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CAL.4809の開発(2) ケース試作

CAL.4809のためのケースを設計してみた記録。  21世紀のかまど。 マインクラフト感がある。 思考する速度で試作したい  3Dプリンタを導入した。 個人的に初めて3Dプリンタ造形物のデータを作って、出力してもらったのが2012年頃だったので、すでに6年もの歳月が経っている・・・。 自己所有する機運が高まるのにだいぶかかった。 どうもハイプ・サイクル的な波が落ち着いた頃に導入する傾向がある。  いろいろ検討してみた結果、今年出た新型、Flashforge Adventurer3に決めた。 完成品で箱なので、机の下に設置しても大丈夫なのが決め手。  動作音は静かなインクジェットプリンタと炊飯中の炊飯器のファン音を足して二で割った感じ。 静音を謳うだけあってほとんど気にならない。  Z軸キャリブレーションだけで快調に動いている。  高速試作環境のために導入したわけなので、Fusion360に慣れる目的でCAL.4809の外装を試作してみた。 3Dモデリングも久しぶりだが、割と覚えていた。  基板部分のデータはKiCadからエクスポートしたSTEPファイルを取り込んだ。 その外側にケースを作成する。 外装は基板外形を1mm拡張して、壁の厚みを0.8mmとした。  前後はNATOベルトを通すための隙間を設けている。  側面はボタン、IrDAポートのための加工を行った。 ボタン部は素材の弾性を使う。 ケース自体は装着を考え、下部の時計用ベース基板に固定するための爪を側面に設ける。  上のCAD図は既に5回くらいのバージョンアップの後のもので、最初はボタン部などの造形をせず、外形だけでプリントして検証し、徐々に細部の造形に移っていった。 単純な造形なら30分ほどで出力できる。 彫り込みというか刈り込みというか、とにかく手元にプリンタが無いと試行錯誤ができない。 途中から出力方向をひっくり返した。 ほぼサポート材 モデリングの過程で出力して確認するサイクルを経て、最終的に一番精密なモードで1時間半かけて出力した。 ラフトを剥がすのに便利な 時計のコジアケ。 買ったけど時計を全然こじ開けてない。  この造形だと糸引きがすごかった。 サポート材は簡単にはずれてくれるけれど、なにせ細かいの

CAL.4809の開発(1)

 2018年の新作。ATmega4809を使った試作ということで、CAL.430FR(2015年)の後継機を製造した。   CAL.430FR https://blog.kemushicomputer.com/2015/03/cal430fr1.html  今回はケースの作成にも挑戦してみたので、3Dプリンタでの製造は別の記事にまとめる。  430FRはKiCadの練習で作ったけれど、それ以来3年間で設計、製造、実装した基板は結構な数になった。  今年は大きなプロジェクトも一段落したので、自分の趣味プロジェクトも原点回帰してみることにした。 3年半前の基板(左)と今回の基板(右) シルクに印字したQRコード。思ったよりコントラスト不足で認識率が良くない 黒基板とかだとアリかも  36mm角の基板サイズ、コネクタ位置等はCAL.430FRと同じだが、マイコンはATmega4809にして、新たに赤外線トランシーバーを載せた。IrDAにした理由はUSARTにモデム機能があったからというだけだけれど、一応通信機能を持った基板となった。これで規格の波に数周遅れのスマートウォッチが作れる。  サイドボタンは1つ削減して3つになっている。 https://github.com/kentN/CAL4809 12月に入り、夏以降 ほとんど音沙汰のなかったArduino Uno Wifi rev2がとつぜん販売開始となっていた。 日本では無線LANモジュールの認証作業の完了待ちらしいけど、そのうち入手できるだろう。 ボード外観を見た感じではレベルシフタが一つ増えていて、WifiモジュールとのIFまわりに仕様変更が見て取れる。   リリースされたばかりのArduino Uno Wifi rev2向けのボード定義も配信が始まり、ボードマネージャ経由でインストールすることができた。  ボード定義で面白いのは、ATmega4809としての定義と別に、端子レベルでATmega328Pをエミュレートするコンパイルオプションがあること。Wifiモジュールなどとの通信制御を遮蔽しつつ、UNOと同じピン定義でプログラミング可能なようだ。   デバイス定義を参考にして、自作ボード用の定義ファイルを作成してArduino互換として動かす

