2011/09/30

一日一歩。ただし小惑星時間、の

宇宙機お絵かき改め、空想宇宙機シリーズ

今回は電力を使わずに、小惑星を探検するアクチュエータについて(の妄想)

着陸子機と親機 の2次元絵
ひさしぶりにMSペイントを使った絵を・・・(昔はMSペイント使い)
最近NASAの探査機ドーンが到着した準惑星ベスタ。
送られてきた画像を見ていた。※3 (意外と複雑な地形があるなあ) 

老後は小惑星に住みたい。

とりあえず寝そべって宇宙の広さと、一面のレゴリスとゴツゴツした地表を意識したい。それと良く似たシチュエーションは、たぶん真冬のカチカチに凍った雪原のうえに寝そべり、星を見ていた時みたいな感じだと思っている。

移動手段

この世には無重力ならスラスタ、低重力ならホップ、気体、流体なら気球や翼、惑星重力下なら脚や車輪と、色々な移動方法がある。


「Flesh and Machines」(ロドニー・ブルックス著)(訳書:ブルックスの知能ロボット論)によれば、NASAもロッカーボギー型で有名なローバーを開発するまでは、色々とエピソードがあったようで・・・。


iRobot社の沿革紹介では、6脚歩行ロボットを超小型の防衛用宇宙機※1に載せ、月着陸の模擬試験をした映像が見られる※2。政治的理由で中止されたものの、23キロの小型宇宙機で1キロ未満のローバーを投入する技術が1990年代には存在したようだ。
現在進行形のGoogleのLunar-Xprizeみたいな内容だ。惑星探査車の現代史の分岐点には、多脚ロボットもいたという驚き。


重力天体では車輪型がたぶん一番簡単なので、ローバーというと車輪付きを思い浮かべる。でも小惑星では重力が低いので、ミネルバのようなホップ型などの他の移動法が考えられる。ある程度小さいロボットだと、バッタみたいに跳ねまわるほうが路面に左右されないだろう。

もっと簡単な移動法はないだろうか。

小惑星

小惑星はたいてい自転しており、短い昼と夜がある(長いかもしれないが)

火星以遠とはいえ、日向と日陰の温度差はあるはず。 (最高でもマイナス数十度とかみたいだけど)
この温度差を1サイクルとした、形状記憶合金による脚の駆動はできないだろうか。

尺取虫みたいに、投下したランダーを移動させることができたら面白そうだ。電気的なエネルギーなしで、自転の度に温度差で脚を伸縮させながら少しずつ移動する。レゴリス表面を這いまわりながら、分光器で鉱物マップを作る観測機。

小惑星時間で一日一歩、3日で3センチくらいは進んでほしい。

方向を変えるなら、進行方向に脚を複数個並べて、影を作ればいい。
液晶フィルムを駆動するくらいなら、それほど電気を喰わないだろう。
メカトロ以前のメカニクス的手法。

温度差を得る方法や、熱絶縁などの考慮が必要になりそうだけど、遠い将来訪れた調査隊か探査機が、ランダーの描いた軌跡を発見するかもしれない。ちょっとした芸術的遺構として保存されたりして。


※1 ガ◯ダムでいうビット・・・?
※2 
http://www.irobot.com/uk/explore_irobot/company_history.aspx のrobot lunar explorationをクリックするとビデオが見られる。

2011/09/20

11エレ自作八木アンテナ


見たままのとおり、500円アンテナの11素子版です。
製作機会があったので、その場の余った材料で作ってます。

1mの角材を繋いだ全長2mの棒上へ、1.5mにわたる素子が配置されています。
なかなか個人では作りにくいですが、実際作ってみると大きすぎる・・・
手持ちという概念から逸脱しそうですね。
以前書いたAR八木アンテナのコンセプト図どおりの大きさになりました。

この規模だと6エレと比べてどれくらいdBや指向性が変わるのかちょっと楽しみです。

追記 受信してみたところ、指向性の鋭さを実感。AR支援は必須だなあと思いました。
水平線3度(山の高さ)くらいまでちゃんと受信できました。 
実験用のワニ口をやめて、ちゃんとSWRを調整した輻射器を作って取り付けたいところです。

2011/09/15

FUNcube Dongleの導入


アマチュア衛星向けソフトウェアラジオをお借りしたので、セットアップをしてみた。
衛星関係者に大人気のモジュール。

AMSAT-UKで開発された、USB接続のソフトウェアラジオのフロントエンド。
FUNcubeという1U CubeSatの受信のために作られたもの。

世界中に安価な衛星用受信機を配るという、地上局量産計画が推し進められている。

ソフトウェアラジオ(SDR)とは、ソフトウェアで信号を復調するタイプの受信機のこと。
フロントエンドとよばれるハードウェアで周波数選択、信号増幅、D/A変換などを行い、PCに取り込んでからソフトウェアで音に戻す。 
特徴としては、復調形式が色々選べること、復調前の生データで保存しておけば、記録した周波数内でなら、受信周波数を微調整したり、後で復調しなおしたり出来ること。

