2012/05/31

PIC12F1822のDSMを使ってみる

12F1822/16F1823

ここ数年PICはご無沙汰だったけど、別件で扱う必要が出てきたのに合わせて、拡張ミッドレンジのF1世代がおもしろそうだったので、手に入れて触ってみた。

DATA Signal Modulator

入手したのは8pinのPIC12F1822と14pinの16F1823
とても安い。

データシートを読むと、EUSART、SPI、I2Cなどひと通りの通信に対応している。
こうなってくると、少ピンなPSoC1とMSP430バリューラインの利便性に食い込んできてる気もする。

気になるのが22章にあるDATA Signal Modulatorという機能。説明を読むと、データ出力にキャリアー信号を合成してくれるらしい。

・キャリアー(High/Low2種)
・データ信号
を用意することになる。それぞれレジスタが用意されている。

・キャリアー信号源は外部入力/CCP1/リファレンスクロックが選べる。OOK(モールス)の時はHighだけ使うので、Lowキャリアーは入力をVSSにつなぐ。

・データはUSARTのTX、MDBITレジスタの直接操作、外部入力が選べる。

設定によってはASK(OOK)、FSK、PSKが生成できるとある。


今回は試しにOOKを作ってみる。キャリアー1つで出来て、周波数を可聴域にすればブザーを鳴らせる… 

・DSMの出力ピンは1822の7番ピン/RA0/MDOUTピン。

・CCP1によるキャリア生成
CCP1をPWMモードでDuty比50%の波形を生成する。設定は12F1822覚書というサイトを参考にした。

・CCP1もUARTも外部出力ピンがあるけれど、DSMで使う信号について、外部ポート出力はMDCARH/MDCARLなどのレジスタでDisableできる。

・リファレンスクロックによるキャリア生成
CCP1は簡単にできたのだが、12F1822にはひとつしか無いので、もう一つの信号源としてリファレンスクロックを使ってみた。 

リファレンスクロックは128分周しかできないので、クロック1MHzでもちょっと周波数が高い。思い切ってシステムの動作クロックを31.25kHzにして、32分周した976HzをDSMモジュールに入力する。


省電力なので、5V1.5Fのキャパシタを太陽電池で満充電して、DSM出力で100msだけブザーを駆動し、動作確認用LEDを2mS発光で1秒待機というコードで、スリープせずに4~5時間近く動いている。

/********************レジスタ設定例************************/
//前半略 

//リファレンスクロック
CLKRCON     = 0b11110101; //リファレンス出力 128分周 976Hz @31.25kHz
//DSM
MDCON       = 0b01100000; //MDEN=0;MODE=1 out_en(RA0);
MDSRC       = 0b10000000; //MDMS<3:0>  0000=MDBIT
MDCARH      = 0b10100011; //MDCH<3:0> 0011(RefClock)
MDCARL      = 0b10000000;  //MDCL=0000(vss)

MDEN     = 1;          //DSM enable

//途中略(LEDチカチカコードと同じ)
//ループ内容は以下のとおり。
while(1) {
         MDBIT = 1;       //DSM databit High

         __delay_ms(100);
         MDBIT = 0;
         __delay_ms(1000); 
     }


/********************************************************/

LEDチカチカのコードに上記を追加してmainループを入れ替えれば、ブザーを鳴らすことができる。
(クロック/delay関数用周波数定義は31.25kHzにしてください)

記事末尾にコードを置いときます。
Hi-TECH-PCC(v9.83)で確認。

aitendoの315MHz帯のASKトランスミッタ/レシーバーを使えば電波チカチカができる。
電力を絞ってバッテリを長持ちさせたり、小型化の方向性を追求してみたい。


データ流をシリアルTXに変えたり、モールス符号化すればセンサノードとして使える。
データシートは記載無しだけど、ミッドレンジにはちょっとした温度センサも付いているみたいなので、その値を飛ばすといったものが考えられる。

(修正:PIC16F1823もCCPは1つだけ)

16F1827ならばCCPも2つあるので、おなじみなFSKを生成するのも簡単そうだ。

もっと小規模な10F322でも、OOK位なら同じ事できそうだ。 あちらはデータシートにちゃんと内蔵温度センサの使い方が乗っているし… 

テスト基板。LEDとブザー、スイッチ付き

PICKit2はデバイス定義ファイルの更新が必要だった

ASK送信機をOOKしているところ。



参考
PIC12F1822
http://www.microchip.com/wwwproducts/Devices.aspx?dDocName=en544839

