2010/11/30

手抜きGPSロガー

 ものすごく手抜きなGPSロガー
なんとコードすら書いてません。
 中身はGPSユニット、OpenLog、リチウムイオン充電池。たったこれだけ。


 OpenLogはMicroSDを使ったシリアルSDレコーダーで、最新ファームだと最大115.2kbpsの速度をそのまま記録可能だとか。
 マイコンからファイル操作も可能で、とても便利。デフォルトの9600bpsであれば何もしなくてもとりあえず記録できてしまう。(ボーレート設定等はSDカードに生成されるtxtファイルで行う)
これにLS20126を接続し、リチウムイオン充電池で駆動する。 多分ぜんぶで50mA以下だから1000mAhの容量ならまる一日は動作しつづけるだろう。 

 記録精度は問題なし。 これで磁気センサ値が反映できるよう、自転車に取り付けたりできるといいかも。

・スイッチすら省いたけど、逆接続による故障防止のため、電源ラインにダイオードを入れた。
・LS20126にはバックアップ電池が無いので、用意しない限り毎回コールドスタート。 ただ衛星捕捉は早め。


OpenLog Sparkfun http://www.sparkfun.com/products/9530 
OpenLog HOME https://github.com/nseidle/OpenLog/wiki
LS20126 http://www.sparkfun.com/products/9838
Polymer Lithium Ion Battery - 900mAh http://www.sparkfun.com/products/341

2010/11/27

糸巻き戦車型ローバー紹介動画




新型車体による紹介動画。 撮影中に猫が乱入して動画の方向性が乱れたものの、好評そうでなによりです。
生物を模倣したつもりはなくても、機能性の追求がRollyみたいな生物感をもたらすことは分かっていたので、某動画サイトで"かわいい"というコメントが付いていたのが印象的でした。
しかし、これの元ネタはむしろパンジャンドラムに近かったということは、言っても信じてもらえないだろうな…
そう、巨大Rollyを自作しようというネタから全ては始まったのです。 

<おまけ>

公園の猫との戯れ

2010/11/23

Spinnerのモーター交換

走行テストで不具合は出てくるもの。
試作機は合計で30分も走らせていないため、同設計の車体を長時間動作させた結果、いろいろと不具合が出た。
まずはタミヤの遊星ギヤモーターがとてつもなく電力を喰うわりにトルクが弱い。
ためしに電流計で無負荷電流を測定すると
・借りたマクソン 100mA以下
・遊星ギヤボックス+280モーター 480mA
という結果に。
グリスの焼ける臭いは凄いし、加熱するとすぐに出力がおちてしまった。

Spinnerの電子部品とパーツは、電子パーツ屋と東急ハンズで揃えたが、はじめてツクモロボット館にふらりと入ったところ、代替候補をみつけた。ギヤードモーターRA250100-58Y91)¥1500
ギア比 100対1のモデル。
http://robot.tsukumo.co.jp/goods/2340105965506/
なにがいいかというと、今までのように、車輪との固定がナット1個で済むのに必要なネジつきシャフトと割りピンがそろっていること。 
さっそく付け替えた。 予備のアルミ円盤さえ加工すれば固定できるため、作業はすぐ終わった。 
モーター用にアルミ棒で固定具を作成。L字型に曲げてネジ止め。

円盤を一枚減らした。 固定先に応力が蓄積して曲がるようだったらもう一枚で固定しよう。
 このモーターの電圧は4.5V定格らしいので、単三2本では足りなくなった。 ついでなので本体側のLi-Poバッテリと同じものをつないだ。 コネクタが同一なので問題なく運用できる。

モータードライバの固定先
 消費電力は150mA程度でとても少ない。タミヤのモーターは電力がほとんど熱に変わっていたのではないか?・・・ ギアの噛みあわせもあるのだろう。

タミヤ製のモーターとギア比を同一にするよう心がけたが、このモーターで100対1かつ3.5Vだとさらに遅くなる。 動画で二種類の速度があるのはそのせい。
ただしトルクは2倍程度に増えた。 これはスタビライザを縦に置いた電子秤に押し付けて測定した結果わかったこと。
動画で紹介したように、固定されたり、石のような障害物に出くわしても乗り越えられることは確定した。
ただし細かい砂の山みたいなところだと、掘り進んでしまい前に進みずらそうだった。 タイヤ形状に工夫が必要だ。 今のでも気に入っているのだけれど・・・ 

