スキップしてメイン コンテンツに移動

XBee(Series2)の通信距離を測定してみた


XBee (ZigBee対応series2 外部アンテナタイプ) の通信距離をしらべた記録。


製品ラインナップがカオスすぎて、名前の後ろにつけなきゃいけない属性が多すぎる・・・

   DigiのXBeeモジュールを買う際、つい外部アンテナタイプを選択してしまったので、これは屋外での通信距離を測ってみたい。
 なんで旧タイプを買わなかったかといえば、店頭の説明書きに消費電力が書いてあり、旧型は電波強度を選べず消費電力が一番大きそうだったから。 というもの。 ファームウェア更新で選べるのかもしれないですが。 

他のタイプを所有していないので、比較出来ず面白くないのですが一応。

ここはとある多摩川の河畔。 

<準備>

機材一覧。 

実験に使用したXBeeモジュールとその他。

  親機側は金属ハウジングに入っている。 詳細は前記事のとおり。
ENDデバイス側は、実験用のモジュールの開発用部品が見えているが今回使用したのはJPEGカメラのみ。Arduinoは相変わらず3.3Vレギュレータ役。


親機はVAIOのLCD天板にテープで取り付けた。 カッコよさ優先で作ったことがばれますね^^;
(いいえ機能美です。 キリッ)

END側は、地面干渉を考慮して三脚に設置。 だいたい地面から80センチ程度の高さ。
あとで取り外し、地面に直置きした場合も調査した。

X-CTUの画面。 

<設定・測定方法>


  • 両方共、送信出力は最大/Boostmode(2mW出力)。
  • END側のシリアルを結線してループバックさせ、X-CTUの画面でエラーが出る地点まで親機をもって歩く。
  • 速度は9600bps。 寒かったので他のボーレートはまたいつか。

  • 親機は電力管理なし。子機は1秒以上通信がなければ待機モードに移行。
  • 地上からの高度80センチ付近を維持する。
  • その後、地面レベルでの距離を測定。

結果

 上記の条件で145m程度届いた。

※ 地面に置いた場合は、50mが限界だった。

 HT-03AのGPSで移動範囲をマッピングしてみた。 左の(END)地点が子機の設置場所。 白い線が通信できた最長地点(それ以上離れると通信困難か、パケットロスが多くなる)


目視だと結構遠いと思ったけれど、仕様の範囲に近い。  親機を金属ハウジングに入れたので距離に悪影響があるかもと思っていたが、そういうことはないようだ。

140m離れ、シリアルのループバックではなく、JPEGカメラを接続して画像受信をしてみたが、 問題なく取得ができた。 9600なのでVGA圧縮イメージの取得に40秒もかかる。衛星通信みたいで面白い。


 製作にあたって、無線部分は高速転送よりは通信距離を、そして低消費電力を優先する予定なので、この現状で十分すぎる性能が出ている。 子機の出力を半分に絞って、さらに低出力にするとどうなるのかを調べる前に日が暮れてしまって、手がかじかんでキーボードを打つどころではなくなったので、実験終了。

XBee Proをつかえば、1200mは通信できるらしい。 ただ、広い場所と金属や障害物のない見通し距離で、2.4GHz帯がクリアな場所となると身近にはなかなか無い。(河原とか砂漠くらいでは…)