PIC12F1822使い方:12F1822覚書 http://www.geocities.jp/zattouka/GarageHouse/micon/MPLAB/12F1822/memo.htm

1822/1823 秋月 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-04557/



サンプルコード
/*******************************************************/
/************************
DSM module OOK sample
OSC = 31.25kHz
DSM Cariier source: Refelence Clock Output


確認環境:MPLAB X & HTCC Lite v9.83
************************/
#include
#include
#define _XTAL_FREQ 31250
/*** IO PIN config ***
2:RA5/RX :NC
3:RA4/TX/CK :NC
4:MCLR/RA3 :NC
5:RA2/(TX)SS :NC
6:RA1/(RX)/SCL/SCK  :LED(1kΩ sink)
7:RA0/SDA           :MODOUT buzzer or ASK transmitter
**********************/
__CONFIG(CLKOUTEN_OFF & FOSC_INTOSC & FCMEN_OFF & IESO_OFF & BOREN_ON &
         PWRTE_ON & WDTE_OFF & MCLRE_OFF & CP_OFF & CPD_OFF) ;


__CONFIG(PLLEN_OFF & STVREN_ON & WRT_OFF & BORV_19 & LVP_OFF & MCLRE_OFF);
//BORVでコンパイルエラーの時、BORV_HI(2.5V設定) BORV_LO(1.9V設定)を試すとよいかも
void debugled(void) //一瞬だけ発光
{
                RA2 = 0 ;
                __delay_ms(2);
                RA2 = 1 ;
}
return;
}


main()
{
    OSCCON     = 0b00010010 ; // 31.25kHz
    OPTION_REG = 0b00000000 ; 
    ANSELA     = 0b00000000 ; 
    TRISA      = 0b00000000 ; 
    WPUA       = 0b00000000 ; 
    PORTA      = 0b00000000 ; 
RA2 = 1; // LED OFF

    CLKRCON     = 0b11110101 ; //リファレンス出力,128分周,Duty50%,976Hz


    MDCON       = 0b01100000 ; // MDEN=1;MODE=1output_enable;
    MDSRC       = 0b10000000 ;//[bit3-0] 0000 = MDBIT
    MDCARL      = 0b10000000 ; //disable(OOK); MDCL=0000(vss)
    MDCARH      = 0b10100011 ; //MDCH<3:0>0100(CCP1),0011(ReferClock)


     while(1) {
         MDEN = 1;
         MDBIT = 1;
         debugled();
         __delay_ms(100);
         MDBIT = 0;
         __delay_ms(1000);  
     }
}
/*******************************************************/

2012/05/29

horyu2パス 3エレ固定八木+rtlsdr


28日昼、真上を通る鳳龍弐号の信号とらえたパスのデータを解析した。上のウォータフォールは縦が時間で、およそ5分の間のドップラーシフト量が見えるように調整したもの。 
まだrtl-sdr自体も周波数ズレを測定していないので周波数軸は目安です。

FM―CW―FM―CW(かすか)―FMというサイクルが見えると思う。
開始直後真横に走る信号は蛇行したノイズ。多分移動局の信号。

CWとFMで数kHzのずれがあるのかな・・?
rtl-sdrも利得がとれていればそれなりに受信できることがわかった。 このとき自作八木アンテナは上に向けて固定して、指向性を減らすために半分の3エレにしている。 手動で振り回せばデコード可能な利得を得ることができるかもしれない。

1MHzの帯域で取ると、8ビット解像度といえど十数分でwavファイルのデータ量が1GB超えてしまうのがちょっと悩み。

運用のお供にSDR


2012/05/28

蟹SDRで小型衛星を追う

RTL-SDRをつかって小型衛星を追ってみた。

最近打ち上がった鳳龍弐号が無事電波を出している。元気にさえずっていてとても受信しやすい。

超小型衛星運用の現場は意外と保守的で、SDRを活用しているという例はあまり聞かない。IC-910のようなリグを置いて、ドップラーシフトやローテータ管理をPCで行い、パケットはハードウェアTNCを通すという設備が多い。 
自分が関わった時は全く違う理由で、導入された受信機がSDRとして使える機種だった。それ以来何かとSDRを軸にしている。 DJ-X11(I/Q出力可)、FunCube Dongle、そしてRTL-SDR。

