2010/12/31

みちびき(QZSS)対応のGPSチップはすでに普及している?


日本のGPS補強衛星「みちびき」が移動体で3センチという高精度測位を実現したというニュースが出てしばらくたった。 ロボット的な応用分野としては気になるみちびきへ対応したGPS受信機の出現と、高精度測位が一般に普及する日はいつ来るのだろう。

(追記 一般的な利用では誤差1.5m程度とのこと。ただし、天頂付近という高仰角にGPS衛星がひとつ増えるということは、都市部で測位精度が向上するということなのでメリットは多い)

 実はすでに「対応したGPS受信機」を搭載した製品は出荷されている。 たとえばドコモの展開する「Galaxy S」、「Galaxy Tab」は、Bloadcom社がQZSSへの対応を表明したGPS受信LSI「BCM4751」を搭載していた。(分解記事)
といっても、みちびきを受信できたという記事やレポートはまだあまり見当たらない。

 GPS衛星は搭載された高精度な原子時計を基準として、地上に自らの軌道情報と時刻を放送している電波灯台だ。
モバイル端末が搭載するGPS受信機は、受信して得られたGPS衛星群の時刻と軌道情報を元に、受信した端末の座標を計算し、緯度、経度、高度を出力する。計算に使える衛星の数が多いほど、精度が上がっていく。
 現在のGPS受信機は小型化が進み、GPS信号の増幅、復調、計算までワンチップでこなすようになった。モジュールやICも様々な会社が生産している。

GPS衛星は一つ一つが識別コードを持ち、受信機はそれを解読する。
 従来のGPSモジュールでは、みちびきに割り当てられた新しい識別コードを取得する設定が無いため、そのままでは情報を使うことが出来ない。
 同様に独自GPS(欧州のガリレオ、露のGLONASSなど)も、利用するにはそれぞれのデータ形式や、周波数に対応したアンテナ、ハードウェアが必要となる。

端末も、GPSモジュールの生成した計算済みのデータ(NMEAフォーマットなど)を受け取るだけなので、端末側が頑張っても、GPSモジュールが対応しないと受け取ることができない。
モジュール自体の設定やファームウェアを書き換える必要があるが、これは普通GPSモジュールが出荷される前に書き込まれるものなので、専用GPS端末でないと、既に出荷された機器で対応することは無いだろう。

 さて、BroadcomのBCM4751は、出荷時点でQZSSやその他補強信号を出す衛星へ対応を謳っている。プレスリリース

そのため、理屈上はみちびきにも対応しているはずだが、そのへんは端末がソフトウェアで有効化しているかというのはわからない。

(追記)GPS受信機が対応しても、ソフトウェアが拡張されたIDを認識できず表示されなかったり、違うIDで表示されるというケースがあるようだ。

今回のカラクリは、対応したGPS受信機を搭載しても、その機能が使われているとは限らない。ということでした。 多機能化するモバイル機器ではよくあることだ。

 Androidでは統合チップ内にGPS受信機能が内蔵されていて、ほとんどの機種は統合機能を使っている。 実は外付けGPSモジュールを搭載する端末はそんなに多くない。
後継のGalaxy S2のGPSソリューションは他社の未対応品になっていたりするあたり、供給体制と調達コストなどが主な採用理由とみられる。

これはiPhoneでも言えることで、iPhone4はBroadcomだったが、後発のCDMA版はQualcommの統合機能を使っている。
GLONASSに対応したiPhone4S/5はこの設計を引き継いでおり。 統合チップが独自GPSに対応することが、モバイル端末での高精度GPS利用の普及フェーズとなるだろう…。 ただ、最近の端末はネットワーク測位なのか、GPS測位なのか曖昧になっているのがやや気になる。

電子工作的には、QZSS対応のGPS受信モジュールを手に入れるほうが早そう。ちらほら出てきていることだし…。

2010/12/27

GoogleSketchUPとMMD


MMDで自作宇宙機モデルその他を動かしたい! という欲望は、GoogleSketchUPを使い出した頃からあったのだが、なかなかとりかかれずにいた。 

MMEのエフェクトを見て、打ち上げロケット煙が簡単に実現しまうことに衝撃を受けた。 これはやってみるしかない!  ということで、きっかけはいつも単純。

以下、簡単な試みの忘備録。

MMDでもGoogleSketchUPを使ったアクセサリと背景を見かけるけど、メインのPMDモデルとして動かすことへの言及は少なめ。 どうも二種類の文法があって、Google3Dギャラリーからのインポートを指す場合が多いようだ。 (そういえばモデルデータはそこでも公開できるんだった)