あくまで自律探査機を目指すので、速度は要らないが自力で脱出はできてほしい。 現状その場で砂を掘るだけで、腕を振ったり、後進すれば難なく脱出できる。 後付にしては車輪の回転運動以外にも外乱を起こせる腕ってなかなか便利なアイテムなのであった。 ジタバタさせてたらネコに攻撃されたのはちょっとしたハプニングだが、種族を超えて無害と認定されてなによりです)

アクリルの強度を過信していたら、スタビの根元が割れた。 撮影前だったのでエポキシに浸して難をのがれたものの、アルミで作り直しが必要ですね。

2010/11/19

二つのシリアル接続JPEGカメラの比較

左:LinkSprite LS-Y201-TTL 右:C328-7640
最近Sparkfunで取り扱いはじめたLinkSprite社製のJPEG Color Camera LS-Y201-TTL

偶然若松で見つけたので見てみると、レンズマウントがよく見かけるタイプなのでレンズ遊びを期待して購入。 秋月のボードカメラを望遠鏡にとりつけて天体観測をしていたころの記憶が蘇る。

ついでに手元にあったC328-7640(すでに入手不可。今は改良された後継機種が出ている)と比べてみた。 

外観


基板はC328より大きめ。 日本にはTTL版が入ってきたようで、裏にRS232レベルコンバータは無い。 販売元ではArduino用ライブラリ、あと中国語っぽいPC用制御ソフトが入手できる。

裏のLSIはPDA向け汎用映像処理チップ、らしい。
データシートを検索したら製品特徴だけ見つけた。 それによると、モバイル用と言う割には、監視用途まで想定しているのか、TV出力もある。 
実は配線端子部にひとつだけ"TV"というシルク印刷がある。 
ほかはシリアルと電源なのだが、TVという端子にRCAケーブルを半田づけしてTVにつないでみた。
アナログTVの映像端子つなぐと、乱れてはいるが映像が出力されていた。 ここは監視用ボードカメラのような感覚らしい。 信号出力が弱いのか、出力先によっては一瞬だけしか映らないこともある。 
( 追記: 後日実験してみたところ、どうやらPALで映像を出力しているらしい。 PALに指定してキャプチャしたところカラー映像が得られた。 )

画像取得はシリアル経由で取得する。 制御ソフトは撮影画像の保存先のパスを指定しておかないとクラッシュするので注意。 先程のTV出力は、画像の転送期間中は転送中の画像フレームがずっと表示される。 転送が終わると元通りに30fps程度で映像を表示する。
なにはともあれ、秋晴れの日に外へ出て撮影テストを実施してみた。
比較用テスト

ハウジングに入れたC328と、LS-Y201を用意。

秋月のUSB変換キットを改造したシリアル変換器でPCと接続。 FT232の3.3v出力は足りない場面が多すぎるので、3.3vレギュレータを装備している。スイッチで5v/3.3v切り替え可能。

C328はタカチのケースにいれている。 上にはケータイ用の魚眼レンズを付けられるように作った。

実画像
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C328-7640

80x60

160x128

320x240

640x480

VGA,(Fisheye)


※時々橋の手前の空に映るゴミみたいな影はカモメです。
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LinkSprite LS-Y201-TTL


160x120
 (追記2010/11/25) Arduino用ライブラリを拡張して、付属ソフトでは出せない最小サイズも出力してみた。 一度成功したがその後初期化によく失敗するようになって埒があかない。 うーむ。
 付属のPCソフトには応答するが、なぜかArduino経由では応答してくれなくなる。
 実は地雷? 
  すでに究明している方のブログ
  http://shinta-main-jp.blogspot.com/2010/11/linksprite-jpeg-color-camera-ls-y201.html
320x240

640x480
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Sample 参考までに、普通のカメラでも。

GX200 (VGA)
GX200 24mm広角端


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それぞれの特徴

 センサーがVGAな上、目的がUARTで画像を読み込むことにあるモジュールに画質をもとめるのはそもそも間違いなので、それぞれの傾向と使い勝手を列挙してみる。 

C328 
・本体小さい
・圧縮率高め、
・AGC遅め、
・出力サイズ多め
・RAW出力可能。
・機嫌損ねやすい
・消費電流 max:60~70mA, min:0.66mA 10秒でスリープ。

小ささとミニマムな構成が良い。 ただちょっとしたことでコマンドを拒否したりと癖のあるヤツ。
新型のC1098-SSならいろいろ改善されているそうなのでちょっと気になる…。

