2020/04/06

屋外受信局の設備更新



 屋外にRaspberrypi2を設置してから、もう4年が経過していた。そんなに負荷をかけてないからか、SSHで定期的にメンテしていたけどSDカード不良になることもなくSDR鯖として動いてくれた。
 いままでの屋外BOXは入れ物の選択、構造、気象対策については問題なかったといえるけれど、小さくてコネクタも増設できず、ちょこっと試したい装置を取り付けるにしても取り回しが悪かった。なので今回は箱を大型化し、不満点の解消に努めた。

  • 設置性やコネクタ回りのハンドリングを改善
  • イーサネットHUBを設置
  • 外部装置への電源分配機能
  • 余ったスペースにボードコンピュータを設置

ボックス回り

AC100Vラインは屋外用の防水延長ケーブルをそのまま箱に導くので、延長コードの先が防水容器になった形。
 コンセント部はキャップ構造になっており、やや小さい外形でボックスに穴加工すれば、押し込むことで容易には引っこ抜けない構造になる。
 内部のACタップの配線を固定したあとで、ボックスとコンセント部の隙間はシリコンコーキングで充填する。

タカチのBOXは内部のベースプレートも一緒に購入して、ここに穴をあけてタイラップで様々な部品を固定することにする。
 内部の部品、ケーブルの設置基準は、簡単にベースプレートを取り外せること。(防水性にかかわる部品を除く)

縦置きとなるので、ケーブルは直下から取り出す。
 下部のどこかにベントホールを設けておく。 完全密閉状態だとプラケースということもあり、一度侵入した湿気が逃げられず、気温変化の激しい日に内部が結露して故障する。
 穴の場所は重力で水が抜けるような位置かつ、暴風雨で雨水が逆流しないような構造が良い。 ベースプレートの裏側などはおすすめ。設置場所によっては虫などの侵入を許すこともあり気を遣う。

足は屋外用マグネットベースにしたので、仮置きでもある程度固定できるようになった。

 電源回り

 ACアダプタまでは既製品の組み合わせで固めた。内部は短い延長コードと、USB電源付きの小型コンセントタップを設置。
 限られた容積を有効活用できるような配置にする。



 コンセントタップの5V電源は小型イーサネットハブとRaspiに供給する。24Vは外部用電源として疑似PoE基板につなぐ。
 屋外設置で真っ先にダメになりやすいのは電源部だったので、交換しやすくしておくことが重要。

 ネットワーク回り

単純に今まで屋外に這わせていたLANケーブルを接続し、内蔵したハブ経由で分配するようにした。ハブは5Vで動作するモバイル用のものを選定。発熱や電磁波放射は抑えたいので100Mbpsで妥協している。

ケーブル回り

 ちゃんとした防水コネクタもあるけれど、ペアで1ポート1万円程度はする。ケーブル側も径や防水性能について細かな確認検討が必要なのでちょっと手に余る。
 高級コネクタであってもなくても、設置場所を考えてなくて他所から水が伝わって腐食する事例、自己融着テープの巻き方ひとつで水の侵入を許してしまったりする事例がある。自然との闘いは知識と想像力、設計における継続的なトライ&エラーになる。

 今回は取り回しやすさ優先で行くので、ケーブル内外は短いLANケーブルを作成し、ケーブルグランドで防水処置とする。外に出たコネクタは、接続先のケーブルと中継アダプタで接続し、その後自己収縮チューブなどで防水処理する。 IP監視カメラの施工でよく使われる方式。
 今回はケーブルが通る程度の太さのケーブルグランドを使うので、通したあとでコネクタをカシメる必要がある。 取り回しや仕上がりを気にしないなら、コネクタごと通る大きめの穴を開け、防水粘土で埋めるほうが楽かもしれない。

 Raspi回り

防湿処理風景

今回はRaspi3Aを選択。 3Bでもよいのだが、あえてUSBハブにすることでUSB端子のレイアウトに自由度が増す。 基板の取り付け方向と垂直にコネクタを出す基板を作ろうかな…。
 Raspi2には発熱が少ないという利点があった。3は外気温15℃でCPU温度が35℃台と普段から高め。ギリギリ許容範囲だろうけれど、4は待機電流が大きすぎるのでヒートシンクと強制空冷が必須になるだろう。
 発熱は悪いことばかりではない。3月末に着雪があり、ちょっとした降雪試験になった。特に問題は起きなかったけれど、降雪中のCPU温度は20℃以下に下がっていた。
 着雪はある程度熱源があればすぐ落雪するので、積もった雪が凍って箱にダメージとなるのをある程度防いでくれる。


固定部を作り直した クロスダイポール

2020/03/05

UMPCもどきの製作3 構造のくみ上げ


UMPCもどきの2つ目の制作記事からまた半年が過ぎた。

 その間に、RaspberyPi4が国内入手できるようになっていた。が、電力設計などでまだ扱いづらいところがある。アイドル状態で結構温かくなるサードパーティーのヒートシンクを触っていると、専用のPMICが無いRaspiの弱点が目立ってきたように感じる。

 今回はBT接続の小型キーボードのデッドストック品の入手をきっかけとして、唐突にWaveShareのHDMI接続5.5インチOLEDモジュール(Raspi3用)のフレームを作成した。
 その流れを生かし、ハンドヘルド端末として骨組み構造をプロトタイプしてみた。

始まり

 中古で手に入れたキーボードはエレコムのTK-GMFBP029BKという製品。 日本語46キー配列。2012年にiPhone向けの英語配列モデルと同時に展開され、手持ちでライトなチャット入力用途とされていたもの。電源は単四電池x2なので経年劣化は無い。
 これが5.5インチOLEDディスプレイと横幅がぴったりだったので、フレームをつくってハンドヘルド端末を組み立ててみることにした。

