2013/12/31

軽量QFHアンテナ v2


2013年最後の製作。 衛星初期捕捉用の430M帯QFHアンテナ。


アンテナの形さえ保てれば支柱構造である必要は無いので、今回は素子の横幅に合わせた円筒を作成して、そこに真鍮ワイヤを巻きつけてみた。 素材は0.5mm厚の樹脂板を接着して作成。 

屋外設置のFuncube Dongle pro+ とUSBデバイスサーバー。 タカチの防水ケースを刷新して、同軸とLANコネクタの防水加工をした。 RTL-SDRをRaspberry Piにつないで内蔵したいけれど、まだ手つかず。

 ところで、DNEPRで打ち上げられたアマチュア衛星のFuncubeは、ダウンリンクが145MHz帯なので、こっちは145M帯のQFHアンテナを作らないと…(来年に続く) 

参考 Quadrifilar helicodial http://www.jcoppens.com/ant/qfh/calc.en.php

2013/12/12

Raspberry Pi と lrzsz


低価格Linuxボードコンピュータ Raspberry Pi を借りたので、少し動かしてみた。

 電源ボタンが無いなど、ハードとしてはちょっと癖があるけれど、とりあえず組み込み装置として必要な設定をして、CUIで管理する流れにした。 debian系なのでなんでも入れられる。 500万画素のカメラモジュールを追加で購入し、ドライバのお陰で撮影もすぐに出来た。 


ジャンク屋で部品単位にバラバラにされたオフィス用デスクトップマシンを拾い集め、CDブートする程度がやっとだった自分の頃と比べると、初めてRasPiに触れられる世代はきっと実りが多い(はず)

バラックで検証するのはなんだか気が乗らないのと、個人的にケースはアクセス性が悪いと思ったので、ハンズで見つけた10cm角のアルミ板に穴を開けて固定した。 ある程度ヒートシンクにもなっている。 スペーサを立てれば保護板も付けられるだろう。 



X環境は早々に封印して、まずはSSH経由で環境を整えてみた。

第一歩として、古のファイル転送可能プロトコル zmodemでファイルをやりとりするために、lrzszを導入した。 Sambaを建てたりとか、ネットワークを意識せず、UART経由でもファイルのやりとりができて便利だ。

最終的に外に置いて気象観測とか、RTL-SDRをつないで無人受信局をつくったりしてみようと思う。  

2013/12/01

ポケットに収まる衛星 ~PocketQube規格~

 最近大量打ち上げが続くCubeSatですが、その中に、PocketQube規格という、CubeSatよりも小さな規格の人工衛星が含まれていました。 

PocketQube規格は、CubeSatを提唱したTwiggs教授が策定したもののようです。
 http://www.kickstarter.com/projects/pocketqube/want-to-build-a-satellite-but-dont-have-a-nasa-siz

CubeSatは10cm角で1U(ユニット)ですが、PocketQubeは5cm角を1Pとしています。NanoSatに対し、FemtoSatとも呼ばれています。

DNEPRには4機のPocketQube衛星が搭載されましたが、正確には放出機構を内蔵した30cm級の衛星(伊のUnisat-1)から放出されています。 衛星から放出される衛星です。

PocketCubeランチャーを搭載した母衛星 Unisat 5 (イタリア)
 http://space.skyrocket.de/doc_sdat/unisat-5.htm

・Wren(ドイツ)
  http://www.kickstarter.com/projects/1467273745/wren-fly-a-real-spacecraft-by-yourself
 http://space.skyrocket.de/doc_sdat/wren.htm

・Beakersat-1(Eagle 1) (アメリカ )
   http://space.skyrocket.de/doc_sdat/beakersat-1.htm

・$50Sat(Eagle 2) (アメリカ)
   http://www.50dollarsat.info/
   http://space.skyrocket.de/doc_sdat/$50sat.htm

・QubeScout S1 (アメリカ)
 http://space.skyrocket.de/doc_sdat/qubescout-s1.htm

$50Satは、4x4cmの基板に、PICAXE※が載っていて、各種健康状態をモールス、FSK(RTTY)、GMSKパケットで送信するというシンプルな構成になっています。技術規模としては、カンサットを太陽電池駆動にして、宇宙に持っていくのに近いと思います。

(※ PICAXE: BASICでプログラミングができるマイコン。中身はPIC)

Wrenは5cm角という最小サイズながら、カメラによる画像認識、SSTV送信、リアクションホイール、スラスタまで内蔵しているとのことです。 (過去にネットを漁って見つけた時から気になっていましたが…)
 
未確認ですが、PocketQube規格の衛星のアンテナの展開については、放出機構から出た時点で自然と展開するようにされているように見えます(要出典)、アクティブにアンテナ展開する必要があるCubeSatよりは不安要素が少ないですね。 

 この小ささで気になるのが通信機です。

 PocketQubeではどの衛星もワンチップのRFICモジュールを使っているみたいです。出力は100mW程度。
 
 これらのRFICはリモコン用途で色々なメーカーのものがあり、ISM帯から、430M帯までいくつかのバンドを網羅しており、ASK、FSK、GFSKなどが主な変調方式です。 ただ大半はパケット構造をいじれないものが多く、ホビー用に多く使われていて、アナログ的に自由度の高いものを選んでいるようです。
  ※こうしたRFICは国内で使うときは電波法に則った届け出が必要です。
 
 RFIC内蔵マイコンを利用した例だと、更に基板1枚にまで削ぎ落とされたKickSatがあります。
このあたりになってくると、ちゃんと地上で受信できる回線設計なのか心配ですが…。

 まさにポケットに収まるサイズの人工衛星ということで、5cm角模擬衛星を作っていた身としては、もう実際に宇宙に飛ばしているのを知って非常にワクワクしました。 DIYで人工衛星を作れる時代はもう来ていますね。

 これらの試みは最小構成からのボトムアップを突き詰めていくことで、CubeSatの通信/制御に必要なシステムの体積もどんどん小さくできることを示しています。 海外の小型衛星のコマンド系では、既に低コスト化のためにRFICを採用しているものが幾つかあります。 (立派な管制局の配備も前提での話ですが)

 衛星の機能を電力含めてボード一枚で担えるようにすれば、残りの体積で色々おもしろいことができそうです。 個人的には電力的に不死身な衛星を作るために試行錯誤中です。