最初のSDRはどちらかと言うとソフトウェアとの闘いがメインだった。フリーズした時やPLLロックが外れた時のウォータフォール画面を見分けられないと、重要な観測データが吹っ飛んでいることに気づかない。電波とは関係ない部分でだいぶ気を削がれる。

試行錯誤してやっと運用時の使用法を会得しつつある。慣れないときは従来通りの受信機と併用するのが一番安全。 SDRはレコーダーとして使う。取得中はパラメーターに触らない、など。
RFデータを再生しながらデコードを何度も試したりといった面ではかなりの威力を発揮する。得られたI/Q信号のwavファイルをあとから調理する感じだ。


RTL-SDR + HDSDRによる受信実験 

WindowsでRTL-SDRを使用する場合、HDSDRがソフトとして使われる。 記録オプションにRFデータの生成があるので、I/Qデータファイルを記録するようにする。

パスの前に、予めドップラーシフト幅をOrbitronなどで出しておいて、SDRの中心周波数のノイズを避けつつ、HDSDRが保存してくれる帯域幅に収まる範囲で衛星の電波を記録できるようにする。

あとはパスが始まった時に記録を開始。LOSで停止させる。


衛星追尾は手元のハンディ機と八木アンテナ、方向指示用スマートフォンで行う。ハンディ機は受信確認に使えるので、実験の始めは信号をアンテナからSDRとハンディ機に分岐させた。お手軽な受信環境を試してここらへんに行き着いた。

受信装備 SDR受信PCは屋内に同軸を引きこんで直射日光を避けた。
 HDSDRのプレイバックだと埋もれて見つけられなかったが、ファイルをSpectraVueで再生するとパケットが確認できた。 広帯域記録の弱点は狭帯域の微弱信号を見つけるのに苦労するということだろうか…。 何度か再生しながら、信号が出現する場所を捜索してゆく。

最大仰角14度のパスで、20個ほどのパケットを確認した。しかし信号が痩せすぎてデコードは無理。 手持ち6素子の八木ではちょっと難しい。ハンディ機で聞いたよりも多いパケットが記録されていたのが収穫だった。

白いノイズに寄り添うもやっとした波形が鳳龍弐号のFMパケット。 ELは数度しかなかった
受信は確認できたので、ハンディ機を外し、損失を減らしてSDRオンリーでやってみることができそうだ。

8ビット解像度しかないので不安だったが、手持ち設備でも波形があることを確認することはできた。 いずれ標準的な地上局に接続するとどうなるか試してみたい。

2012/05/26

Kindle買いました

モバイル機器。
肥大化する要求と変わらない電池容量/人間工学の間で発振するデザイン。永遠に未完成のギズモたち。
いつの間にか、ソフトウェアで可能となるであろうすべての可能性を諦めきれないことに慣れてしまう。
何かを戦略的に諦めることでだいぶ楽になる。 なんだかんだ言って電車内でNintendo DSやPSPを見かけない日はない。動画や写真、アプリを諦めれば、電子書籍端末という選択肢が見えてくる。

AmazonのKindle(Kindle touch)を買った。

以前から電車で洋書を読んできた。最近、いつも読んでる作家の最新刊を本屋で見つけたのだが、ペーパーバックのサイズが大きすぎて、既に溢れてしまいそうな鞄に詰め込むのは難しいと結論が出た。 
小さくて本が読みやすいデバイス。そうなるとiPadなんかを個人所有するより、Kindleあたりが断然魅力的になってくる。 鞄に入れたネットブックとも機能がバッティングしていない。 

単語をタップすると辞書(無論、英英辞書)が出たり、人物名の登場回数を統計表示させたり、読み上げたりと、電子書籍は洋書を読む上で便利な機能がたくさんある。 そして電子インクなので通信機能を切れば1ヶ月は電池が持つ。なにより目が疲れない。


大きさは持つのに調度良い感じだ。ウェブ上のイメージよりも薄い印象を受ける。 
レザーケースも同時に注文した。


おまけ程度に考えていたPDFの表示を試してみたが、結構使えた。 データシートをたくさん放り込んでみたけれど、文字も潰れたりしていない。 これで資料は印刷して持ち歩かずに済む。

本当はひと世代前のキーボード付きKindleのデザインがグッと来てしまい、だいぶ悩んだ。結局白モデルが国際対応していないということで諦めた。
手を出すのが遅かった。デザインに惹かれていただけなので、諦めた後はKindle Touchで十分満足している。 