作業フローとしては、
GoogleSketchUP(以下、GSU)のMMDExporterプラグイン→PMDエディタ→MMD
となる。

記事の時点で使用したのは、
GoogleSketchUP8(無印)
MikuMikuDance_v724 
PMDEditor_0063
MMD accessory Exporter
となっている。

今までつくっていたモデルを試しにMMDへ輸出してみる。物は試しと、色々エクスポートした。頂点数が65536を超えなければ大丈夫らしい。 仮に越えても、分割出力ができる。 しかしモデルは軽いほうが望ましい。

以下、エクスポート前の注意点。

 GSUで気の向くままにモデリングしていると、物体ごとに名前を付けてなかったり、些細な構造までグループだらけだったり、冗長な面を残したままだったりするので、製作段階からローポリを心がけたい。 GSUを使い始めた最初期に作った超大作(笑)は、後から軽量化にひどく時間が掛かった。

もうひとつ、面の表裏設定が入り乱れていると、エクスポートしたあとにテクスチャがおかしな振る舞いをすることがある。面の設定は揃えておくと良い。(GSUではテクスチャ無しの物体表面は、表面なら白/裏面なら灰色で表現されている)

エクスポートすると、見知らぬテクスチャと色がたくさん梱包されている場合がある。マテリアル画面の「モデルに使った色」を見ると、一度モデルに適用したことのある色、マテリアルがすべて出てくる。(上塗りでは消えてくれないらしい)。 これもできるだけ削減しておく。 (のちのちMMD側での調整がややこしくなるため)

 少々ディテールに凝ったあかつきは3万頂点程度だった。オプションにExport Front Faceというオプションがある。GSUだと表裏合わせてポリゴン数が2倍カウントされるらしく、表だけにした結果、ポリゴンが半減した。モデルによっては特定の面が消えることもあるので、何度か試行錯誤してみる必要があるようだ。


こうして.xファイルが生成される。
テクスチャを使用した場合は.xファイルの所在と同一階層にテクスチャがあることを確認。ただの色ではテクスチャファイルは発生しない。

このままでもMMDにアクセサリとして読み込むことはできるが、材質、ボーンといった項目が未設定だ。動かすことが目的なので、次はPMDエディタで .xファイルをPMD化する。
PMDエディタのファイルーインポートで.xファイルを選択。 すると、画面にGSUと比べるとのっぺりしたモデルが出現。 初期状態だと輪郭線,影が表示されていないらしい。

MMDで見てみた例
テクスチャ無しの頃のあかつきモデル輪郭ON

逆に、テクスチャと細部再現にこだわったMINERVA。 ほとんどいじらなくてもリアル。
センターボーンの設定


可動部のないモデルならセンターボーンだけのモデルが生成されている。センターボーンの位置は、エクスポート前のGSU上での座標と連携している模様。なので重心にする場合は予め座標を合わせてエクスポートするといいらしい。

可動モデルの試みとして、あかつきのパネル回転を表現するために、パネルと本体を別モデルとして出力してみた。(オプションにオブジェクト毎に出力、という便利な機能がある)それらをPMDエディタ上にインポートし、関連付けを試行錯誤中。 ちょっと泥沼

ボーン設定
 バラバラのモデルを統合するには、ボーンを設定する。 あかつきモデルの場合、ボーンリストにパネルのボーンがあるので、ボーン名を設定し、親ボーンをセンター(本体)、小ボーンをパネルそのものに割り当てる。 その先で若干はまったのが、ボーンの種類の選択だ。 センターを動かしたときにちゃんと追従してくるように、 4 : IK影響下(回転)にすると良いみたい。 IKはセンターに設定する。
 始めは 9: 回転連動に設定していてたせいで、独立してボーン操作できなかったのでどうしたものか悩んだが、わかるとあっけなかった。
 モデルの時点で、回転軸のすりあわせなどをやる場合は、表示→モデルの変形確認画面を開き、ボーン座標を打っては回転させてみることで修正できた。