5.5インチ HDMI液晶について

 手持ちの5.5インチディスプレイはHDMI接続、かつタッチ部はUSBなので接続対象を選ばないが、基板に直に組み付けられるのはRaspi3系統だけとなる。今確認すると、   Raspi4にも対応し、ケース付きになっている後発品も併売されている。

3Bと4Bを買えばすぐわかるけれど、両者はHDMI端子もだが、LANとUSBコネクタの配置まで異なっており、3B用のHDMI液晶キットは4Bではそのままだと使えないので、購入時には注意だ。

https://www.waveshare.com/product/displays/lcd-oled/lcd-oled-1/5.5inch-hdmi-amoled-with-case.htm
拡散されるとは思ってなかった写真

 フレーム側面にキーボードについていた展開式カバーを模擬した固定ヒンジを設けた。
フラットなキーボード端末を目指していたので、特に折り畳み機構は設けなかった。 バッテリ位置と基板の拡張性を考慮しなければ、PSIONのハンドヘルド端末ライクな形態もとれると思う。 

ディスプレイ部のフレームの横幅は144㎜で、幸運にもAdventurer3で出力できるぎりぎりの大きさだった。このサイズはベッドの僅かな傾きで四隅のうちのどこかの食いつきが悪くなり、一つの隅だけ剥がれて反り上がりが発生しやすい。そのため、1層目の品質を見ながら高さ調整を繰り返すことになった。
 このままでもいいけれど、バッテリを内蔵して持ち運びできるようにしたい。ということで、フレームにM3のジュラコンスペーサを立て、残りの筐体フレームを設計していった。
3回ほどリビジョンアップした後の形状

底部のフレームも何とか出力に成功。PETGなのでPLAよりは柔軟性がある


 最終的に、底部プレート+バッテリ上部のプレート、ディスプレーフレームの3層構造になった。キーボードは10Whのモバイルバッテリの上に乗っかる形で、自由に角度をつけられるようにした。

 筐体設計で考慮したのは、RaspberryPiの端子アクセスと拡張基板の搭載を邪魔しないこと、ばらばらに分解できること。バッテリへのアクセスも同様に解放されていること。入れ替えが効くよう、あくまでコンポーネントを一つにまとめているだけにとどめている。
手持ちした感覚は良好
造形が気に入っている英語圏の電子辞書とツーショット

 ひとまず形にすると、あれこれ改良点や機能追加が浮かんでくる。 すでに耐衝撃端末のようなバンパーをTPU素材でつくってみようとか、オリジナルキーボードをつけようとか、そういうことばかり考えている。ヒトはなぜハンドヘルド端末に心惹かれるのだろう…と、主語を無駄に大きくしながら、コモディティ化した市場とサイズ制限によるギリギリのスペックゆえに生まれる多様性の儚さに思いを馳せるのであった。

2020/02/10

スケーラブル植木鉢

 日々の開発の途中、息抜きで多肉植物のための自動照明植木鉢を作っている。単体で卓上栽培できる全自動化が目標だ。

動機

 多肉植物は、季節によって必要な日照量がかなり変化する。 また日本の多湿な気候ではかなりデリケートなものが多い。日照が少なければ徒長してしまうし、水の量を間違えても腐ってしまう。
 水はスケジュールに従い、むしろ水やりしすぎないようにすればいいけれど、日照管理は窓辺など場所が限られてしまう。 そもそも観賞したいのに、窓辺に遠ざけるのも悲しい。

 単純にLED灯で栽培する例はいろいろあって、多肉専用のおしゃれなLED照明(USB 5V給電)なども売っている。フレキシブルなLED灯を改造し、栽培灯の自作もしたけれど、手動で点灯管理する必要があり、一鉢しか育てられないため、株個体が増えてきた場合にその都度5V電源が必要になってしまう。 電源の問題はレイアウトの自由度に直結する。
システムのスケール問題を解決するには、初めから対応した設計が必要だ。
まずは、一株程度を植えられる容器を3Dプリンタで出力。個々のパーツをジュラコンスペーサで積み上げる方式。

コントローラは試作したAdafruit ItsyBitsy専用拡張基板を流用。単体で栽培時の環境モニタやリソース管理のために必要な拡張に対応している。
もともとデイジーチェーン方式のバス式接続規格の研究用にこしらえたので、この基板も多数の同規格の基板を連結することができる。システムとしては一つの通信バスでシーケンスを可視化し、異常なボードは電気的に切り離し、プログラムバスで一か所の接続点から全基板を書き換えできる。

 ItsyBitsyボードにはもともとNeopixel駆動専用のポートが用意されていて、DMAで点灯制御ができる。 ただし、今回は複雑なパターンを点滅させるわけではない。色温度調節、輝度調整、点灯、消灯制御がメインだ。
 スイッチも要らず、コントローラ一つでポットの数だけ照明をデイジーチェーンすることができる。スケーラブルなポットとして必要な要素だ。



 サンプルを実行した結果ゲーミングPCのように虹色に輝く多肉植物というサイケデリックなものが出現してしまった。直ちに単なる照明としてのコードに替える。
 16個のリングを輝度最大にすると500mAも引っ張る。ユニットが増えてくると、5V電源の容量、電源配線の許容値も検討しないといけない。
 幸い、半分以下の電流による輝度でも3㎝先で5000ルクスを確保できた。 徒長対策には十分な明るさがある。
 せっかく細かく調節できるので、時間に応じて色温度を変化させたり、輝度を調節して自然の日照を模擬するところまで実装してみたい。