高級機だと数十キロ~数MHzのスペクトルを一度に取り込んで観測することも可能だ。帯域はPCに信号を取り込む手段と帯域に依存している。自作で代表的なのは音声インターフェースを使うやり方。

FUNcube Dongleは、内蔵されたレシーバーICの信号をオーディオコーデックICに取り込み、USBオーディオとしてPCに接続される。そのため、一度に96KHzの帯域が観測できる。

セットアップ

原典はここhttp://www.funcubedongle.com/?page_id=313 一番上のintroductionと、Spectravueのセットアップ設定を参考に。

FUNcube DongleをUSB端子に接続する。OS標準のドライバを使うので、特に専用のドライバを入れる必要は無い。

そのままアンテナにつないでみた。 
FUNcube Dongleの動作に必要な、2つのソフトウェアをダウンロードする。

Dongleのコントローラー

 windowsの場合
  FCHID http://www.funcubedongle.com/?page_id=313 "Windows fully functional front end "というリンク
 Macの場合(win版もあり クロスプラットフォーム版)
  qthid http://sourceforge.net/projects/qthid/files/3.0/から、dmz形式?のものを入手
FCHID
QThid (win)
SDR ソフトウェア 

Spectravue 
http://www.moetronix.com/spectravue.htm

ウォーターフォール画面。96KHzの帯域幅で見ている。
FCHIDはドングルの周波数などを制御するコントロールパネルとして動作する。PCにFUNcubeを接続し、上の窓に64~1700MHzの範囲で受信したい周波数を入力する。
周波数を微調整したい時は、操作性が改善されたQThid‐3.0のほうが良いかもしれない。

SpectraVueも同時起動して、入力をFUNcubeにする。 
サンプルレートと帯域、中央周波数の設定

とりあえず帯域インジケータのStartを押せば受信が始まる。 復調も色々選べる。

SDRソフトは他にも色々あるので、ひと通り試してみるのも良いかもしれない。
ACARSパケットを受信してみたところ。
※違法トラック無線です・・・(´・ω・`)
追記 SDR-RADIOというSDRソフトがすごい
Funcube対応で、衛星追尾に必要な機能(ドップラー補正、ローテータ制御等)が全部入り。



自作八木アンテナでテスト。感度はDJ-X11と変わらないけど、住処の電波環境が悪すぎるために、まだ肝心の衛星からの電波を受信出来ずにいる・・・

受信に使ってるいつもの簡易八木
 構想段階の事
(iOS cant handle USB HID) 
本家でも話題になっていたが、iOSデバイスに接続することは可能かどうかについて。

試しにiPadにつないだところ、オーディオデバイスとしては認識された。ただし、コントロール用のHIDは使えないため、このままでは無理。 
iOS5からはiPadのみだったカメラコネクションキットがiPhoneにも解禁されるが、標準HIDデバイスはおそらく扱うことができない。(脱獄すればできるだろうけど・・・)

HID制御といっても、PIC24で実現しているようなので、USBキーボードに偽装すれば可能かもしれない。あとはオーディオ入力がどれだけの帯域に設定されているか、復調に使えるかどうか、といった点は未知数だけど、もしiPhoneに接続するだけで使えるようになったら、AR八木アンテナと組み合わせて、ポータブルな衛星受信が可能になる。 携帯地上局計画につながるだろう。



参考文献

Pure Dataで作るソフトウェア・ラジオ
http://www.geocities.jp/e_karakuri/sdr/contents.html

2011/09/10

RFネットワークは電気昆虫の夢をみるか



1年前のある晩に、田んぼを自転車で横切る最中、虫の音が電波信号に聞こえてきた。
ちなみに東京と言っても、三鷹や調布あたりは結構森や田んぼが残っていて、越してきた時とても親近感を覚えた。 住んでいる間にずいぶん宅地化が進んでいるけれど、時の矢は一方通行だ。

さて、虫の声に掻き立てられた感傷をリセットするために、ダイバーシティ受信ごっこと称して、最寄りのコオロギの鳴き声に意識を向けて、通り過ぎるごとに新たなdBの虫に切り替えるという遊びを思いついた。たぶん疲れていたんだと思う。

最後の虫の音は住宅街に入ると次第に減衰して、コンクリで反射して微妙なマルチパスになりつつも、最後には通りすぎるタクシーにかき消されて聞こえなくなった。

目に見えない電波が日々情報を運んでいる中で、音波もまた情報を運ぶ。田舎では蝉やコオロギの大合唱が、常に同族への信号を送り続けている。ツクツクボウシはなんだかAX.25みたいなフレーム構造があるなあ、とか、アブラゼミはチャンネルを拡大し続ける無線LANの電波みたいだ(うるさい)、などと妄想したり。秋の虫はFMデータ通信の音に似た奴が多い。

