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RPN電卓(WP-34S)

 設計のお供に関数電卓。  昔から気になっていたHPのRPN電卓に手を出してみた。  HPの電卓は逆ポーランド記法(RPN)というので有名で、宇宙開発とも縁が深いという話がある。 RPNを試してみたいなら、スマートフォン用に、RealCalc(Android)やPCalc Lite(iOS)といった、RPNにも対応したアプリがある。 少額で直感的なバイナリ計算などに対応するので便利だ。   現在入手できるRPN電卓は、過去の製品を復刻したものや、ビジネス向けモデル、グラフィック表示の科学計算用などのラインナップがある。 HP-35Sにも食指が伸びたけど、他にも候補を調べていたところ、WP-34Sというプロジェクトがあるのを知った。  WP-34Sは、HPの関数電卓のエミュレータとして開発され、実際にHP-20b/30bというビジネス用電卓のROMを書き換えて、科学計算ができる独自ファームウェアを載せるというプロジェクト。 自分はコミュニティーベースのハードウェアに弱い。 WP-34S   http://sourceforge.net/projects/wp34s/   ダウンロードからエミュレータ、バイナリ、充実したドキュメントが手に入る。 書き換え手段などはドキュメントに全部書いてあった。実機が無くても遊べる。  追記) iOSだと、Appストアからも入手できた。 HP-30b 書き換え前 HP-20bと30bという機種は回路図と開発環境が公開されていて、搭載されているAtmelのAT91SAM(ARM7)のプログラミングも可能となっている。 HP-10シリーズの復刻版の機種はこれで過去のバイナリをエミュレートしているとか。 WP-34S化した状態  ROM書き換えをするとキーの機能も変更になるが、耐久性のあるシールが配布されていて、HP-30bをeBayで買うのと同時に購入した。 HP-20bなら日本のAmazonでも取り扱いがあるし、ソフトウェア的には違いは無い。 30bを輸入したのは、キーがしっかりした作りであるという情報による。 30bはフロントが金属仕上げで、硬質キーのクリックは固めだ。  書き換えの手段はCMOSレベルのシリアル通信。

ギブスンのトリロジー

1972年のNewsweek誌 (押入れから発見されたもの) The  future is already here  — it's just not very evenly distributed. ウィリアム・ギブスンの言葉。  ギブスンの作品を初めて読んだのは高校3年の頃、模試の途中で立ち寄った本屋で買った「ニューロマンサー」 だった。 サイバーパンクの最高峰、独特な言い回しでカルト的な人気がある。 とはいえ、書かれたのは自分が生まれる4年前で、 サイバースペースはすでに古典と化していた。  短編ほか、代表的な3部作が3つあるが、 ニューロマンサーの後に書かれた2つの三部作はあまり噂を聞かなかった。 訳書も絶版で、中古本しかなく入手性がよくない。なので原書(Kindle版)を読破した。  この3つのシリーズを通してみると、ギブスンの作品はその当時の時代が色濃く反映されているのだと思う。技術好きなのでガジェット描写に注目してしまうけど、あくまで主役はそのガジェットが偏在する世界で暮らす人間達の物語だ。  橋三部作と、SF要素の無くなった新三部作についても、現在のネットや技術文化で起こっている現象を先取りしているようで、とても興味深い。 もっと入手性が良いとおすすめしやすいのだが…。 ということで、原書で読んだシリーズのあらすじを適当に整理しておこう。 スプロール三部作  「ニューロマンサー」、 「カウント・ゼロ」、「モナ・リザ・オーヴァドライブ」 80年代を1世紀くらい続けた先の近未来世界で、サイバースペースのハッカー、サイボーグの殺し屋といったヤバい仕事人たちがAIにこき使われるお話(超意訳)。  膨大な情報を解釈するために用意された仮想現実とネット。ソフトウェアとして流通する技能、レンタルビデオのように氾濫する五感メディアと人格ROM構造物。 ヒトがガジェットと化した未来世界で、混沌から生まれようとしている新たな知性…  復刊もされているため、たいていの人がニューロマンサーから入門すると思うけれど、入門が一番の難関だったりする。 自分の耳の後ろには早い段階でSF用ソケットが埋設されていたので、それほど困難は無かった…。  後の作品になるほど、落ち着いた文章になってゆくのだが、古典と化したこ