道具の更新

 HAKKOのIHはんだごて、FX-100を導入して2ヶ月ほど経った。 FX-951から乗り換えなので、両者の差異を書き出してみた。 小手台はコテ検出等の配線も無くなり、コンパクトで置き場を選ばなくなった。 (本体は結構大きく重くなった)  立ち上がりは早く、コテはさらに細くなって持ちやすい。  コテから持ち上げたときや小手先の温度変化に対して、かなり機敏に温度制御してくれる。 スリープ、シャットダウン、復帰も軽快。  だんだんとRF特有のスルーホールだらけ多層基板などを手がはじめているので、無限に吸われる熱との戦いになる。  小手先としては、主にC型の大きいタイプを使うが、足の出ていない小さいQFNやUEW作業では小さい小手先に交換している。  FX-951を全く使わないかというと、もっと熱容量の大きい小手先に付け替えて、表面実装以外のはんだ付けに使っている。  今まで仕上がりは目視とビクセンのマルチモノキュラー4x12にルーペスタンドをつけて確認していたけど、夏にHOZANのL-50を中古で手に入れた。 一昔前の構成のため、付属していた照明は蛍光灯式ですでに寿命を迎えていた。 あとから安いLEDリングライトを取り付けた。 追記 倍率0.5倍のコンバージョンレンズを入手。 焦点距離を2倍にすることで、系全体の倍率が半分になる。  作業時の姿勢が改善した。  倍率5倍相当で視野が直径36mmに広がり、QFP100が余裕でつけられるようになった。 10倍だとちょっと狭くて、大きめのパッケージが付けにくかった。  特殊領域の設計試作はあまり数が出ないのと、数が出る場合は専門業者の領域になるので、リフロー量産の方面には手を出していなかったけど、そろそろ整備していきたい。

ATmega4809(megaAVR0)を試す

megaAVR 0という新しいAVRシリーズを試してみた。  小さいパッケージなのに、UARTが4本もあるのが気になったのがきっかけ。 登場すると噂の Arduino Uno Wifi rev2  にも採用されるらしい。  簡単にデータシートを眺めてみると、アーキテクチャはXmegaシリーズを簡素化し、動作電圧範囲を広げたもののようだ。  CPUの命令セットはAVRxtと新しくなっているが、Xmegaで拡張された一部の命令(DESやUSBで使われる命令)が削除されていて、基本的に今までのATmegaとほぼ同じだ。  コンパイラからは、先に登場した新しいtinyAVR0, tinyAVR1シリーズと共にAVR8Xと呼ばれて区別されている。  CPU周りを見てみると、割り込みレベルなど、今までのクラシックなATmegaで足りないなと思っていたものがかなり強化されていた。 ArduinoAPIを再実装するとしたら便利そうなペリフェラルもだいたい揃っている。 データシート P6  DMAは無いけれど、周辺機能にイベント駆動用の割り込みネットワークが張り巡らされているのがわかる。  できるだけCPUを介在させない使い方がいろいろ提案されているので、アプリケーションノートやマニュアルを読み込むことになる。 ピックアップした特徴 ・データメモリ空間(64kB)に統合されたFlashROMとEEPROM ・RAM 6kB ROM 最大48kB (メモリ空間制限のため) ・デバッグ専用の端子 UPDIを搭載 ・優先度付きの割り込み(NMIと2レベル) ・ピン単位の割り込み(かなり複雑になった) ・リセットコントローラ(ソフトウェアリセット用レジスタが実装され、リセット原因が何だったかもリセット後に読み出せるようになった) ・豊富な16ビットタイマ(4809では5基) ・16ビット リアルタイムカウンタ(RTC) ・豊富な非同期シリアル/同期シリアル(USART 4ch、SPI 1ch,TWI 1ch) ・内蔵クロックは最高20MHz(PLL)と32kHzの2種類。外部クロックは発振器と時計用水晶のみ ・ADCは10bit 16ch ・内蔵VREF電圧が5種類と多い(0.55V,1.1V,1.5V.2.5V.4.3V

G4 Modケースの改修と更新(2018)

ワークステーションとして、PowerMac G4 QuickSilver筐体を自作機にして早10年。   https://blog.kemushicomputer.com/2010/03/powermac-g4-dosv.html  昨年Ryzenに換装してからの悩みが、6年経過したATX電源の更新問題。 ケースそのものはATX電源が取付け可能だが、すでに絶滅した古い背面ファンモデルに限定されるため、交換候補が無くなってしばらく経っていた。  電源が選べないとシステム規模も頭打ちになってしまう。ということで内装工事を行い、まともなmicroATXケースとして改修した。  ATX電源を逆さまに設置するため、対応するネジ穴と開口部を加工した。 軟鉄なので電動ドリルとハンドニブラでなんとかなる。  新しいATX電源は、ENERMAX REVOLUTION DUO 750Wにした。 最新の電源だが、昔懐かしい背面ファンと底面ファンの2つを搭載しており、排気性能が高い。 電源を取り付けたところ。狙い通り底部ファンをケース内に向けることができた。 また、HDDとSSDの設置位置を底部に戻した。 側壁につけていた自作HDDブラケットを撤去したことで、マザーボード拡張スロット周辺の空間が広がり、ハイエンドGPUのリファレンスモデルを取り付けられるようになった。 ショートモデル縛りからの脱却  今回はRadeon RX VEGA 56(MSI)にして、システムをAMDで統一してみた。 OCしなければ電力もそこまで喰わず、広帯域メモリを積んでいてGPGPUとして面白いモデル。 ようやくマイニング需要が落ちてきて、価格も下がりつつあった。  電源には8ピンx2本を要求する。REVOLUTION DUOに2本ついているPCI-Eケーブルは最初から8ピン(6+2ピン)x2構成なので問題なかった。  以前まではシステム全体のピーク電力を300W以下に抑えてきたけれど、これで放熱が間に合う範囲であればパフォーマンスを追求できる。 Radeon RX Vega 56 (msi)  もともとPowerMacG4は中学生の頃、ナショナルジオグラフィックの広告でギガフロップスの単語とともに載っていた事だけ覚えていた。

