2019/03/14

型落ちのミラーレス機でレンズ沼


昨年の秋、Nikon 1 J2 を中古で見つけた。 すでに6年前の機種なので、標準ズームレンズ付きで1万円だった。
これは、光学系の性能を限界まで使うリモセン衛星のような撮像、画像処理技術を、誰もがそうと知らず日々使いこなし、オンラインに投稿している時代に、オフラインで光学系を試行錯誤する(レンズ沼に落ちる)記録。





いつの間にか所有していたCマウントレンズの特性を探る

 SPACECOMの手動ズームレンズ G6x16-1.9 Macro-L
何年か前に中古で手に入れてあったもの。
1インチセンサ用で、35mm換算で約43~270mmの焦点距離となる。 マクロモードもあって、数センチからピントを合わせられる。
http://spacecom.co.jp/products/g6x16-1-9-macro-l/
小さいけど産業用ゆえ、金属製で620gあり、見た目よりずっしりとしている。

  望遠側は絞り開放だと快晴下でパープルフリンジが目立つ。
明るいところではかなり絞ったりしないと難しいレンズだ。

 J2のフルマニュアル操作については、ピント合わせが難しかった。 晴天下では液晶が見にくいことも手伝い、絞り解放に近いと狙ったピントを出せない失敗が多い。

Cマウントレンズの望遠端で遠方の花火(トリミング)
  いつもコンデジにまかせていた値をマニュアル操作しているうちに、だんだんとレンズの癖を会得していく。

直焦点撮影

 簡単に望遠鏡の直焦点撮影に挑戦してみた。 数年前に中古で入手したMEADE ETX-60AT (焦点距離350mm f5.6) 1インチセンサでは940mm相当の単焦点となる。
 鏡筒へはCマウントアダプタ - アイピースリングアダプタで接続。



 秋晴れの朝に撮った80km先の富士山(RAW現像)。 裾野を写すために、2枚を合成している。

10月18日夜、月と火星(左下)が接近していたので、撮影に挑戦。 ちょうど視野に収まった。
固定点から望遠撮影するなら、デジタル雲台付きレンズと考えるととても使いやすい。
あとで登場する専用の超望遠レンズと比較すると色にじみが多く、エントリーモデルゆえのレンズ性能不足が見え隠れする。

やっぱり専用設計のレンズは値段相応の価値があるのだな(沼の淵に立ちながら)。
たいていはRX100を使っているが、仕事で出先の記録写真として超望遠と超広角が欲しいと思う場面がいくつかあった。
  Nikon1自体は既にシリーズごと終息してしまったが、大きさが気に入ったので、中古でJ5のボディと超広角、標準単焦点、超望遠の3種類を入手した。 これでほぼレンズ交換ができるRX100みたいな形になる。


1Nikkor VR 70-300mm


 沼に落ちたきっかけのレンズ。 1インチセンサでは望遠端810mmの超望遠レンズになる。ただし、J5と組み合わせて890gで済んでしまう。
  
810mm f5.6  1/500s ISO720 トリミング 
換算810mm F5.6 1/400秒 


J5にはJ3のようなEVFやメカシャッターは無いけれど、手持ちで低空を通る航空機を追ってみたら、強力な手振れ補正のおかげで思った以上に撮れていた。

 空に浮かぶ安定した被写体ということで、光学系の癖や設定の効果を確認するために月を撮る。 フォーカスはマニュアル固定。三脚に数千円の微動雲台を取り付けると、移動する月を中央に収めておくのが楽。
Nikon1 J5 810mm f5.6  ISO200 1/200s

 流石に1枚だけ見てみると、大気のせいでクレーターが眠い状態だ。 しかし連写機能を使い、数十枚撮影した画像をスタックし、Registax6でWavelet変換をかけると、月のクレーターを炙り出すことができる。

Wavelet処理前 月だけを拡大したもの
処理後 (20枚スタック)