LS-Y201 
・本体とレンズは標準的な大きさ。
・圧縮ノイズは目立たない。絵は綺麗。
・赤外領域への感度があるためか色がおかしい(IRカットフィルター弱め?)
・AGCは優秀。 
・解像度の変更は電源の入れ直しが必要。
・(コマンド操作しなければ)扱いやすい。 操作したいのに…
・消費電流 約69mA, TV出力OFFで43mA スリープモード無し。(画像サイズで4mA程度変化)   
・面白いことにJPEG画像サイズを設定すると、それがテレビ出力の解像度にも反映される。(VGAとVGA) 

レンズがボードカメラとしては標準的なので、画像の色合いについては、レンズを取り替えることや、カットフィルターを挟むといったことが容易に行える。 弄り甲斐という点ではLS-Y201が気に入った。 ただしMCUからの操作はC328以上にひねくれているみたい。
 公式にはあまり触れられてないTV出力だが。仕様を見る限りはJPEG画像出力付きカラーカメラと見たほうがいいだろう。(機能の優先度は、TV出力OFFのモードが存在するため、JPEG画像>TV出力となる。でも完全なスリープモードは無い)
しかし常に40mA喰うので、バッテリ機器では外部に電源制御回路が欲しい。


どちらのカメラもよくフリーズする。そのとき消費電流もおかしな値になる。C328では消費電流が65mA、LS-Y201では50mA程度になった。 LS-Y201は電源ラインだけFETで制御出来れば多分リセットがうまくいくと思うけど、C328はスリープモードがあるため、単にVCCを制御してもシリアルのラインから動いてしまいリセットできない。工夫が必要。 

LS-Y201で面白そうな応用としては、TV出力をビデオトランスミッターにつないで、RF送信をしてロボットを遠隔操縦するというものを思いついた。 画像撮影はロボット側で完結する。
惑星探査ローバーの管制気分を味わえたらいいのだけれど、日本では良さそげなトランスミッタは電波法に抵触するため使えない。残念。

こいつに組み込みたい・・・
以上レポートでした。 

2010/11/16

nya?

惑星地球の試験走行中に原生物が出現。


原生物A「これにゃんだろねー?」
原生物B「にゃんだろなー?」
非武装のSpinnerで腕を振って威嚇してみたら猫パンチが返ってきました。
警戒以前にどう見ても遊ばれています。

たぶん実家の犬よりも肝が据わっている猫たち。

皆さんも野良Spinnerとかには気をつけてください。

2010/11/15

[Spinner]糸車戦車型ロボット その2


開発を続けている糸車戦車型ローバーの新車体フレームにひと通りのシステムno
組み込みが終わった。
中身は生まれ変わったが、外見はすっぽり覆う車輪がほとんどを占めているため、あまり変化してない。

(中身の)外観

試作機反省から、シャーシ設計から一貫して保守点検を考慮に入れた。
アルミ円盤をジュラコンスペーサーで連ねた構造となっている。
部品固定はテープ等の使い捨て素材をできるだけ省いた。(XBee,GPS除く)
ちゃんと作るとかなり製作も楽になることを実感した。
世間ではモジュール化といいますね。

車輪外の露出部。アクリル円盤のカバーを外したところ。
シャーシの延長で、アクリル円盤に車体外のアーム、アクセスポート、スイッチ等を配置。
このへんの思想は試作機から受け継いだ。 プログラミングポート(DSUB)はかねてより構想していたXBeeによるArduinoのワイヤレスプログラミングが実現したので、今は卓上のセンサ開発時向けの装備になってしまった。 走行時に付けないとモーターとサーボが駆動しないフライトピンは健在。
ポート周辺パーツ

ガイドローラー
ガイドローラーは3方向から車輪を支える。 前よりなめらかに回転。

駆動系
駆動系はドライバを後進に対応させた以外はそのまま。専用バッテリとタミヤの遊星ギヤ、機械式リレーのミニ四駆状態。 いつかマクソンモータに変わったら、ドライバICにするんだ・・・ 
 電池はエナジャイザー。大きな家電店で普通に売ってる最強のリチウム一次電池です。


スタビライザ (=しっぽ)
これも変化無し。 ただし持ち歩き用に取り外し可能。

外観


システム諸元

MCU: Ardupilot MEGA 
Communication: XBee Pro(JP)
Sensor: GPS 
Motor: TAMIYA PlanetaryGear Set
Servo: GWS 2BBMG
Battery: System: Li-Po 3.7v 900mA
            Motor: LR6 x2 (3V)


