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GoogleSketchUPとMMD


MMDで自作宇宙機モデルその他を動かしたい! という欲望は、GoogleSketchUPを使い出した頃からあったのだが、なかなかとりかかれずにいた。 

MMEのエフェクトを見て、打ち上げロケット煙が簡単に実現しまうことに衝撃を受けた。 これはやってみるしかない!  ということで、きっかけはいつも単純。

以下、簡単な試みの忘備録。

MMDでもGoogleSketchUPを使ったアクセサリと背景を見かけるけど、メインのPMDモデルとして動かすことへの言及は少なめ。 どうも二種類の文法があって、Google3Dギャラリーからのインポートを指す場合が多いようだ。 (そういえばモデルデータはそこでも公開できるんだった)

作業フローとしては、
GoogleSketchUP(以下、GSU)のMMDExporterプラグイン→PMDエディタ→MMD
となる。

記事の時点で使用したのは、
GoogleSketchUP8(無印)
MikuMikuDance_v724 
PMDEditor_0063
MMD accessory Exporter
となっている。

今までつくっていたモデルを試しにMMDへ輸出してみる。物は試しと、色々エクスポートした。頂点数が65536を超えなければ大丈夫らしい。 仮に越えても、分割出力ができる。 しかしモデルは軽いほうが望ましい。

以下、エクスポート前の注意点。

 GSUで気の向くままにモデリングしていると、物体ごとに名前を付けてなかったり、些細な構造までグループだらけだったり、冗長な面を残したままだったりするので、製作段階からローポリを心がけたい。 GSUを使い始めた最初期に作った超大作(笑)は、後から軽量化にひどく時間が掛かった。

もうひとつ、面の表裏設定が入り乱れていると、エクスポートしたあとにテクスチャがおかしな振る舞いをすることがある。面の設定は揃えておくと良い。(GSUではテクスチャ無しの物体表面は、表面なら白/裏面なら灰色で表現されている)

エクスポートすると、見知らぬテクスチャと色がたくさん梱包されている場合がある。マテリアル画面の「モデルに使った色」を見ると、一度モデルに適用したことのある色、マテリアルがすべて出てくる。(上塗りでは消えてくれないらしい)。 これもできるだけ削減しておく。 (のちのちMMD側での調整がややこしくなるため)

 少々ディテールに凝ったあかつきは3万頂点程度だった。オプションにExport Front Faceというオプションがある。GSUだと表裏合わせてポリゴン数が2倍カウントされるらしく、表だけにした結果、ポリゴンが半減した。モデルによっては特定の面が消えることもあるので、何度か試行錯誤してみる必要があるようだ。


こうして.xファイルが生成される。
テクスチャを使用した場合は.xファイルの所在と同一階層にテクスチャがあることを確認。ただの色ではテクスチャファイルは発生しない。

このままでもMMDにアクセサリとして読み込むことはできるが、材質、ボーンといった項目が未設定だ。動かすことが目的なので、次はPMDエディタで .xファイルをPMD化する。
PMDエディタのファイルーインポートで.xファイルを選択。 すると、画面にGSUと比べるとのっぺりしたモデルが出現。 初期状態だと輪郭線,影が表示されていないらしい。

MMDで見てみた例
テクスチャ無しの頃のあかつきモデル輪郭ON

逆に、テクスチャと細部再現にこだわったMINERVA。 ほとんどいじらなくてもリアル。
センターボーンの設定


可動部のないモデルならセンターボーンだけのモデルが生成されている。センターボーンの位置は、エクスポート前のGSU上での座標と連携している模様。なので重心にする場合は予め座標を合わせてエクスポートするといいらしい。

可動モデルの試みとして、あかつきのパネル回転を表現するために、パネルと本体を別モデルとして出力してみた。(オプションにオブジェクト毎に出力、という便利な機能がある)それらをPMDエディタ上にインポートし、関連付けを試行錯誤中。 ちょっと泥沼

ボーン設定
 バラバラのモデルを統合するには、ボーンを設定する。 あかつきモデルの場合、ボーンリストにパネルのボーンがあるので、ボーン名を設定し、親ボーンをセンター(本体)、小ボーンをパネルそのものに割り当てる。 その先で若干はまったのが、ボーンの種類の選択だ。 センターを動かしたときにちゃんと追従してくるように、 4 : IK影響下(回転)にすると良いみたい。 IKはセンターに設定する。
 始めは 9: 回転連動に設定していてたせいで、独立してボーン操作できなかったのでどうしたものか悩んだが、わかるとあっけなかった。
 モデルの時点で、回転軸のすりあわせなどをやる場合は、表示→モデルの変形確認画面を開き、ボーン座標を打っては回転させてみることで修正できた。

輪郭を有効化
材質・テクスチャ


あと、材質設定を少しいじる。輪郭をONにするとそれらしくなる。(0→1) MMD上の照明では色が明るめになるらしく、暗めの配色に設定しなおしたり。テカらせるかどうかを選択したり。 色の再現性を気になる場合、彩色には画像ファイルをつかったマテリアルを利用すべきかもしれない。
 太陽電池のテカリを試行錯誤したが、やはりフレネル反射なしではきつい・・・ 資料をあさると、モデルを2体用意して異なる質感を組み合わせるとかやっているようだ・・・このさき、MME底なし沼という印象である。

テクスチャ名が長かったり日本語が混じっていると、材質の画面でサイズオーバーと表示され読み込めないことがある、その時はファイルとテクスチャ名をリネームしたらちゃんと表示された。
照明の明るさでも結構変わってくる


おまけ
以上簡単な試みの忘備録でした。 GSUの操作体系のせいで、メタセコ系の視点移動などにはじめ抵抗が遭ったがだんだん慣れてきた。 GSUは人物みたいに曲面で構成されたモデルは苦手なので、使い分ける必要があるだろう。 それにしてもMMDとその周辺のツール群の使いやすさは素晴らしい。 

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