2016/07/30

USBカメラで星を撮る



高感度なUSBカメラをAliexpressで注文し、天文用に組み立ててみた。

搭載センサはONsemiのAR0130CSで、1.2Mピクセル カラーのバージョン。
普通のCMOSセンサに比べると、ダイナミックレンジや量子効率がかなり高い。


ソニー製のセンサなどと共に、夜に強い監視カメラ向けとして人気のようで、センサ名で検索するといろいろな形態で販売されている。 ボードカメラのモデルは40ドル程度で入手できる。
 同じセンサを搭載した望遠鏡用のカメラ/オートガイダーも存在する。 低価格な望遠鏡のカメラとしても幾つかのメーカーから出ているようだ。

 値段をケチるために筐体無しのものを選んだが、動作中は結構熱くなるので、放熱等を考えると筐体モデルのほうが良いのかもしれない。 消費電力は0.5W程度だった。



タカチの小型ケースのネジ穴と基板のネジの配置がぴったりだったので、簡単に固定台をつくり、自撮り棒についていたスマートフォン用のホルダを使って、三脚に固定した。


SharpCapという天文用のカメラ制御ソフトを使用して、キャプチャを行ってみた。UVC対応なので、特にドライバ等は必要ない。

このカメラは露出時間を最大にすると、撮影間隔が1~2fpsに落ち、街明かりが飽和を起こす程度まで明るくなる。 iPhoneのカメラと比べると、数段くらい暗く撮影出来ている様子。

ボードカメラでお馴染みのM12規格のレンズだが、Aliexpressでいろいろなレンズがみつかる。1000円以下のものは大半が車や監視カメラ用なので、解像度を考慮すると、Megapixel対応と謳うものがよさそうだ。素子面積は1/3インチなので、焦点距離と併せて画角を考慮すると良い。
魚眼レンズが多いけれど、空に向けた場合、広すぎると細かいディテールが失われやすい。

最近はGoPro用の高級(?)レンズも増えてきて、すごいお値段なものもあるけど、撮像素子が1.2Mピクセルなので、そこまで違いはなさそう。

 明るさはF2程度のものが大半なので、より明るいレンズを使ってみたいときは、CSマウントに交換するのも良い。どちらかというと、CSマウントのほうがピント合わせが楽で良い。
aitendoでも取り扱われている。 http://www.aitendo.com/product/12784
CSマウントに交換したもの。

梅雨明けとともに晴れ間が見えたので、3時間ほど撮影してみたものがこちら。レンズはCSマウントで、焦点距離2.8mm F1.2をIRカットフィルタなしで取り付けた。 115度ほどの画角がある。 映像は128倍速にした。

ゲインは控えめにしたので、肉眼でみた空の明るさに近くなっている。 下に土星、火星とアンタレスで構成された三角形が映っていて、日周運動で移動していく様子がわかる。

最大感度でゲインを上げると、熱ノイズのような固定パターンが現れるため、暗い星との区別が難しい。 ダークフレームを取得しておいて、減算していく必要がありそうだ。

 やや夜に強いUSBカメラということで、応用性は高い。 ただ、露出時間は1/2秒程度までなので、本格的な用途には厳しいかもしれない。 天文用の製品は数百秒まで露出可能になっている。

UVC対応でドライバレスなので、RaspberryPiなどと相性が良い。


簡単な直焦点撮影をしてみた。 ETX-60ATに3倍バーローをとりつけて撮影した土星。1050mm相当の焦点距離で、画像の一部を切り出したもの。 あまり追尾精度が良くないのでコンポジット等はできないけれど、撮れてはいる。 頑張れば輪の模様も映りそうだ。
(惑星撮影するなら、カセグレン式の望遠鏡が欲しいなぁ・・・)
 木星は地平線に近くて条件が悪かったが、ガリレオ衛星が確認できた。

