2016/05/16

GPSアンテナをつくる



GPSアンテナを作ってみた。
1575MHzの波長は約19cmなので、半波長で9.5cmとなる。 GHz帯とはいえ、結構長いものだなぁ。
セラミック等の誘電体がなければ、平面アンテナで真面目に半波長アンテナを作ろうとすると手のひらサイズの面積が必要になってしまう。

普通のダイポールだと指向性があるので、交差させてクロスダイポールにする。
屋外地上局のアマチュア衛星用アンテナの設計をそのまま縮小したもの。

水平パターンはややいびつ
92.2mmの真鍮の針金(Φ=0.5mmくらい)を2本用意して、42.3mmで90°に曲げる。
長さの同じ素子同士を並べて配置する。
(全長が半波長より長い素子と短い素子が交差した状態)
片方をアンテナ信号線、もう片方をGNDにつなげば完成。

実際5分くらいでつくったけれど、果たしてどうだろうか。

今回は、道具箱に眠っていた表面実装タイプのMT3339系モジュールに取り付けた。
アンテナはもともと3x1.2mm程度のとても小さいチップアンテナで、 LNAが入っているけど感度が悪かったのでお蔵入りしていた代物。 最近の携帯機器はみなアンテナに厳しい。
さて・・・


クロスダイポール版モジュールをPCでモニタしたウインドウ(左)と、QZ-Rader画面
東側に建物遮蔽があるので、そちら側の衛星はSNが悪い。 とりあえず補足できた衛星数はシミュレーションされたものとほぼおなじだった。
アンテナの角度をいろいろ振って、逆さまにしてもロストすることはなかった。 セラミックのパッチアンテナレベルにはなったかな・・・。

簡単にできてそれなりに測位するけれど、携帯性は皆無になった。
あと、近接周波数の干渉を受けやすいかもしれない。

GPSアンテナのDIY例としては、QFHアンテナもある。 ラジオゾンデなどで使われている例がある。
いつもお世話になっているQFHアンテナ計算シートのサイト
https://www.jcoppens.com/ant/qfh/fotos_gps.en.php
ヘリカルアンテナは加工精度の難易度が上がるので、今回はクロスダイポールにした。

GNSSとなると、複数の周波数のために調整されているセラミックパッチアンテナが有利だと思う。
セラミックパッチアンテナは大きいものだと重くなりやすい。 設置面積を気にしない用途や、軽量化、UAV系で翼に埋め込むといった用途につかえるかもしれない。

2016/05/14

衛星受信局の更新

冬になってから、屋外に設置していた受信機ボックスとの接続が断続的になり、取り外して改修をすることにした。

Funcube Dongleを接続していたUSBデバイスサーバーは動作はするものの、通信が不安定になっていた。 劣悪な温度環境で4年程度ノーメンテで動作していたことを考えると、よくもったなぁ、と思う。

ボックスを再利用して、もともと検討していたRaspberryPiによる地上局構築をしてみる。
今回はRTL-SDRのTCXOつき公式モデルを入手したので、それを設置してみよう。


構成としては、RTL-TCPによる遠隔接続をすれば、今までどおり、他の端末からSDR#による観測が可能となる。

RTL-SDRをRaspberryPi2につなぎ、AndroidタブレットのSDRTouchからネットワーク経由で接続してみたところ。 FM放送のウォーターフォール画面を表示している。

気になる消費電力だが、Raspberry Pi2を利用して、有線LAN接続した状態で、
SSH接続中は1.8W
RTL-tcpで待機させると2.5W
 待機中でもRTL-SDRは動作状態になので、発熱も増えてしまう。 RTL-SDRは、RasPi2と一緒に10cm角のアルミ板に固定してある。

RaspberryPiを単体で屋外においておくのはなんとなく物足りないので、とりあえず部品箱から余っていたRTCを取り出して取り付け、時刻保持ができるようにした。 また、LM60と12ビットのA/Dコンバーターを搭載して、複数箇所に温度センサを配置。
 GPIOやバスへのアクセスも、今はWiringPiやProcessing等の環境が整備されているので、SSH経由でソースをちまちま書いて、機能確認できる。
 Linux系の衛星追尾ソフトとTNCをインストールしておけば、単体で衛星追尾と記録も可能になってしまう。 手がまわらないけれど・・・。

屋外設置


RaspberryPi2の基板にはハヤコートによる防水、防湿コーティングを施した。


タカチの防水ケースの中に組み込む。


アンテナも秋月のモービルアンテナから、自作のUHFクロス八木に変更。 天頂パスにも強くなった。


デスクトップのSDR#での受信風景(RTLTCP接続) GOMX-3の9k6信号をとらえたところ。 レンジ570km


熱環境

本体の設置場所に日光があたってしまうので、遮熱板を取り付ける。 これがないと直射日光により、CPU温度が60度を超える。
本当はアクティブな換気を組み込みたいが、 湿気や雨天の水滴の侵入が気になってしまう。日射も含めて、設置場所にかなり影響を受ける要素だ。

  遮熱板は発泡スチロール板に0.2mm厚の粘着シート付きアルミ板を貼り付けて、アルミテープで四辺を固定しただけの代物。 熱赤外を反射して、筐体内への熱の侵入を抑える。
筐体にはアメリカの神話的ツール、ダクトテープで仮止めしている。

 間に合わせな構成で電源を入れてから1ヶ月ほど経過したが、まだ異常なく稼働してくれている。 CPU温度は昼間には45℃~50℃、夜間に35℃~40℃となっている。 Raspberry Pi3あたりでは厳しくなってきそうだ。

追記:半年ほど運用した結果

半年ほど稼働させた結果だが、途中でSSHアクセスが不可能になった。
回収してみると、秋月の5VACアダプタの出力がおかしくなり、Raspi起動時にUSBのドライバ読み込みの時点で無限ループに入っていたことが分かった。
温度環境が厳しいと、電源の耐環境性能が寿命を左右する。
ということで、ACアダプタを換装し、運用を再開した。
LANケーブルなどは、特に防水加工もなく野ざらしで4年目に突入するけど、通信に問題は起きていない。