輪郭を有効化
材質・テクスチャ


あと、材質設定を少しいじる。輪郭をONにするとそれらしくなる。(0→1) MMD上の照明では色が明るめになるらしく、暗めの配色に設定しなおしたり。テカらせるかどうかを選択したり。 色の再現性を気になる場合、彩色には画像ファイルをつかったマテリアルを利用すべきかもしれない。
 太陽電池のテカリを試行錯誤したが、やはりフレネル反射なしではきつい・・・ 資料をあさると、モデルを2体用意して異なる質感を組み合わせるとかやっているようだ・・・このさき、MME底なし沼という印象である。

テクスチャ名が長かったり日本語が混じっていると、材質の画面でサイズオーバーと表示され読み込めないことがある、その時はファイルとテクスチャ名をリネームしたらちゃんと表示された。
照明の明るさでも結構変わってくる


おまけ
以上簡単な試みの忘備録でした。 GSUの操作体系のせいで、メタセコ系の視点移動などにはじめ抵抗が遭ったがだんだん慣れてきた。 GSUは人物みたいに曲面で構成されたモデルは苦手なので、使い分ける必要があるだろう。 それにしてもMMDとその周辺のツール群の使いやすさは素晴らしい。 

2010/12/24

小型ローバーの実用例

世界の小型ローバー

原子力エンジンを検索していたらアメリカの企業が作った小型偵察ローバーの記事(中国語)に行き着いた。そんなこともあるよね。

というわけで、世界の小型ローバーロボット技術探訪。研究分野以外ではどんな使われ方をしているのか、というものを二つピックアップしてみた。

「死角に放り投げるだけ」偵察用の小型ローバー

軍事領域での開発にかけてはアメリカの右に出るものは居ない。
米ReconRobot社のローバーは小さなダンベル位のサイズで、中央に尾をもつT字型の典型的な筐体をしている。
http://www.reconrobotics.com/index.cfm
約540gの筐体に広角カメラ、2個の丈夫な車輪を備えている。操縦はジョイスティック一個で、無線でローバーのカメラの映像をモニターしながら操縦できる。
オプションを見るかぎり、主な供給先は軍や警察だ。現場で運用されることが考えられている。シンプルで頑丈、低コスト。 
その用途はまさに「車輪付き偵察カメラ」だ。デモムービーが分かりやすい。
印象的なのは、目的の場所に無造作に放り投げて動作する所だろう。



・制圧作戦で建物内の敵の把握
・犯人の逃げ込んだ先の特定
・籠城の様子の偵察
・人命救助

これまでは人命リスクで情報を得られず、闇雲な行動に出ざるを得なかった領域に普及していくのだろう。しかし戦場や修羅場でいざ投げ込まれた側にしてみれば、パニックに陥りそうな気もしてちょっと気になる。

「ハイテク玩具」カメラつき遠隔操作ローバー$130


http://www.spygear.net/spy-gear/item.php?key=64
革新的なおもちゃに関してもアメリカの右に(ry



 チルトカメラとキャタピラを備えた遠隔操作ラジコン。コントローラーには画面が付いており、モニターしながら操作可能。
CPUはARMで、SDカードに画像を残す事もできる。 さらにソフトウェアを追加可能。
ここまで書いておいて、130ドルで買えるおもちゃである。
おそらく組み込み系Linuxで稼働するのだろう。かつてならこの内容で10万円はしていたはず。 小型軽量の模型飛行機の価格破壊の流れで、こうしたハイテク玩具がどんどん普及している。 かつてこういうモノを作りたくて試行錯誤してきたことを考えると、はじめから手に入れられる時代が羨ましいと同時に複雑な気持ちになる。(時を同じくして個人向け電子部品市場も充実してきたのでよしとしよう)
最初に紹介したローバーともだいぶ似通ったシステムではある。もっとも、おもちゃの場合は15メートルから落としたら粉微塵になってしまうだろうけど。 注目なのはお掃除ロボットRumbaと並んで改造し甲斐がありそうなデバイスだという点だろう。 結局 大きいお友達向けの視点になってしまった。

 こうして世界の技術を追っていると、猫じゃらしロボットのインパクトはあまり無さそうである。しかし糸巻き戦車ローバーもあと2回くらい変身の余地を残している。慌てることはないさ…  こちらは最終的に操縦者なしで行動する放浪者を目指しているのだから…。 道のりは遠い。