 複雑化するネットワークがサーバーを内蔵した小型ロボットとなって、一種の生態系と化すという展開は、シンギュラリティを扱うSFでよく出てくる。
田んぼで鳴いてる虫たちも、歌っているのは求婚ではなくてデータ通信かもしれない、と思って聞いていると結構面白い。ただ、同じ所で同じ周波数で発信するというのは、シャノン限界を考えるとあまり効率が良くない行為だ。実際には意味と言うよりも、長さや音色、音圧などの単純な情報のみをやり取りに使っている証拠でもある。

いつかGoogleの刻印がなされた鈴虫が捕まえられるようになるかもしれない。飼っておくと通信帯域が増え、代わりにいくつかデータを収集される、そんなやつ。

2011/09/08

ドメイン移行しました

移転先 blog.kemushicomputer.com 

本家GoogleSiteもsites.kemushicomputer.comで見られます

勝手にリダイレクトされますが、お手数をおかけします・・・

以下SpinnerOne写真集

2011/09/05

宇宙機お絵かき 超小型再突入体試験衛星


宇宙機お絵かき。 今回は物理データを地上に送り届けるグライダーを搭載したキューブサット(の構想)

2009年に、ISSから紙飛行機を地球に落とそうというプロジェクトがあった。結果的に中止されてしまったけれど、軽量な紙飛行機なら再突入に耐えるかもしれないというアイデアは結構魅力的だったと当時思った。

中止された理由は放出方法が不確定であることだったらしい。前例のない軽量物体なので、放出する挙動が掴めないというのもあると思う。ISSではクルーの安全が第一なので、ちょっとでも不安定要素があれば中止されるのが常である。

ISS高度だと希薄だが大気があるため、物体は数ヶ月で落ちる。ISS自身もリブーストという高度修正を行い続けないと落ちてくる。
CubeSatをその高度に放てば、同じように数カ月で大気圏に突入する。

紙飛行機も同じように落ちてくるだろうけれど、確実に落としたい。再突入用の軽量なグライダーを落とすための仕組みをあれこれ考えて、もうちょっと具体的にしてみた。もちろんこれは妄想である。

<衛星に格納する>
ISSにはCubeSat用の放出機構が付けられる予定なので、CubeSatにグライダーを収めよう。
図の衛星は3Uと言って、3つ分重ねたCubeSat規格の最大サイズ。スロットをまるごとひとつ専有する。
これで放出方法は大丈夫だろう。 衛星とグライダーを切り離すのは再突入直前まで待つことにする。

衛星に収めることでもう一つのメリットが発生する。それは大気圏再突入の時期がモニタリングできるということだ。ソユーズなどの宇宙船に例えれば、軌道での動作に必要なサービスモジュールである。紙飛行機だけでは、地上に電波を送ったり、数ヶ月稼働するシステムを収めることは難しい。
紙飛行機だけだと、結局いつ地球に戻ってくるのかはわからない。大気の密度は結構変わるので、再突入の精密な予想はまだない。
おそらく大気圏に無事戻っても回収は難しいだけに、せめて軌道側での情報は沢山取得したい。


<大容量データ回収>
せっかく地球に戻ってくるので、なにか役割を期待したい。 ひとつ考えられるのが、HD映像など、小型衛星では難しい大容量データの回収。 microSDを一枚でも、最近は32GByte(実29.8GB?)の容量がある。(64GBも出てきた)

これは例えばCubeSatではまだ搭載例が少ないSバンドの無線機で、100kbps、1日4回40分、合計30MB/日、通信できたとしても、降ろすのに1000日以上かかるデータ量だ。無線なので観測データ以外にヘッダやCRCを挟むため、実際のデータはもっと少ない。地上局が沢山出来たりしないと、5~6年はかかると思う。つまり30GBなんてデータ量をナローバンドで得るのは途方もなく困難で、1200bpsでは不可能な領域だ。

このグライダーを大容量データを降ろすための手段として使えたら、未知の世界が見えるかもしれない。衛星は燃え尽きても、データは地上に戻ってくる。単純に考えると、GoProで撮った全周軌道映像だろうか。

 RFC1149はジョークプロトコルだけれど、考えてみれば現在でも大容量データは物理メディアによる配布が一般的ですね。(1TBを超えるとHDDの輸送を検討する感じ)
    wikipedia 鳥類キャリアによるIP RFC 1149

グライダー側も、GPSと100mW程度の送信機を積んで、現在地と目的地を放送するといったことができると、発見確率を高められるだろう。 その上で、ある程度人の居る地域へ誘導する。 それでも海洋上に落ちたり、無人地帯に落ちる可能性がほとんどだろう。やはり再突入タイミングを調節できないと厳しそうだなあ。 うーむ。 

翼長40センチほど。microSD,フィルム太陽電池、GPS、送信機搭載で50g以内に納めたいなあ
地球は広いなー