2019/05/18

大きめの構造をプリントする


 Adventurer3を導入して4か月が経ち、5月に入ってからPETGフィラメントを使っている。PLAと似て匂いは無く、やや柔軟性があって加工しやすい。

 テーブルの傾き
テーブルが手前から見て右奥に向かって斜めに傾いており、特にPETGになると右奥の1層目が定着せずはがれるようになった。右奥まで使う広い造形だと、はがれて定着に失敗する。
 右奥のプレートの下にアルミテープを斜めに張り付けて、奥に向かっての傾きを調節すると、PETGで10x10㎝を超える板状の造形も成功するようになった。
傾きなどは一度補正できてしまえばその後はしばらく無調整で使える。数値的に調整したいので、ダイヤルゲージを買って水平出しをしようと思う。

 PETGのパラメーター調整も済んだので、150mm^3のプリントエリアを生かせる構造物として、CubeSatの1U規格構造のモックアップをモデリングしてみた。 家庭用の3Dプリンタには1Uサイズがちょうどよい。





 分解して持ち運べるように、M3の六角ナットをはめ込み、各面のパネルを皿ねじで固定する組み立て式にした。Z面(上下)には前回の記事で作成した5㎝角基板用フレームを固定できる。

 印刷時間は、メインのY+レール面が3時間半、X面が1時間半、Z面蓋が3時間 3種6面でだいたい16時間かかった。 最小板厚を2mmとしているのだが、もし壁の内部を充填したらもっとかかるだろう。

 お仕事では3Uをよく目にするけれど、自宅のテーブル上で1Uサイズを組み立ててみると、これはこれでかなりの大きさがあると感じる。 20年前にこの体積を埋めていた通信機や基板群はどんどん小さく、高性能になっていった。構造規格は変わらないけれど、いまや立方体形状は、観測機器のためのサイズや発生電力を考慮した2U以上の実用衛星の方向か、薄く重箱のようにスタックされたテレメトリセンサの方向への岐路にある。

 回路部品実装と構造積層を同時に行って、構造と回路基板の境目を無くす方向も面白いかもしれないなぁ… と、実物大の構造を手に取って考えたりするのであった。

2019/05/07

高速試作フレーム



 まとまった空き時間ができたので、プロトタイプ用のフレーム構造を製作していた。試作のお供、3Dプリンタの存在もあり、思いついたアイデアが間違っているかどうか、数十分待てば結果が分かる。


 通信機を備えた遠隔システムのプロトタイプなので、HILSを構築するにしても、構造として統合したまま全機能の検証作業ができると良い。アプリケーションが決まっていれば、便利なSoCを使って基板一つに全機能を落とし込むのもたやすい時代だけれど、高性能なSoCやMEMSは大規模な需要のお零れなので供給期間は短く、依存性を下げて乗り換えやすくしておかないと小規模では割に合わない。

要求は以下のとおり。
・供給期間は最低5年くらい
・素早くテストしたい
・コンポーネントをとりかえて検証したい

 基板をスタックしていく構造で、基板サイズは5㎝角にする。 最近は10cm角の基板でも最低価格で製造できてしまうのでコストメリットは減少しているけれど、基板面積が限られているほうが基板一枚に載せる機能を限定できてよい。

OBC基板と基板カバー

ターゲットとして5㎝角で設計した32MZ基板を選択



 基板間の電気接続は、ピンヘッダをやめて構造依存性の少ないハーネス接続とした。
 デメリットとしてはハーネス加工と圧着作業がはんだ付け同様、専用工具や練度を要する作業であることが挙げられる。
  基板間の配線と圧着作業は少ないに越したことはないので、 デジタル接続による配線本数の削減や、クリンプ済みリード線のバルク買いなどを活用していく。

コンポーネント例
通信機基板
OBC基板と通信機基板を連結した例。組み合わせが決まっているのならば、基板間ピンヘッダによる接続で完全に固定するのもあり。
実験用バッテリホルダ
キャパシタバンク 5V 150F


光学系と撮影テスト

始めの頃は、Arducamモジュールのテストベッドとしてフレームを作っていた。光学系の種類によっていくつか構造部材を設計し交換する。 特に望遠レンズを固定し、屋外でテスト撮影するときに役立った。
Arducam 5MP と ESP8266の組み合わせ。 WLAN接続は不安定だったのでUART経由でキャプチャした


広角レンズ接続例。 ArduCamはお手軽に5MPを撮像できてすごい

超望遠テスト撮影



望遠レンズはSpacecomの産業用望遠Cマウントレンズ(G6x16-1.9 Macro-L 43~270mm)と、中古で見つけたKenkoのミラーレンズ(400mm F8)を用意。ミラーレンズは各社カメラマウントの下にTマウントネジが切ってあるので、Cマウント-Tマウントアダプタを接続している。