もちろん、日本にはサウンドエンターテイメントロボット Rolly がいるではないか。
見ていて楽しく実用的なRobotが増えるといいな。
<終>



2010/12/18

衛星の電波を受信してみる まとめ 


気象衛星からの画像、BS放送、GPSといった軌道の巨人たちのサービスが浸透し、それがあまりにも当たり前なので、逆に衛星というものはほとんど意識されずに暮らしていける現在。

地上のRFネットワークが発達して、電波のやりとりが人々の日常から非可視化されつつある世の中で、ここはひとつ星たちのささやきを聞いてみよう。  

JAMSATの500円アンテナを使った環境でどこまで出来るかが主題です。
500円アンテナ http://www.jamsat.or.jp/features/cheapyagi/index.html


<無線機>
CubeSatやアマチュア衛星の電波を受信するためには、アマチュア無線の設備が必要になってくる。 無線機がネックだが、免許が無くても扱える広帯域受信機が市販されている。アマチュア衛星はだいたい135MHzから430MHz帯でさえずっているので、この帯域が聞こえるものなら大丈夫。
ここまで興味を持っていたら間違いなく免許を取る気配。筆者も勉強中です。

お手軽で人気な機種だとIC-R6といったものからたくさんある。 ただし低価格の受信機、あるいはトランシーバーではCWを受信できない機種が多い。その場合、聞けるのはFM衛星に絞られてくる。 CWが聞ける機種だと、大学衛星、とくにCubeSatのビーコンが聞こえるので結構楽しい。 FM運用と違って、衛星が可視範囲にいれば受信が期待できる。

私はDJ-X11を使用している。若干高いがPCに接続してSDRソフトを使うとCWとSSBを受信できる。 初めての運用で使った無線機がPC上でSDRを使う高級受信機だったので、同じことが簡易ながらできてしまうのは便利でうれしい。

<アンテナ>
通称"500円アンテナ"を自作。 アンテナの記事はこちら。 これを野外か、自宅の屋根に設置できると理想的だが、現実にはアパートなので、物干し竿に金具を使って固定した。 受信する間だけ外に出す。



・・・漂うネタの空気。
屋根以上の高さを稼げず、受信する方角が限られてしまうのがややネック。
アマチュア衛星向けの本では、八木アンテナを固定する場合、
・仰角を固定するなら20~30度
・方位角はローテーターをつける、なければ東北東か西南西に向ける。
とある。 ローテーターを開発出来ていないので、ここは固定運用で臨む。

自作八木アンテナなので、素子数が少ないとどうなるか試してみると面白い。素子を減らすほど指向性が弱くなり、ロッドアンテナのように全方位から電波を拾うようになる。 衛星運用している地上局の場合、この素子が16とかそれ以上になり、ローテーターによる精密な追尾で確実な受信、送信を行っている。  



受信の際、軌道予測ソフトでの受信支援があると無いとではだいぶ違う。 Orbitronなどの衛星軌道予測ソフトで衛星の通過時刻、最大高度などを調べられる。 また、周波数のドップラーシフトも計算し、リアルタイムで予測値を表示してくれる。手動で合わせる時に心強い。 
固定リグ機には、こうしたソフトと連携して自動で周波数を合わせられるものもある。
Orbitron
<電波を受信してみる>

いままでに紹介したような設備で、受信してみた。

2010年末現在、CubeSatなら日本勢だけでXI、PRISM、Cute、SEEDS、KKS-1、STARSの電波を捉えることができる。 ほかにも海外勢、アマチュア衛星がある。 沢山あるがどれが現在サービス中かどうかは結構カオスで、半分以上は軌道にあるが停波していたりする。 また新しい衛星も随時上がっているので、随時調べてみてほしい。

Orbitronの画面で、レーダーサイトになっているのが上空の衛星一覧なので、ここに見えている衛星を追いかけてみる。 CWで方位の条件が良いと、仰角が数度であっても信号を受信することが出来た。

大学衛星では、FM運用は大学の地上局がアップリンクしたコマンドにより不定期に行われるので、いつも聞けるとは限らない。 大学衛星のFMダウンリンクを捉えた例が以下のものとなる。(KG-SDR上にて)
さすがに感度が不足しているらしく、アンテナを工夫するか、プリアンプをつけないとデコードは難しそう。