太陽も沈み、暗くなった川面をJPEGカメラで撮影。 明るいときに撮らなければ。

おはり

Popular posts

Arduino Nano Everyを試す

 秋月で売っていたAtmega8と、感光基板でエッチングしたArduino互換ボードを製作してみて、次に本家ボードも買って…  と気が付いたら10年が経過していた。  ハードウェア的な観点では、今は32bitMCUの低価格化、高性能化、低消費電力化が著しい。動作周波数も100MHz超えが当たり前で、30mA程度しか消費しない。  動作電圧範囲が広く、単純な8ビットMCUが不要になることはまだないだろうけど、クラシックなAVRマイコンは値上がりしており、価格競争力は無くなりつつある。 そしてコモディティ化により、公式ボードでは不可能な値付けの安価な互換ボードがたいていの需要を満たすようになってしまった。     Arduino Nano Every https://store.arduino.cc/usa/nano-every https://www.arduino.cc/en/Guide/NANOEvery  そんな中、Arduino本家がリリースした新しいNanoボードの一つ。  他のボード2種はATSAMD21(Cortex-M0+)と無線モジュールを搭載したArduino zero(生産終了済み)ベースのIoT向けボードだが、 Nano EveryはWifi Rev2と同じくAtmega4809を採用していて、安価で5V単電源な8ビットAVRボードだ。  Atmega4809はATmegaと名がついているが、アーキテクチャはXMEGAベースとなり、クラシックAVRとの間にレジスタレベルの互換性は無い。   https://blog.kemushicomputer.com/2018/08/megaavr0.html  もちろん、ArduinoとしてはArduinoAPIのみで記述されたスケッチやライブラリは普通に動作するし、Nano Every用のボードオプションとして、I/Oレジスタ操作についてはAPIでエミュレーションするコンパイルオプション(328Pモード)がある。 公式のMegaAVR0ボードはどれもブートローダーを使わず、オンボードデバッガで直接書き込みを行っている。  ボードを観察...

GPSアンテナをつくる

GPSアンテナを作ってみた。 1575MHzの波長は約19cmなので、半波長で9.5cmとなる。 GHz帯とはいえ、結構長いものだなぁ。 セラミック等の誘電体がなければ、平面アンテナで真面目に半波長アンテナを作ろうとすると手のひらサイズの面積が必要になってしまう。 普通のダイポールだと指向性があるので、交差させてクロスダイポールにする。 屋外地上局のアマチュア衛星用アンテナの設計をそのまま縮小したもの。 水平パターンはややいびつ 92.2mmの真鍮の針金(Φ=0.5mmくらい)を2本用意して、42.3mmで90°に曲げる。 長さの同じ素子同士を並べて配置する。 (全長が半波長より長い素子と短い素子が交差した状態) 片方をアンテナ信号線、もう片方をGNDにつなげば完成。 実際5分くらいでつくったけれど、果たしてどうだろうか。 今回は、道具箱に眠っていた表面実装タイプのMT3339系モジュールに取り付けた。 アンテナはもともと3x1.2mm程度のとても小さいチップアンテナで、 LNAが入っているけど感度が悪かったのでお蔵入りしていた代物。 最近の携帯機器はみなアンテナに厳しい。 さて・・・ クロスダイポール版モジュールをPCでモニタしたウインドウ(左)と、QZ-Rader画面 東側に建物遮蔽があるので、そちら側の衛星はSNが悪い。 とりあえず補足できた衛星数はシミュレーションされたものとほぼおなじだった。 アンテナの角度をいろいろ振って、逆さまにしてもロストすることはなかった。 セラミックのパッチアンテナレベルにはなったかな・・・。 簡単にできてそれなりに測位するけれど、携帯性は皆無になった。 あと、近接周波数の干渉を受けやすいかもしれない。 GPSアンテナのDIY例としては、QFHアンテナもある。 ラジオゾンデなどで使われている例がある。 いつもお世話になっているQFHアンテナ計算シートのサイト https://www.jcoppens.com/ant/qfh/fotos_gps.en.php ヘリカルアンテナは加工精度の難易度が上がるので、今回はクロスダイポールにした。 GNSSとなると、複数の周波数のために調整されているセラミックパッチアンテナが有利だと思う。 セラミックパッチア...