OV5642のイメージサイズだと35mm換算のだいたい10倍になるので、270mmは2700mm相当に、ミラーレンズはこのサイズで4000mmというお化けになる。当然ながら要求分解能にたいして光学系の解像度が足りず、拡大しすぎてタブレットでプレビュー画像を見ながらでも何を映しているのか、ピントが合っているのかを確認することすら困難を極めた。微動雲台が無かったらまともに撮影できなかっただろう。
270mmで撮影した富士山。レンズ上のゴミが写り込んでいる。IRカットフィルター無しなので鮮明
ミラーレンズで撮影した4000換算の富士山山頂付近 視野内の明暗差で周囲が変色気味

同時にNikon1でミラーレンズと専用の300mm望遠レンズを比べた比較画像を用意した。 値段の差がそのまま表れているという当たり前の結果になった。                                                       


2019/04/03

Deskmini A300で自作


 ASRockのMini-STXベアボーン Deskmini A300 でサブ機を組み立てた。
 メインマシンより省エネな仕事用PCとして整備してみた。

構成


DeskMini A300
APU: Ryzen3 2200G (Radeon Vega8)
RAM: Team DDR4 2666 SODIMM 8GBx2
SSD: NVMe WD Digital BLUE SN500 500GB
Windows10 Home

組み立て



 ケース自体もATX電源と同サイズ。M.2 SSDを使えばM/B上で全機能が完結する。
 Mini-ITXですら大きすぎるように感じ始める。  木製PCケースを作っていた頃の苦労も今は昔・・・。

 Deskmini専用のCPUクーラーが同梱されているけれど、先人たちが開拓したAPU付属のWraith Stealthを細工して取り付ける方法を試してみた。
 高さ方向については、Wraith Stealthからロゴの入ったファンガード外周の飾り部品を外した時点でケース内に収まる寸法になっていた。 ただし、CPUクーラー取り付け方向によっては、上蓋のネジマウント部と側面の爪の部位が干渉するので加工が要る場合がありそう。

ニッパで削った突出部。 クーラーの取り付け向きを変えれば加工する必要は無いかもしれない
上蓋中央部にもやや突起があるが、少しだけ外にたわませてマザボを差し込むと問題ない。


電力、性能


 OSをインストールし、ドライバやソフトウェアを導入し終えたあと、 サンワサプライのワットモニターを使用して計測した。
・アイドル時: 9W前後
・ファイルアクセス時: 25~30W
・CPU高負荷時ピーク: 45W程度

 アイドル時に90~100W前後消費していたメインマシンと比べると大幅に省エネになった。 外付け機器の少なさと、外部チップセットが無いことがだいぶ効いているようだ。

机に設置していると、静かな環境であれば距離の近さでファンの風切り音がかすかに聞こえてくる程度だ。
 試しに19V3.42A(65W)のACアダプタがあったので使ってみたところ、CrystalMark 2004R7を実行しても特に異常はなかった。 cTDP設定で電力制限しなくても、OCCTのような極端な負荷をかけなければ大丈夫そうだ。コードも眼鏡ケーブルになり、コンパクトな65Wアダプタだと持ち運びが楽になるだろう。

 GPU(VEGA 8)の規模や性能はメインマシンのRX VEGA 56の10分の1程度だが、単精度で1TFLOPS越えらしいのでなかなか侮れない。仕事などで使う回路図CADや統合開発環境、3DCADも使用感はほぼ変わらなかった。 
 KiCadの基板3D表示は大規模な基板だとかなりの頂点数となり、ぐりぐり動かすとかなりの負荷がかかるけど、これもマウスの動きに追従できている。
 マインクラフト程度ならゲームも問題なかった。 さすがにプレイ中はAPUが70℃付近まで上昇する場面もあり、ファンは最大回転になるが、口径が大きめなおかげでノートPCでありがちな高周波音は出てこない。


画面への排他・共同接続


メイン機で使うディスプレイをサブ機にも割りあてる。 ちょうどDELLのハイエンドモニタを2台体制にしたので、どちらもDisplayPort入力を2系統(mDP端子とDP端子)、DP出力を備えている。
 画面1をメインディスプレイとしたマルチモニター環境の2系統排他利用は、2画面をデイジーチェーン接続することでシンプルに実現できた。
サブ機のHDMI出力は2系統同時利用のために画面2に接続しておく。 (普段はリモート接続で済ませようと思う)