以前の試作機の映像はこちら

2010/11/11

ネットブックの皮革カバー




中古で入手したHPの5101をフィールドで持ち歩くために、B5の人工皮革なブックカバーを両面テープで付けてみた。 510xシリーズは企業モデルだけど統一感のあるデザインで無駄がなくカッコいい。 デザインの要点は、機能美と統一感だと思う。 
黒革との相性が良いし、持ちやすい。地面に置いても簡単には傷がつかなそうなのもポイント。 最近Let'sNoteのモバイル機もこんな風に革製カバーが付けられるモデルがでたが、それのお手軽版といったところ。
カバーを付けるにはひとつだけ要点がある。 
「背面にポート類、冷却ファンの排気口がないタイプ」
ポート類、電源コネクタ、排気口が左右に散らばっているので、5101は最適なモデルだった。  排気口が背部にあったりするとちょっと排熱に問題がでるのでおすすめ出来ない。


ノート用なのでペンホルダーが付いていた。 ペンつけてもいいけどUSBメモリを差して置いたら使いやすくて便利。

ノートは大事に使おう。

2010/11/02

プリンタブルサテライト、FabSat


    非実在衛星シリーズ第6回くらい目。 今回は軌道上にインクジェットプリンターを打ち上げる話。 というか、与太話。


発端は某衛星のDBMをつくっていたことに始まる。 DBMとはダンボールモデルのカッコいい呼び方(原典)。 紙で作る衛星の模型である。 衛星に限らず、実物大の模型は形状把握、広報にとても役に立つ。

そして3次元モデルから出力した各辺の寸法図を印刷していたところ、プリンタのインク切れに見舞われた。 モデルといえど作るのはめんどうだから、最近はやりの3次元プリンタで出力したいな・・・ と思ったところ、この話を思いついた。

 かつてほぼ未経験の状態で、一人で回路設計、基板パターン設計、エッチング、基板加工、ハンダ付けという、基板の製作をやったことがあった。 回路製作のニーズがあり、机には卓上ドリルがあるいい環境に恵まれて、いろいろな部材や工具を試していった。  翌日の動作試験のために、1日で全部やったこともある。 ぶっつけ本番ばかりだったけれど、趣味だったジャンク品の分解、改造遊びが現実の電子回路製作にも通用するんだ、ということを確認できた。 以来、似たようなことしかしてない気もするけれど… 
 一人で行う製造は最終成果物が現実の物体であるという点で、幅広い技能を要求される統合分野だ。
 もうさすがに基板加工まで人力でやるのは勘弁だが、最近パーソナルファブリケーションが隆盛しつつあるようでわくわくしている。 プリンタブルサテライトのアイデアも、Reprapのようなハンドメイド3Dプリンタに触発された部分がある。
この文章ではネタ考察として"紙っぽい衛星の印刷に限定したが、きっとロボットも印刷と同じくらい気軽に生産できる時代がくると思う。


Heavy-duty , no gravity
 衛星が構造計算、熱設計、各種試験といったレポートの山を築くのは、ロケットに乗る資格を得るためであり、その後も簡単には壊れることなく機能し続ける保証のためである。 これは輸送手段であるロケットが「飼いならされた爆弾」であり、恐ろしい火力の塊なのだからしょうがない。 あと、打ち上げたら二度と修理できないから、何としても壊れない、あるいは壊れてもバックアップがあるように冗長性を組み込もうとする。
 アメリカの原潜のマニュアルは、それを原潜に乗せたら二度と浮上できないほどの重さがあるとか。
 衛星でも例外は無く、天まで届きそうな書類、レポートが制作される。 CubeSatなら計画全体のハードコピーは余裕でCubeSatより重いはずだ。 こうして衛星は堅実な設計で、兵器並のタフさを備えて宇宙に飛び出す(ことになっている)。

翻って宇宙とは? 共有されるイメージは「無重量」「真空」。地球低軌道でいえば、いくらか放射線が降り注ぎ、すべてを劣化させる殺人的な太陽光を浴び、真空断熱され、赤外線のような輻射でしか熱が移動しない領域だ。


ただし、そこにはロケットの生む加速度も、振動も無い空間が無限に広がっている。 どんな弱い構造でも動かなければ壊れないで済む世界だ。 膜構造だって遠心力で引っ張ればちゃんと広がる。
 不定形の大規模構造物が宇宙でも有効なことは、IKAROSで実証されている。