アマチュア衛星の場合は、休日に聞いてみるととても賑やかな音声会話が聞こえる。衛星が搭載するレピーターを使った会話が行われている。 
きっとこんな感じで
以上、受信してみた報告でした。 
低価格ハンディ機と自作八木アンテナでどこまで出来るか調べてみたが、結構聞こえるなー、と。
目指すは無人気象台ロボットと無人受信局という壮大な出オチ計画。

2010/12/12

電子工作コンテスト


先日、電子工作コンテスト2010のイベント、 電子工作祭り2010 がありました。 

日曜にお台場まで糸巻き戦車型ロボットを伴って行ってきました。 
ノミネートされてはいたものの、どれもハイレベルな力作ぞろいなので、はじめから諦めモードでしたが、結果的に企業賞の一つ スイッチサイエンス賞を頂き、びっくりしました。
スイッチサイエンス様には日頃からSparkfun製品を輸入してもらったりしてお世話になっています。今後ともよろしくお願いします。

 糸巻き戦車は置いといて(床に)、授賞式で思ったのは、人を(心も)動かせる作品ってコンセプトのバランスが取れているな、ということです。 

 それにしても受賞者がハイレベルというのもあって、MAKEにも増してカオスなイベントでした… こいつ(糸巻き)もはやくインタラクティブな動作ができるように勉強しないと… 副賞でいろんなセンサーの詰め合わせキットをもらったので、これらをつなげるところから始めてみようと思います。

以上簡単な報告でした。  

※ちなみにKemushiComputerという企業は(まだ)存在しません。零細一人サークルです。


2010/12/06

あかつき、その他

衛星おえかきシリーズ番外編。

いよいよ大詰め。 500Nスラスタを使った軌道変換による金星軌道への投入間近。
6千万キロ彼方はどんな景色なのだろう。

あかつきの姿勢は公式ページによれば、放熱面とセンサーが集中する面が太陽に向かないよう設計されているので、おそらくこんな感じではなかろうかと予想。(CG動画でも同じ姿勢だったような)
リアル志向ですが所詮、見た目の再現なので、本物とは微妙に細部の造形が違います。 艦隊絵ではパネルの向きが微妙に下むいてたりとか。 IKAROSの膜面の配置とか。分かる人はわかると思われる微妙な点。 参考にされるとモロばれという。


話は変わって…
 人工衛星って私の中では擬人化というよりも家なんです。
設計時の進行はまんま建築と同じだな、と。 振動試験を耐震と置き換えて、熱設計を高気密高断熱住宅と置き換えれば・・・ほら(なぜか得意げ)
そこにセンサーとか、航法関連の装備、計算機を設置する。 配線の電気工事もある。 
最近は住宅のほうが太陽発電とかスマートセンサー、高効率給湯などを導入しはじめているので、住宅の衛星化が進んでいるのではないかと一人妄想してみたり。

住宅に擬人化要素が導入されるかどうかは次世代に期待しておくとして、(最近の文化遺伝学的インフレからすると、すでにちらほらあるような気もしますが) あかつきの活躍には期待ですね。

以上落書きでした。

※どちらかというと私は機械の擬生物化のほうに興味がある人間なので、小惑星帯を気ままに航行する次世代太陽帆探査機の子孫のほうがロマンがありますね

追記。 今回の軌道投入は不発に終わってしまったようですね・・・。 かっこいい探査機なだけにショックです。 惑星間深宇宙の難しさは別のプロジェクトで思い知らされているだけに、言葉がでません。 気の遠くなる年月です…。  

2010/11/30

手抜きGPSロガー

 ものすごく手抜きなGPSロガー
なんとコードすら書いてません。
 中身はGPSユニット、OpenLog、リチウムイオン充電池。たったこれだけ。


 OpenLogはMicroSDを使ったシリアルSDレコーダーで、最新ファームだと最大115.2kbpsの速度をそのまま記録可能だとか。
 マイコンからファイル操作も可能で、とても便利。デフォルトの9600bpsであれば何もしなくてもとりあえず記録できてしまう。(ボーレート設定等はSDカードに生成されるtxtファイルで行う)
これにLS20126を接続し、リチウムイオン充電池で駆動する。 多分ぜんぶで50mA以下だから1000mAhの容量ならまる一日は動作しつづけるだろう。 

