暗い星までよく見えた。  雪国で育ったので、冬の星空を眺めているのに、手足が凍りつきそうな寒さではないことが新鮮だった。
  波打ち際でちょうど極大になった流星群を観察してみると、輻射点から淡い流星が放射状に飛び出し、絶えず降り注いでいるのが見えた。


  薄曇りの夜だと、雲が鹿屋市から漏れる灯に照らされているのがわかる。


 砂浜といえばフィールドテストということで、休みの時間には持ち込んだ独立電源モジュールを何度かテストしていた。  砂の上に置いて、海岸に流れ着いたセンサといった物語を思い描きながら、この地で手を離れ、白煙を空に描きながら軌道上へ旅立っていった納品物のことを考えたりしていた。

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Arduino Nano Everyを試す

 秋月で売っていたAtmega8と、感光基板でエッチングしたArduino互換ボードを製作してみて、次に本家ボードも買って…  と気が付いたら10年が経過していた。  ハードウェア的な観点では、今は32bitMCUの低価格化、高性能化、低消費電力化が著しい。動作周波数も100MHz超えが当たり前で、30mA程度しか消費しない。  動作電圧範囲が広く、単純な8ビットMCUが不要になることはまだないだろうけど、クラシックなAVRマイコンは値上がりしており、価格競争力は無くなりつつある。 そしてコモディティ化により、公式ボードでは不可能な値付けの安価な互換ボードがたいていの需要を満たすようになってしまった。     Arduino Nano Every https://store.arduino.cc/usa/nano-every https://www.arduino.cc/en/Guide/NANOEvery  そんな中、Arduino本家がリリースした新しいNanoボードの一つ。  他のボード2種はATSAMD21(Cortex-M0+)と無線モジュールを搭載したArduino zero(生産終了済み)ベースのIoT向けボードだが、 Nano EveryはWifi Rev2と同じくAtmega4809を採用していて、安価で5V単電源な8ビットAVRボードだ。  Atmega4809はATmegaと名がついているが、アーキテクチャはXMEGAベースとなり、クラシックAVRとの間にレジスタレベルの互換性は無い。   https://blog.kemushicomputer.com/2018/08/megaavr0.html  もちろん、ArduinoとしてはArduinoAPIのみで記述されたスケッチやライブラリは普通に動作するし、Nano Every用のボードオプションとして、I/Oレジスタ操作についてはAPIでエミュレーションするコンパイルオプション(328Pモード)がある。 公式のMegaAVR0ボードはどれもブートローダーを使わず、オンボードデバッガで直接書き込みを行っている。  ボードを観察...

GPSアンテナをつくる

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CANトランシーバーを使わずにCAN通信をする

 CANバスの物理層は差動通信で、RS485の様にマルチドロップ接続が可能。  自動車におけるノイズ環境でも通信が成立するように、トランシーバICには様々な対策が施されている。  一方で、基板にマイコンを複数載せて、例えばブロードキャストメッセージを含んだ通信をさせたいとなったとき、ハードウェアとしてデータリンク層にあたるコントローラが実装されていて、メッセージフィルタ等が可能なCANバスは魅力的だ。しかし、長くても1m未満の配線長で差動ドライバのバスを駆動するのは電力的なペナルティが大きい。 CANバスの構成  トランシーバーには5Vレベルと3.3Vレベルの製品があり、車載以外だと省電力化のために3.3Vバスを採用する例があるらしい。(電圧が低いほうがドミナント時の電流は下がるので)製品によってはフォールトトレラントのための様々な機能が付加されている。    トランシーバーをつかわず、UARTの様に単純に接続することもできる。過去にはこのようなアプリケーションノートがあった。 On-Board Communication via CAN without Transceiver https://www.mikrocontroller.net/attachment/28831/siemens_AP2921.pdf CANコントローラの入出力を1線式マルチドロップバスとしてつなぐことで、トランシーバーが無くても通信が可能になる。規格外の使い方ではあるけれど、大幅に単純、かつ省電力になる。 コントローラのみでの接続 R4 MinimaにはCANコントローラーが内蔵されているため、上記アプリケーションノートの様に接続してみた。ダイオード2個と数kΩのプルアップ抵抗だけでサンプルコードの通信ができた。 https://docs.arduino.cc/tutorials/uno-r4-minima/can  とりあえず1Mbpsでも通信できていたけれど、Lowレベルの電位が下がり切っていないので、OD出力のバッファをTXに挟むとよいかもしれない。  R4 Minimaのコントローラのみで通信させている様子(250kbps) https://github.com/sandeepmistry/arduino-CAN/blob/master/API.md ライブラリの実装は以下で確認...

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