軟弱な衛星はロケットの振動と加速度に耐えられないだろうけれど、だったら宇宙で作ってしまえば問題ない。そんなSFじみた発想です。

プリンタブル・エレクトロニクスとファブリケーション
 サンハヤトの感光基板をつかって電子部品の基板を制作したことがあれば、CADからフォトマスクをOHPシートに "印刷" したことがあるだろう。
 このまま電子回路もプリントできればいいのに・・・という思いは、近年実現しつつある。 プリンタブルエレクトロニクスが、徐々に現実のものとなってきている。 実現したかは知らないけど、電導インクによるインクジェット方式の回路パターン生成や、有機ELディスプレイの印刷、さらにはRFIDのプリンテッドアンテナといったものがすでに世に出ている。 最近だとトランジスタを3Dプリントで製作した例があった。
そのうち部品メーカーから部品をダウンロードするようになったら面白いのだが。 
衛星の
パーツを列挙して印刷可能かどうか考えてみよう。

太陽電池
太陽電池も、色素増感型は液体を塗布するような感じだ。 宇宙で耐えられるかは疑問だが、印刷はしやすそうである。
劣化したら塗りなおせばよいし。 この部分だけ衛星の自己修復に使うのもありかな…。 ビラを貼られまくったような外観の衛星を想像してしまった。木みたいに、寿命の来たパネルを廃棄すればいいだろう。 問題は分解者が存在しないことだけど…。 

アンテナ
アンテナも印刷可能だ。 八木アンテナみたいな印刷エレメントとか、回路アンテナといったものなら直ぐにできそう。 送受信に耐えるものができるのかは未知数だけれど。
バッテリー

フィルム電池を生産するならできるだろうか。 
宇宙ではスーパーキャパシタが使用可能温度の点で有利だが、キャパシタを印刷できるか? 難しそうではある。 
印刷できないものは、モジュールとして持っていくということで・・・。


冒頭の想像図にあるように、可能性を示すとしたら、A1サイズくらいで、単純な電波トランスポンダとして動作し、光圧制御で姿勢を変えるようなものを想定する。 それならインクジェットで印刷できそう。

あとはキューブサットに巨大な太陽電池をつけたり、宇宙で発電可能な太陽帆を印刷したり。 紙詰まりには注意である。



Satellite + Printable Electronics = Satellite Fabricator

これは打ち上げ用の非実在衛星工場。FabSatとでも言うべきか…。 ネタなのであえて自宅のプリンターをそのまま載せたイメージです。
 (後ろの衛星バスに凝り過ぎた感が)


 軌道を少しづつ変更しながら、紙に衛星を印刷し、軽く組み立てて軌道に放り出していく。 ネタじゃなければ、高性能な3次元プリンタになるだろう。 構造も紙じゃなくて、A.C,クラークの木星生物みたいに、モワモワした発泡素材で石鹸の塊みたいなものかもしれない。発泡ポリイミド。そもそもポリイミドって発泡できるの……?
 とりあえず機能が構造を纏えばよしとする。


FabSatとして必要な燃料と原料はタンクに内蔵されていることにする。 初期はどうしても印刷不可能な部品を搭載するとか、大規模になれば補給するという手もある。 ISSならぬISF(InternationalSpaceFab)。


フォン・ノイマンマシン

これらのネタ技術の延長線上にあるものは、宇宙で完結する衛星生産ラインであり、将来的には自己増殖マシンである。 宇宙なので資源は限られているから、小衛星にまで生産機能を付けることは難しそうだ。

だから当分はFab衛星だけ飼い慣らしておけば勝手に増えたりしないだろう(自己増殖マシン災害の防止は検討事項です)。


資源小惑星に投入して、小惑星の氷と微量元素を食べながら、印刷した太陽電池を残滓に貼りつけて発電して、生産基地を作ったり、植民地の保守点検をおこなったり。


―共産主義者がレプリケータを改造して、民主主義の小惑星に革命のビラを貼りまくるとか。 無重力で相手の発電パネルにビラを貼って息の根を止める衛星同士の闘い。 ビラがリングをつくった惑星、太陽系を脱出して、近隣の恒星に飛んでゆくビラとか。 印刷の夢は果てしなく広がってゆく―
 
そんなこと考えながら衛星モデルは組み上がっていくのであった。・・・