 記録精度は問題なし。 これで磁気センサ値が反映できるよう、自転車に取り付けたりできるといいかも。

・スイッチすら省いたけど、逆接続による故障防止のため、電源ラインにダイオードを入れた。
・LS20126にはバックアップ電池が無いので、用意しない限り毎回コールドスタート。 ただ衛星捕捉は早め。


OpenLog Sparkfun http://www.sparkfun.com/products/9530 
OpenLog HOME https://github.com/nseidle/OpenLog/wiki
LS20126 http://www.sparkfun.com/products/9838
Polymer Lithium Ion Battery - 900mAh http://www.sparkfun.com/products/341

2010/11/27

糸巻き戦車型ローバー紹介動画




新型車体による紹介動画。 撮影中に猫が乱入して動画の方向性が乱れたものの、好評そうでなによりです。
生物を模倣したつもりはなくても、機能性の追求がRollyみたいな生物感をもたらすことは分かっていたので、某動画サイトで"かわいい"というコメントが付いていたのが印象的でした。
しかし、これの元ネタはむしろパンジャンドラムに近かったということは、言っても信じてもらえないだろうな…
そう、巨大Rollyを自作しようというネタから全ては始まったのです。 

<おまけ>

公園の猫との戯れ

2010/11/23

Spinnerのモーター交換

走行テストで不具合は出てくるもの。
試作機は合計で30分も走らせていないため、同設計の車体を長時間動作させた結果、いろいろと不具合が出た。
まずはタミヤの遊星ギヤモーターがとてつもなく電力を喰うわりにトルクが弱い。
ためしに電流計で無負荷電流を測定すると
・借りたマクソン 100mA以下
・遊星ギヤボックス+280モーター 480mA
という結果に。
グリスの焼ける臭いは凄いし、加熱するとすぐに出力がおちてしまった。

Spinnerの電子部品とパーツは、電子パーツ屋と東急ハンズで揃えたが、はじめてツクモロボット館にふらりと入ったところ、代替候補をみつけた。ギヤードモーターRA250100-58Y91)¥1500
ギア比 100対1のモデル。
http://robot.tsukumo.co.jp/goods/2340105965506/
なにがいいかというと、今までのように、車輪との固定がナット1個で済むのに必要なネジつきシャフトと割りピンがそろっていること。 
さっそく付け替えた。 予備のアルミ円盤さえ加工すれば固定できるため、作業はすぐ終わった。 
モーター用にアルミ棒で固定具を作成。L字型に曲げてネジ止め。

円盤を一枚減らした。 固定先に応力が蓄積して曲がるようだったらもう一枚で固定しよう。
 このモーターの電圧は4.5V定格らしいので、単三2本では足りなくなった。 ついでなので本体側のLi-Poバッテリと同じものをつないだ。 コネクタが同一なので問題なく運用できる。

モータードライバの固定先
 消費電力は150mA程度でとても少ない。タミヤのモーターは電力がほとんど熱に変わっていたのではないか?・・・ ギアの噛みあわせもあるのだろう。

タミヤ製のモーターとギア比を同一にするよう心がけたが、このモーターで100対1かつ3.5Vだとさらに遅くなる。 動画で二種類の速度があるのはそのせい。
ただしトルクは2倍程度に増えた。 これはスタビライザを縦に置いた電子秤に押し付けて測定した結果わかったこと。
動画で紹介したように、固定されたり、石のような障害物に出くわしても乗り越えられることは確定した。
ただし細かい砂の山みたいなところだと、掘り進んでしまい前に進みずらそうだった。 タイヤ形状に工夫が必要だ。 今のでも気に入っているのだけれど・・・ 

あくまで自律探査機を目指すので、速度は要らないが自力で脱出はできてほしい。 現状その場で砂を掘るだけで、腕を振ったり、後進すれば難なく脱出できる。 後付にしては車輪の回転運動以外にも外乱を起こせる腕ってなかなか便利なアイテムなのであった。 ジタバタさせてたらネコに攻撃されたのはちょっとしたハプニングだが、種族を超えて無害と認定されてなによりです)