CANトランシーバーを使わずにCAN通信をする

 CANバスの物理層は差動通信で、RS485の様にマルチドロップ接続が可能。  自動車におけるノイズ環境でも通信が成立するように、トランシーバICには様々な対策が施されている。  一方で、基板にマイコンを複数載せて、例えばブロードキャストメッセージを含んだ通信をさせたいとなったとき、ハードウェアとしてデータリンク層にあたるコントローラが実装されていて、メッセージフィルタ等が可能なCANバスは魅力的だ。しかし、長くても1m未満の配線長で差動ドライバのバスを駆動するのは電力的なペナルティが大きい。 CANバスの構成  トランシーバーには5Vレベルと3.3Vレベルの製品があり、車載以外だと省電力化のために3.3Vバスを採用する例があるらしい。(電圧が低いほうがドミナント時の電流は下がるので)製品によってはフォールトトレラントのための様々な機能が付加されている。    トランシーバーをつかわず、UARTの様に単純に接続することもできる。過去にはこのようなアプリケーションノートがあった。 On-Board Communication via CAN without Transceiver https://www.mikrocontroller.net/attachment/28831/siemens_AP2921.pdf CANコントローラの入出力を1線式マルチドロップバスとしてつなぐことで、トランシーバーが無くても通信が可能になる。規格外の使い方ではあるけれど、大幅に単純、かつ省電力になる。 コントローラのみでの接続 R4 MinimaにはCANコントローラーが内蔵されているため、上記アプリケーションノートの様に接続してみた。ダイオード2個と数kΩのプルアップ抵抗だけでサンプルコードの通信ができた。 https://docs.arduino.cc/tutorials/uno-r4-minima/can  とりあえず1Mbpsでも通信できていたけれど、Lowレベルの電位が下がり切っていないので、OD出力のバッファをTXに挟むとよいかもしれない。  R4 Minimaのコントローラのみで通信させている様子(250kbps) https://github.com/sandeepmistry/arduino-CAN/blob/master/API.md ライブラリの実装は以下で確認...

UNO R4 Minimaの仕様を眺める

CANバス内蔵Classicボードたち。 しかし割高になってしまった… Uno R4 Minimaを入手したので遊びつつ、どのような実装になっているのか、仕様を眺めてみた。 UNOは現在のArduino製品の中ではClassic Familyというカテゴリに入っており、歴史的なフォームファクタを継承している。ルネサス製MCUの採用で話題だけれど、5V単電源動作可能なARMマイコンとしては高機能だ。 要点としては、初学者向けのClassicファミリにCortex-M4が降りてきて、内蔵RTC、DAC出力、CANバスといった機能にもAPIレベルで対応しているという点になる。  スペックだけ見ると、反射的に3.3Vで動いてほしいとかいろいろ要望が湧いてくるが、ターゲットはあくまで初心者なのを忘れないようにする。 (いい感じの互換ボードに期待) ボードとピンマップを眺める 公式サイトのボード紹介ページでは、回路図と基板図をAltium365ビューワーで見ることができるようになっていた。回路図で抵抗を選択すると詳細が表示されるし、基板図上の実装と連携して位置をハイライトできたりする。 Minimaの実際の基板には16MHzの水晶は空きパターンとなっている。内蔵オシレーターで動いているようだ。 Minima 回路図 https://docs.arduino.cc/resources/schematics/ABX00080-schematics.pdf Wifi R4回路図 https://docs.arduino.cc/resources/schematics/ABX00087-schematics.pdf MinimaとWifi R4ではソケットに引き出されたSPIバスのマッピングが異なっている。これに伴いCANで使うピンも位置が変わっている。APIが用意されてるのにピンマップ表で表記していないのはボード依存のためかもしれない。 CANを使いたければシールド設計で対処するしかなさそう。  他にも、Minimaのソケットの3.3V出力は、Minimaのデータシートに書いてある通りMCUの内部電圧を生成しているLDOの出力を引き出している。そこまでやるのかというくらい割り切っている。  内部レギュレータから引き出せる電流量はArduinoとしては表向き載っていないけれど、ルネサス...