Ryzen5のコアをぶん回して出てきた画像を見ると、かなりクレーターが浮き上っている。
特に色にじみなどもみえない。

1インチセンサで画面一杯に月を撮るには、焦点距離が900mm(35mm換算で2430mm)くらい必要なようだ。 コンパクトなマクストフカセグレン鏡筒が視野に入ってくる。 こうなってくると良い架台も欲しくなって、果てのない性能向上要求が始まってしまう、危険な領域だ。設置も撤収も持ち運びも楽な今の構成のままで楽しみたいところだが…

1Nikkor 18.5mm

標準画角でf1.8と明るく、描写性能の高さに定評がある単焦点レンズ。
樽収差も少なくけっこう寄れるので、ブツ撮りに適している。
卓上で基板の全景写真の撮影によく使用している。

Nikon1 J5 換算50mm f3.2 ISO160 1/6400 

Nikon1 J5 換算50mm F2.8 ISO800 1/25秒 

1Nikkor 6.7-13mm

換算18mm-35mmの超広角レンズ

 歩きながら景色を撮るのに最高なレンズ。 建築写真、現場作業記録にも強い。

Nikon1 J5 換算18mm F4 ISO160 1/1000秒 

Nikon1 J5 換算18mm f3.5 ISO160  1/1600

2018/12/20

CAL.4809の開発(2) ケース試作

CAL.4809のためのケースを設計してみた記録。 

21世紀のかまど。 マインクラフト感がある。

思考する速度で試作したい



 3Dプリンタを導入した。
個人的に初めて3Dプリンタ造形物のデータを作って、出力してもらったのが2012年頃だったので、すでに6年もの歳月が経っている・・・。 自己所有する機運が高まるのにだいぶかかった。 どうもハイプ・サイクル的な波が落ち着いた頃に導入する傾向がある。

 いろいろ検討してみた結果、今年出た新型、Flashforge Adventurer3に決めた。 完成品で箱なので、机の下に設置しても大丈夫なのが決め手。
 動作音は静かなインクジェットプリンタと炊飯中の炊飯器のファン音を足して二で割った感じ。 静音を謳うだけあってほとんど気にならない。
 Z軸キャリブレーションだけで快調に動いている。

 高速試作環境のために導入したわけなので、Fusion360に慣れる目的でCAL.4809の外装を試作してみた。 3Dモデリングも久しぶりだが、割と覚えていた。


 基板部分のデータはKiCadからエクスポートしたSTEPファイルを取り込んだ。 その外側にケースを作成する。
外装は基板外形を1mm拡張して、壁の厚みを0.8mmとした。
 前後はNATOベルトを通すための隙間を設けている。
 側面はボタン、IrDAポートのための加工を行った。 ボタン部は素材の弾性を使う。
ケース自体は装着を考え、下部の時計用ベース基板に固定するための爪を側面に設ける。

 上のCAD図は既に5回くらいのバージョンアップの後のもので、最初はボタン部などの造形をせず、外形だけでプリントして検証し、徐々に細部の造形に移っていった。 単純な造形なら30分ほどで出力できる。 彫り込みというか刈り込みというか、とにかく手元にプリンタが無いと試行錯誤ができない。

途中から出力方向をひっくり返した。 ほぼサポート材
モデリングの過程で出力して確認するサイクルを経て、最終的に一番精密なモードで1時間半かけて出力した。
ラフトを剥がすのに便利な 時計のコジアケ。 買ったけど時計を全然こじ開けてない。
 この造形だと糸引きがすごかった。 サポート材は簡単にはずれてくれるけれど、なにせ細かいのでうっかりちぎりかねない。 カッターなどで慎重に剥がしていく。


基板との間に0.2mm間隙を設けていたおかげか、ピッタリはまってくれた。 ボタンも押せる。 FDM式でも薄い部品は配置や形状を工夫すれば大丈夫そうだ。

下部の基板は前後のベルト部の出っ張りと、左右側面から張り出したケースの爪できっちり固定できている。
 この小さなサイズでは、細かいフィレット等を形成してしまうと潰れたり変形してしまったので、単純なくり抜きや多角形のままでよさそう。 壁とボタンの造形の隙間は、0.4mm空けても潰れがちになるので、スリット部の面取りなどを試してみる必要があるかも・・・。