アクリルの強度を過信していたら、スタビの根元が割れた。 撮影前だったのでエポキシに浸して難をのがれたものの、アルミで作り直しが必要ですね。

2010/11/19

二つのシリアル接続JPEGカメラの比較

左:LinkSprite LS-Y201-TTL 右:C328-7640
最近Sparkfunで取り扱いはじめたLinkSprite社製のJPEG Color Camera LS-Y201-TTL

偶然若松で見つけたので見てみると、レンズマウントがよく見かけるタイプなのでレンズ遊びを期待して購入。 秋月のボードカメラを望遠鏡にとりつけて天体観測をしていたころの記憶が蘇る。

ついでに手元にあったC328-7640(すでに入手不可。今は改良された後継機種が出ている)と比べてみた。 

外観


基板はC328より大きめ。 日本にはTTL版が入ってきたようで、裏にRS232レベルコンバータは無い。 販売元ではArduino用ライブラリ、あと中国語っぽいPC用制御ソフトが入手できる。

裏のLSIはPDA向け汎用映像処理チップ、らしい。
データシートを検索したら製品特徴だけ見つけた。 それによると、モバイル用と言う割には、監視用途まで想定しているのか、TV出力もある。 
実は配線端子部にひとつだけ"TV"というシルク印刷がある。 
ほかはシリアルと電源なのだが、TVという端子にRCAケーブルを半田づけしてTVにつないでみた。
アナログTVの映像端子つなぐと、乱れてはいるが映像が出力されていた。 ここは監視用ボードカメラのような感覚らしい。 信号出力が弱いのか、出力先によっては一瞬だけしか映らないこともある。 
( 追記: 後日実験してみたところ、どうやらPALで映像を出力しているらしい。 PALに指定してキャプチャしたところカラー映像が得られた。 )

画像取得はシリアル経由で取得する。 制御ソフトは撮影画像の保存先のパスを指定しておかないとクラッシュするので注意。 先程のTV出力は、画像の転送期間中は転送中の画像フレームがずっと表示される。 転送が終わると元通りに30fps程度で映像を表示する。
なにはともあれ、秋晴れの日に外へ出て撮影テストを実施してみた。
比較用テスト

ハウジングに入れたC328と、LS-Y201を用意。

秋月のUSB変換キットを改造したシリアル変換器でPCと接続。 FT232の3.3v出力は足りない場面が多すぎるので、3.3vレギュレータを装備している。スイッチで5v/3.3v切り替え可能。

C328はタカチのケースにいれている。 上にはケータイ用の魚眼レンズを付けられるように作った。

実画像
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C328-7640

80x60

160x128

320x240

640x480

VGA,(Fisheye)


※時々橋の手前の空に映るゴミみたいな影はカモメです。
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LinkSprite LS-Y201-TTL


160x120
 (追記2010/11/25) Arduino用ライブラリを拡張して、付属ソフトでは出せない最小サイズも出力してみた。 一度成功したがその後初期化によく失敗するようになって埒があかない。 うーむ。
 付属のPCソフトには応答するが、なぜかArduino経由では応答してくれなくなる。
 実は地雷? 
  すでに究明している方のブログ
  http://shinta-main-jp.blogspot.com/2010/11/linksprite-jpeg-color-camera-ls-y201.html
320x240

640x480
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Sample 参考までに、普通のカメラでも。

GX200 (VGA)
GX200 24mm広角端


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それぞれの特徴

 センサーがVGAな上、目的がUARTで画像を読み込むことにあるモジュールに画質をもとめるのはそもそも間違いなので、それぞれの傾向と使い勝手を列挙してみる。 

C328 
・本体小さい
・圧縮率高め、
・AGC遅め、
・出力サイズ多め
・RAW出力可能。
・機嫌損ねやすい
・消費電流 max:60~70mA, min:0.66mA 10秒でスリープ。

小ささとミニマムな構成が良い。 ただちょっとしたことでコマンドを拒否したりと癖のあるヤツ。
新型のC1098-SSならいろいろ改善されているそうなのでちょっと気になる…。

