2019/11/23

Arduino Nano Everyを試す

 秋月で売っていたAtmega8と、感光基板でエッチングしたArduino互換ボードを製作してみて、次に本家ボードも買って…  と気が付いたら10年が経過していた。
ATmega328Pはいまだに手軽さでは抜きんでている。

 今は32bitMCUの低価格化、高性能化、低消費電力化が著しい。動作周波数も100MHz超えが当たり前で、30mA程度しか消費しない。

 動作電圧範囲が広く、単純な8ビットMCUが不要になることはまだないだろうけど、クラシックなAVRマイコンは値上がりしており、価格競争力は無くなりつつある。
そしてコモディティ化により、公式ボードでは不可能な値付けの安価な互換ボードがたいていの需要を満たすようになってしまった。

 Arduino Nano Every


 そんな中、Arduino本家がリリースした新しいNanoボードの一つ。
 他のボード2種はATSAMD21(Cortex-M0+)と無線モジュールを搭載したArduino zero(生産終了済み)ベースのIoT向けボードだが、 Nano EveryはWifi Rev2と同じくAtmega4809を採用していて、安価で5V単電源な8ビットのボードだ。


 Atmega4809はATmegaと名がついているが、アーキテクチャはXMEGAベースなので、クラシックAVRとのコード互換はない。
 https://blog.kemushicomputer.com/2018/08/megaavr0.html
 もちろん、ArduinoAPIのみで記述されたスケッチやライブラリは普通に動作するし、I/Oレジスタ操作についてはAPIでエミュレーションするコンパイルオプション(328Pモード)がある。

 megaAVR-0はプログラミング方式がUPDIになったため、プログラマ・USBCDCとしてATSAMD21が搭載されている(中央の四角いQFNパッケージ)MCU的にはnEDBGに相当してそうだけど実装の詳細は不明。
 4809につながるUPDIは外部端子に配線が引き出されていないので、ボード上の石に対して独自にプログラマをつなぐことはできない。
(ボードの端に未実装パッドが一つあるが、これは回路図上のD3(未実装)と思われるため、3V3レベルのUPDIはここから引き出せる)

ATmega4809ボードとしてのピンマップを調べてみたのが下の図。

(公式の回路図 https://content.arduino.cc/assets/NANOEveryV3.0_sch.pdf )


引き出してあるI/Oが少ないので気になっていたが、UARTについてはハードウェア的に4chを使うことができそうだ。
ただし、公式のボード定義では互換性を優先し、2ポートしか使用していない。

MCUの潜在力を引き出したいならば、有志が開発しているmegaAVR0向けのボード定義 megaCoreX(https://github.com/MCUdude/MegaCoreX)を利用するのが良いだろう。

過去のArduino Nanoと比べたメリットは以下のようになる。
・内蔵オシレータによる20MHz駆動(5V時)
・RAM ROM容量の増加 (6kB / 48kB)
・ピン単位の割り込みが可能
・シリアル通信は2ポート定義されている(USB CDCと外部で1chずつ)
・書き込みにブートローダーが使われていないので、起動時にブートローダがノイズ等で受信待ちループに入ってしまう事故は原理上発生しない
・シリアル通信のボーレートは1Mbpsくらいまでは文字化けもせず送受信できる
   (※ただし、230k以上はCPUの処理が追い付かなくなり、だんだん各バイト間に処理落ちの隙間が開きはじめる。 USB CDC側は500kbps程度までしか受け付けない)

・analogRefelence Vref電圧の増加
  (0.55V 1.1V,  1.5V, 2.5V, 4.3V)
  INTERNAL0V55
  INTERNAL1V1
  INTERNAL1V5
  INTERNAL2V5
  INTERNAL4V3

・5V系のために降圧DCDCを搭載している。

 ボード設計で気になったのはアナログ入力兼I2Cのピン。megaAVR0ではI2Cとアナログ入力は別の端子なので、アナログ入力のあるピンと、I2C専用のピンを束ねて、Arduino Nanoの328Pの端子を再現している。ボード仕様の継承って大変だ。

この仕様から考えると、ATmega2560ほどではないが328Pには乗らないプログラム規模で、シリアルがちょっとほしい、ロボットなどの駆動部に向いていそうだ。

 低価格とはいえ、5V系の電源はDCDC採用でかなり余裕がある設計となっている。
VINには6V~21Vと幅広い電圧入力が可能になっていて、9V以上の電源から駆動してもレギュレータの熱損失で動かないということが減るだろう。

 VIN経由であれば、最大で1.2Aまで負荷を駆動できるようなので、サーボモーターなどを繋ぐ用途でも駆動には余裕が持てると思う。
(USB接続時は、USBから5Vをとるため、USB側の供給能力に左右される)