 ケースをつけても、コイン電池は簡単に取り出すことができる。

 表の文字盤面が手付かずで残っているが、メモリ液晶を保護する仕組みとしても風防は必要になる。最後にネジ止めで固定する蓋構造を検討中。

 DIYでありがちな肥大化しすぎた筐体を防ぐ  という、無意識に設定していた目標は達成できた。  個人的には基板を覆ってしまうと外装のデザインの勝負となるのでちょっと寂しい。

2018/12/19

CAL.4809の開発(1)

 2018年の新作。ATmega4809を使った試作ということで、CAL.430FR(2015年)の後継機を製造した。
  CAL.430FR https://blog.kemushicomputer.com/2015/03/cal430fr1.html

 今回はケースの作成にも挑戦してみたので、3Dプリンタでの製造は別の記事にまとめる。

 430FRはKiCadの練習で作ったけれど、それ以来3年間で設計、製造、実装した基板は結構な数になった。
 今年は大きなプロジェクトも一段落したので、自分の趣味プロジェクトも原点回帰してみることにした。
3年半前の基板(左)と今回の基板(右)

シルクに印字したQRコード。思ったよりコントラスト不足で認識率が良くない 黒基板とかだとアリかも
 36mm角の基板サイズ、コネクタ位置等はCAL.430FRと同じだが、マイコンはATmega4809にして、新たに赤外線トランシーバーを載せた。IrDAにした理由はUSARTにモデム機能があったからというだけだけれど、一応通信機能を持った基板となった。これで規格の波に数周遅れのスマートウォッチが作れる。
 サイドボタンは1つ削減して3つになっている。

12月に入り、夏以降 ほとんど音沙汰のなかったArduino Uno Wifi rev2がとつぜん販売開始となっていた。
日本では無線LANモジュールの認証作業の完了待ちらしいけど、そのうち入手できるだろう。 ボード外観を見た感じではレベルシフタが一つ増えていて、WifiモジュールとのIFまわりに仕様変更が見て取れる。

  リリースされたばかりのArduino Uno Wifi rev2向けのボード定義も配信が始まり、ボードマネージャ経由でインストールすることができた。

 ボード定義で面白いのは、ATmega4809としての定義と別に、端子レベルでATmega328Pをエミュレートするコンパイルオプションがあること。Wifiモジュールなどとの通信制御を遮蔽しつつ、UNOと同じピン定義でプログラミング可能なようだ。

  デバイス定義を参考にして、自作ボード用の定義ファイルを作成してArduino互換として動かす環境を試験的に作ってみている。 4809は内蔵オシレータが20MHz品と16MHz品があり、今までは20MHz品の流通が主だったので、クロック周りは20MHzとその分周比にあわせて定義を追加する必要があった。 電源が3Vのコイン電池なので、ボード定義でクロックは5MHzとし、1.8Vまで動作できるようにする。 BORなどはヒューズビットにあたるので、書き込みの際はプログラマで予めセットしておく。

今のArduinoIDEでの書き込みはコンパイル済みバイナリをスケッチフォルダに出力できるので、出力されたバイナリをATmelStudio7のツールで呼び出し、PICKIT4を使って書き込んでいる。



 IO回りやUART,SPIなどは普通に動かせていて、CAL.430FR用に作ったスケッチのIO番号だけ振り替えてそのままメモリ液晶を動かすことができてしまった。

 SPIの加速度センサとの通信がうまくいってないけど、とりあえず表示まで確認した。
4809自体は既存のAVRよりも低コストで使い勝手が良いので、Xplainedシリーズのようなデバッガ付きで最小限の評価ボードとして出てくれると良いなぁ。