 ちなみに3G対応モデルにしたので、
 携帯圏内であれば、どこでも本のダウンロードができる。端末のみで本の入手管理が完結している。
 通信料はストアの書籍代に上乗せされているので無料だ。 Kindleユーザーは3G対応版を選んでも損はないはず。
 3G回線での無制限なwebアクセスはできないようになっている。ただし英語版Wikipediaの閲覧は許可されているので、銀河ヒッチハイクガイドみたいな面白さがある。


直射日光下の視認性はもちろん良い。空き時間に本を読むには最適なデバイスだと思う。
病院のベンチでストアから本をダウンロードし、試し読みしてよさそうな本を買う。 そうした動作にほとんどストレスを感じない。


2012/05/24

RTL-SDRのケース加工




もやは原型をとどめていないけれど、RTL2832Uを搭載したチューナー基板のケースを製作した。
ついでにUSBケーブルの差がノイズレベルに及ぼす影響を見てみた。

(Realtekの蟹チップということで蟹SDRと呼ぼう)


ケース加工

基板そのままでは心もとないので、タカチのMX2-4-8GSに入れてみた。


同時にUSBコネクタをmini-Bに交換。


RTL2382Uは発熱が多いので、直下の放熱パッドからケースに放熱できるようにしたい。
ということでアルミ平棒を2枚重ねて固定する。平面にはシリコングリスを塗布した。
ケースの底はt=1.6のガラエポ基板が差し込める構造だったので、本体は錫メッキ線でレールを、miniB端子側は適当な基板の切れ端を固定した。

中身
仮組みした段階で動作チェックを行ったところ、認識はするがソフトウェアはエラーで使えない事態に。
調べると秋月のmini-BコネクタDIP変換基板のヒューズで電圧降下していた。基板全体の消費電力は接続時0.6W, 起動時1Wとかなり大きい。 ヒューズをバイパスしたところ無事動作した。

外観

高級感がでた

USBケーブルによる受信ノイズレベルへの影響



ケース加工に至った動機の一つが、ノイズレベルがUSBケーブルのノイズ対策に左右されるというフォーラムで見つけた情報。 試しに電気屋でフェライトコア付きケーブルを探すと意外と無く、mini-B接続のものしかなかった。仕方ないのでちゃんと加工しようと思った次第。

ケースの方は、素子の発熱をうまく逃すことに成功し、1時間以上受信しても問題ないことがわかったので、窓辺でアンテナ位置を固定、二種類のケーブル(フェライトあり、なし)で受信してみた。

受信したのはWFM局のある80MHz

フェライト無


フェライト有り
確かに減っている気がする。 

以上簡単な実験でした。

おまけ


テプラ(透明、ゴールド)で適当なロゴを貼ってみた

 屋外で超小型衛星の受信テストを行う様子。 ソフトウェアの不調や録音帯域などの調整項目が結構あるので、パスごとにドップラーシフト量を見積もり、オフセットをして録音(I/Qデータ形式)中はパラメータに触らないようにしている。

ゲイン低下を覚悟で信号分岐してハンディ受信機を手元の受信確認に使う。ハンディ機では結構聞こえてくるけれども…


2012/05/17

rtl-sdr その2

rtl-sdrを受信用に幾つか小改造を施した。
もともとあったコネクタと余計なパーツの除去を行う。
コネクタは日本ではあまりお目にかけないIEC型?(PALコネクタ)というもの。出品者がIEC-F変換コネクタを付属しきたけれど、敢えて取り外してみた。

RFコネクタはベタGND相手で手ごわかったが、90Wはんだこてで少しずつ吸い取り、最後は足をニッパで切り取りながら取り外した。受信部の表面実装品が熱で外れはじめたりして危なっかしい箇所が何度かあった。

ついでに基板の前の部分もカットしているけど、SMA-BNC変換コネクタを挟んでも特に干渉しなかったので実は切らなくてよかった…。そこにケースの固定穴があったのでちょと痛い点。 