LS-Y201 
・本体とレンズは標準的な大きさ。
・圧縮ノイズは目立たない。絵は綺麗。
・赤外領域への感度があるためか色がおかしい(IRカットフィルター弱め?)
・AGCは優秀。 
・解像度の変更は電源の入れ直しが必要。
・(コマンド操作しなければ)扱いやすい。 操作したいのに…
・消費電流 約69mA, TV出力OFFで43mA スリープモード無し。(画像サイズで4mA程度変化)   
・面白いことにJPEG画像サイズを設定すると、それがテレビ出力の解像度にも反映される。(VGAとVGA) 

レンズがボードカメラとしては標準的なので、画像の色合いについては、レンズを取り替えることや、カットフィルターを挟むといったことが容易に行える。 弄り甲斐という点ではLS-Y201が気に入った。 ただしMCUからの操作はC328以上にひねくれているみたい。
 公式にはあまり触れられてないTV出力だが。仕様を見る限りはJPEG画像出力付きカラーカメラと見たほうがいいだろう。(機能の優先度は、TV出力OFFのモードが存在するため、JPEG画像>TV出力となる。でも完全なスリープモードは無い)
しかし常に40mA喰うので、バッテリ機器では外部に電源制御回路が欲しい。


どちらのカメラもよくフリーズする。そのとき消費電流もおかしな値になる。C328では消費電流が65mA、LS-Y201では50mA程度になった。 LS-Y201は電源ラインだけFETで制御出来れば多分リセットがうまくいくと思うけど、C328はスリープモードがあるため、単にVCCを制御してもシリアルのラインから動いてしまいリセットできない。工夫が必要。 

LS-Y201で面白そうな応用としては、TV出力をビデオトランスミッターにつないで、RF送信をしてロボットを遠隔操縦するというものを思いついた。 画像撮影はロボット側で完結する。
惑星探査ローバーの管制気分を味わえたらいいのだけれど、日本では良さそげなトランスミッタは電波法に抵触するため使えない。残念。

こいつに組み込みたい・・・
以上レポートでした。 

2010/11/16

nya?

惑星地球の試験走行中に原生物が出現。


原生物A「これにゃんだろねー?」
原生物B「にゃんだろなー?」
非武装のSpinnerで腕を振って威嚇してみたら猫パンチが返ってきました。
警戒以前にどう見ても遊ばれています。

たぶん実家の犬よりも肝が据わっている猫たち。

皆さんも野良Spinnerとかには気をつけてください。

2010/11/15

[Spinner]糸車戦車型ロボット その2


開発を続けている糸車戦車型ローバーの新車体フレームにひと通りのシステムno
組み込みが終わった。
中身は生まれ変わったが、外見はすっぽり覆う車輪がほとんどを占めているため、あまり変化してない。

(中身の)外観

試作機反省から、シャーシ設計から一貫して保守点検を考慮に入れた。
アルミ円盤をジュラコンスペーサーで連ねた構造となっている。
部品固定はテープ等の使い捨て素材をできるだけ省いた。(XBee,GPS除く)
ちゃんと作るとかなり製作も楽になることを実感した。
世間ではモジュール化といいますね。

車輪外の露出部。アクリル円盤のカバーを外したところ。
シャーシの延長で、アクリル円盤に車体外のアーム、アクセスポート、スイッチ等を配置。
このへんの思想は試作機から受け継いだ。 プログラミングポート(DSUB)はかねてより構想していたXBeeによるArduinoのワイヤレスプログラミングが実現したので、今は卓上のセンサ開発時向けの装備になってしまった。 走行時に付けないとモーターとサーボが駆動しないフライトピンは健在。
ポート周辺パーツ

ガイドローラー
ガイドローラーは3方向から車輪を支える。 前よりなめらかに回転。

駆動系
駆動系はドライバを後進に対応させた以外はそのまま。専用バッテリとタミヤの遊星ギヤ、機械式リレーのミニ四駆状態。 いつかマクソンモータに変わったら、ドライバICにするんだ・・・ 
 電池はエナジャイザー。大きな家電店で普通に売ってる最強のリチウム一次電池です。


スタビライザ (=しっぽ)
これも変化無し。 ただし持ち歩き用に取り外し可能。

外観


システム諸元

MCU: Ardupilot MEGA 
Communication: XBee Pro(JP)
Sensor: GPS 
Motor: TAMIYA PlanetaryGear Set
Servo: GWS 2BBMG
Battery: System: Li-Po 3.7v 900mA
            Motor: LR6 x2 (3V)


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