デスクトップ地球軌道

1億分の1地球儀で遊ぶ  昨年の年末、無印良品で販売されている白地図地球義を購入した。   実は昭和カートン製で、けっこうしっかりした作り。  2種類の大きさがあったが、小さな1億分の1スケール(直径約12cm)のものを購入。 一億分の1スケールだと、1mmが100kmに相当するのでわかりやすい。  宇宙スケールで物思いにふける場合、宇宙から肉眼で地球を見るときのスケールが気になることがあった。地球儀をスケールの基準として計算してみると、1億分の1の地球近傍空間はこんな縮尺になる。 ISS(低軌道) 地表から4mm 静止軌道 約35.7cm 月 約3.8m  太陽-地球系L1 15m  静止軌道からの眺めを机の上に再現するならちょうど良さそうだ。 机の上で、静止軌道の位置に顔を置くことで、気象衛星の視点が得られる。 両目の視差だけでも1億倍すると6千km、経度にして9度ほど離れているので、片目で見ないと本来見えないはずの地平線の向こう側を見通せてしまう。    地球大気は1mm以下となり、 ISSの軌道も表面からわずか4mm。  大半の観測衛星も1cm以内の低軌道に集中している。  地球儀に輪ゴムを張り渡すと、任意の低軌道衛星の経路を模擬できる。 輪ゴムが赤道と成す角度が軌道傾斜角だ。 なお、きちんと円形に張るのは慣れが必要だった。  冒頭の写真ではISSの軌道傾斜角を模擬している。   ここはひとつ、地球近傍軌道を巡るツアー旅行に参加していると仮定し、手持ちのカメラで地球を撮る構図を体感してみた。  月着陸以前の1950年代の予想であれば、現在の通信衛星の代わりに有人の大型通信基地が置かれていた静止軌道から始める。   静止軌道から地球全体を撮るには、35mm換算で70mm程度の焦点距離があれば大丈夫だった。 現在でいうと3倍ズーム機能付きのコンパクトカメラがあれば、画面一杯に地球を撮影できる。  アポロ計画の有名な地球写真" The Blue Marble (Wikipedia)" は4万5千km彼方から80mmのハッセルブラッドで撮られたらしいので、 だいたい合っているようだ。   静止軌道の10倍

安価な基板ホルダーの改造

ネットで数百円で売っているとても安い基板ホルダー  (基板といってもスマートフォンの基板修理用と謳われている) 小さい基板を手実装したり、卓上で固定して検査するときに重宝している。  実装作業ではハンダ付けの際に基板の向きを変える場面が多いので、 今回はこのホルダーを改造することにした。 作業は単純で、ホームセンターで買った角回転台 (75mm角) を取り付けるだけ。ドリルでネジ穴を開け、M3ネジで固定した。 台の裏側の回転台  手の道具を持ち替えずに、基板を自由に回転させられるようになった。個人的にはかなり効率よく作業できると思う。  小さめの基板に実装する場合、元から中央に空いた2箇所の穴でネジ止めし、回転軸を基板中央に寄せるほうが有利だったのだが、重心の関係でやや安定感が落ちてしまいこの位置になった。

Raspi地上局の改修

屋外にRaspberryPi2のRTL-SDR鯖を設置して2年が経過した。  https://blog.kemushicomputer.com/2016/05/blog-post.html 最近は打ち上げた衛星のためにアンテナ特性を調整し、デコード実験等に使用している。 SDRの運用以外にあまり使っていなかったが、いい機会なのでオーバーホールを兼ねてRaspberry Pi camera (旧版)を搭載した。  地上局の機能といえば、アンテナの監視も重要な機能の1つ。 ということで天頂のみを視野とした。 天板に設けていたガラス窓にカメラモジュールを設置する。 光学窓自体は2013年に製作してからずっと付けてあったが、長らく未使用だったし、ここ2年は熱防御板でふさいでいた。今回は熱防御板も簡素化し、ケースをアルミテープで覆うだけにした。 せっかく野外にカメラを設置するのであれば、やはり天体観測もしたい。 先駆者がいて、 meteotuxという比較明合成(コンポジット法)ソフトウェアがあった。 https://sites.google.com/site/meteotuxpi/home 撮影する時間帯を指定するだけで、数秒間の露出を合成して撮りためてくれる。 (残念ながら開発自体はここ数年止まっている様子)  5分間の合成写真10枚ほどを更に合成したもの。 監視対象であるアンテナが写っている。 アンテナの上の明るい軌跡は春の1等星アークトゥルスだ。  春霞で視界は良くないけれど、東京の空でも3~4等星くらいまでは写っていた。 (番外) SSHアクセスをするときは、movaXtermを使っている。   https://mobaxterm.mobatek.net/ 登録したセッションをクリックするだけで自動ログインしてくれる。 ディレクトリ表示やXサーバー機能があり、リモートGUIもやろうと思えば出来てしまう。 (最初は初期のBash on Windows でアプリケーションをGUI表示させたりしていた)