基板用SMAコネクタに交換して、眩しいLEDと赤外線受光部を取り外した
なんとなくFCDっぽさが増してきたと思う。USB延長ケーブルを使わないとPCのノイズを拾いがちなのもFCDに似ている。ただし発熱は多い。
現実的には、小型衛星追尾だったら確実にFCDの方が必要十分な機能を備えている。 帯域も96kspsあれば、周波数は既知だから十分。
それを言うとDJ-X11でも20kHz程度あるから十分だという話になってくる…。 rtlが面白いのは3.2Msps出るという部分だろうか。 入手した方の情報を検索すると、簡易ソフトウェアGPSの試みなどを発見できる。 簡易広帯域スペアナと思えば破格の安さですね。

Atom機でサンプルプログラムが動かなかった件は、ウォーターフォール/スペアナブロックを片方だけにして、再生帯域を1Mspsに落とすとフリーズせず動くようになった。  

ソフトウェア側はもうちょっと慣れないとだめだなあ…




2012/05/16

RTL-SDRを試す

FUNCube Dongleなど、お手軽で低価格なSDRが増えてきている中で、ちょっと面白いものを見つけた。 その名はRTL-SDR。http://sdr.osmocom.org/trac/wiki/rtl-sdr

10~20ドル帯のTVチューナーが、SDRフロントエンドとして使えるらしい。

その受信機として使えるドングルが届いたので、まずはセットアップしてみた。
上が今回入手したチューナー。 下は比較用にFUNCube Dongle pro
受信機と言っても、 激安 デジタルチューナ―として出回っている物。

外見はいろいろあるが、重要なのは中身のチップ。 wikiのリストを見るとRTL2832Uが必須で、E4000を搭載したものが推奨とある。 非搭載の製品も見た目はあまり変わらないので、適当に判断すると危ないかもしれない。

今回入手したドングルはeBayでみつけたもの。
既にSDRとしての価値が高まりつつあるらしく、送料含め2500円ほど。 同じような製品なら、Aliexpressのほうがたくさん見つかる上に安い。ただし真偽がわからなかったので、業者がSDRに使えますと謳うほうを選んだ。 

入手したものはNewsky社の製品となる。 Aliには直営?サイトがある。
リンク置いときますが、直接取り寄せていないので中身については保証できません。

RTL2832Uを使ったワンセグチューナーであれば、日本国内でもっと安いものが買えるようだ(IC名でググると価格.comの質問欄がヒットするので…)。
いろいろと付属してきた


E4000はFUNCube Dongleの要でもある広帯域チューナーICだ。 64~1700MHzの範囲でI/Q信号を出力する。本家サイトを見るとこれとは別のチューナーICを使った製品も結構ある。

その後ろにあるのがRTL2832Uで、デジタル放送の復調を行う。このICにはI/Q信号をそのまま取り込む機能があったため、ドライバをいじることでSDRフロントエンドとして使えた…というカラクリ。 昔トイデジで直接RAW画像を取り込んでいた時を思い出す…。
帯域は広く、約3MHzを一度に観測できる。昔使ったことのあるAR-Alphaが1M帯域だったのを思えばなんだかすごい。
ただしA/Dは8bitしかないのでダイナミックレンジが狭い。CubeSatみたいな弱い信号向きではなさそうだがどうだろう…。 2MHzもあればほとんどのアマチュア衛星の周波数を一度に観測できてしまうから魅力的なんだけども…。

比較的余裕のある実装。もっと小さいものも結構ある

E4000とRTL2832U
ソフトウェアのセットアップ

RTL-SDRを使うための環境はいくつか方法があるが、まずはUbuntu10.04にGNU-Radioを入れてみた。
実はサイトをよく読むとスクリプトが提供されているので、それを読みこむとGNU-Radioの設定はほとんど自動だった。 ビルドは十数分掛かったが。


サンプル設定をダウンロードして読み込み、80MHzあたりのFM放送を復調しているところ。信号はTVアンテナ経由。
2MHz帯域を一度に見ているので、ウォーターフォールにはいくつかのラジオ局の信号が同時に見えている。
5年前のVAIO SZだが、WFMの復調を難なくこなしていた。 Atomなネットブックだとさすがに厳しいようですぐ止まってしまう。 帯域を絞ればいけそうな雰囲気だ。

値段の割りに色々と実験できて楽しそうだ。 それにしてもGNUーRadioは面白そうな機能がたくさんある… 

今回はここまで。

RTL-SDR本家 http://sdr.osmocom.org/trac/wiki/rtl-sdr

設定などでお世話になったページ(英語)
http://superkuh.com/gnuradio.html

WindowsではHDSDRとSDR#がおすすめ。 SDR#はWideFMが綺麗に聞ける。


チップ情報

RTL2382U http://www.realtek.com.tw/products/productsView.aspx?Langid=1&PNid=22&PFid=35&Level=4&Conn=3&ProdID=257