追記
熱ノイズ対策は重要らしいので、冷却を検討したほうが良さそう。

2016/07/23

タフパッド


過去の機種ということで、1万円代で購入できたPanasonicの防塵耐衝撃タブレット JT-B1

AndroidのバージョンはICS(4.04)だが、業務用のためか、細かい修正パッチは最近まで適用され続けている。  発売当時のOSのままということもあり、レスポンスは良いが、時の流れはごまかせないので、特定のアプリのみを動かすということに割り切る必要はある。 ちょうど、初代Nexus7に背面カメラをつけたようなスペックだ。一応、RTL- SDR関連は動いた。


 防塵耐衝撃ということで、大きいこと(8型タブレットを2枚重ねたくらい)、 重い(500g級)ことは覚悟していた。 あえて利点を挙げるとすれば、厚みがありベセルが広いので保持しやすいところ。 そして物理的に強そうな見た目。

また、電源コネクタとmicroUSB端子が別に用意されている。 さすが業務用だった。

一つ困ったのが、待機中の電池の消耗スピードが早いこと。
最小限のアプリとバックグラウンドサービスにとどめても、1.4%/hのレートで放電があるようだ。
単純計算だと、待受状態で3日もたない。 無線関係をオフにしても、その傾向は変わらなかった。
この原因は後ほど判明する。

お約束の分解。

固定にはすべてY型のネジが使われているので、Y型ネジ用のドライバーを取り寄せた。


背面中央部にある蓋のネジを取り外すと、取り付けられたWWANモジュール(Gobi 4000系)が確認できる。 空間の余裕があるからか、WWAN対応PCと同じような構成だ。
LTEモジュールにアクセスするなら、この4つのネジを外すだけよかった。

次に、本体を開ける。 筐体のつなぎ目はゴムパッキンが取り巻いている。
メイン基板はすっきりしていて、主要パッケージはシールドケースに収まっており、マグネシウム筐体に伝熱シートで押し付けてある。 徹底的な放熱パスの作成がなされている。

GPS、Wifi,BT,WAN関連のアンテナはフィルム基板に形成され、Pogoピンで基板から接続されるタイプ。 アクセサリーポートの上側と、画面側の右上、NFCの読み取り位置の付近に設けられている。 この2箇所は何かで覆わないようにしたほうがよさそう。 

GPSの感度だが、アプリで表示する限り、Nexus7に比べて測位時に使われる衛星数が半分くらいになってしまうのが惜しい。

待機電力の調査

OSが古いので、OSのブラウザは封印、Chromeのみにして、使わないGoogle系のサービスも封印。
バックグラウンド更新等を切り、常駐アプリを減らした。

結果からいくと、WAANモジュール取り外して起動、放置すると、待機中のバッテリの放電レートが10分の1にまで下がった。 もともと5Ah級のバッテリを装着しているので、待機電流さえ減れば、おそろしく長持ちしそう。


上の画像は、WifiをOnの状態で、1日目まではWWANなし。 その後、12時間は、SIMなしの区間で、最後の12時間がデータSIMありの待機電力となる。 LTEモジュールが刺さっていると、モバイルデータ通信を切っていても、待機時間は約3日くらいになる。 取り外せば、1ヶ月くらいはもちそう。 (すべてのアプリを切った状態)

たまに使う普通のタブレットとしては、数日目を離した隙に使用不能になっているのはやや不便で、
充電台/給電ケーブルに繋ぎっぱなしが可能な業務利用とはちょっと評価軸が変わる。
LTE環境が必要なときだけ、モジュールを刺して使おう・・・。


TH-D72をあらたに自局へ登録したので、APRSのテストのため、近所の山へお出かけしたときの構成。
APRSの連携もアプリが幾つかあるが、まだ試せていない。 
かたやパケット通信そのものを楽しむものと、当たり前のようにどこかの基地局と通信をしているものを運用していると、よくわからない心境になる。
APRSのほうは、UHFの5Wで100kmほど先のI-Gateに拾われることがわかった。宇宙機相手だと1Wくらいの出力で、数百kmレンジの空間を拾うことになる。 ハンディ機だと自分が衛星の立場みたいで面白い。 (ハンディ機を組み込んだ衛星も結構運用されていた)
目標としては、ISSのデジピータにアクセスするところまでやってみたい。