後日談

放熱とノイズ低減のために筺体を改造した記事
http://blog.kemushicomputer.com/2012/05/rtl-sdr_24.html
小型衛星の電波を手持ちアンテナで受信してみた記事
http://blog.kemushicomputer.com/2012/05/horyu2-3rtlsdr.html

2012/05/13

430M帯QFHアンテナの製作と設置


過去にも何度か試作してきた435MHz帯QFHアンテナ。

今回は屋上に設置できるものを製作した。 また、受信部には
小さなSDR、FunCubeDongleを使っている。過去記事2

普通はゲインを稼ぐために八木アンテナをローテーターで振り回すけれど、それができない環境でも電波が受信できるかどうかは結構興味が有るところ。

<製作>
材料はできるだけ加工が容易なために3mm径のアルミ針金を使う。
100円ショップでちょうど3m巻が売っていたので、これを使った。

   素子の製作

素子は無指向性を持たせるため、ヘリカルになっている。ここが八木アンテナとくらべると3次元的なので面倒な部分だと思う。綺麗に曲げるのが難しい。簡素化のためにいろいろ試行錯誤した。

  • φ3mmアルミ針金 3m 100円
  • 上記針金が差し込める圧着端子 (ホームセンターの電気コーナーより)
  • M3ネジ 長さ6mmくらい 100円
前回までは素子部をひとつの線から曲げて作っていたが、今回は部分部分に分けてネジ止めすることにした。 このほうがきっと綺麗に作れる。
アルミにこだわるのをやめて、真鍮などでつくったほうが、ハンダ付けできるので簡単になると思う。


大きさ計算
下記のサイトの計算シートを使わせていただいた。
http://www.jcoppens.com/ant/qfh/calc.en.php

QFHアンテナの文献は、NOAA衛星のAPT受信に関する製作記事を探すと良い。
NOAAやACARSは130~145MHzなので、製作するアンテナも巨大になる。

430M帯に合わせれば、縦20cm横10cm程度の大きさなので、3mm径の線材を使えば自立する。
使う材料も少なくて済むので、製作はやや簡単。

気象画像受信も結構楽しいのでぜひ。 過去記事3

製作過程

 長ループと単ループの支持部。 折り曲げた端には後で同軸ケーブルのSMAコネクタを接続する。
 一つのループを取り付けたところ。
 上記を拡大。 
 仮組み。 このあと改めて塩ビパイプに取り付けた。 
SMAコネクタの取り付け方だが、素子には直接ハンダ付けできないので、錫メッキ線を巻きつけたところにハンダ付けを行い固定した。



固定場所として、屋外のTVアンテナ台の基部に取り付けた。 
高い部分に取り付けても近くの幹線道路から干渉を受けるのと、風を受けて揺れるので開けているけど低いところに置く。 都市部なので最初からノイズレベルが高い。
今回はプリアンプ等はつけていない。 CubeSatのビーコンを受けるにはかなり寂しい設備だ…。

<受信設備>

受信機はFunCube Dongleを接続したノートPCで、ソフトウェアはSDR-Radio(build 1009)を使った。
SDR-Radioは衛星受信用としては恐ろしいほど多機能なソフト。スケジュール、自動ドップラー補正はもちろん、GoogleEarthを起動して、追尾中の衛星の軌道からみた景色をリアルタイムで表示することまで出来る。 これあれば衛星追尾は問題なさそうだ。 SDRを触ってから無線に入門した世代ですがなんとなくおそろしい…。



<受信結果>

ちょうど設置後に高い仰角のCubeSatが2機通ったので、受信してみた。 XI-IVとCute-1が一緒にやってきた。 XI―IVは慌てていたので取り逃がしたが、Cute-1のビーコンは確認できたので、とりあえず性能は問題なさそう。 SDR-RADIOの自動ドップラー補正が心強い。 しかしFMパケットはやはり無理があるようだ。

これから受信してみたい衛星や運用形態はたくさんあるが、まずは週末のH-IIA打ち上げまでに新しい受信機(RTL-SDR)がテストできるはずなので、それまでにソフトに慣れておきたい。