2019/07/20

UMPCもどきの製作2( 5.5inch AMOLEDディスプレイ)


前の記事からだいぶ時間が経ってしまった。
時間は常にDIYに味方する。画面の検討を再開すると、WAVESHAREからいくつか新しいディスプレイが登場していた。
https://www.waveshare.com/product/5.5inch-hdmi-amoled.htm

この5.5inch AMOLEDディスプレイをAliexpress経由で購入してみたので、筐体の設計のために仕様を確認してみる。

 新型は従来と比べ、タッチスクリーンが静電容量式になり、USB接続になって汎用的な利用が可能になっていた。
従来と比べて操作性や画面品質は圧倒的に良くなっている。


付属品はRaspberryPi固定用のスペーサ、Raspi用HDMI,USB端子、そして短いHDMIケーブルとmicroUSBケーブル。
 汎用的なマシンにつなぐ場合でも困ることはなさそうだ。

有機ELパネルなので、画面焼けを防ぐためにスクリーンセーバー設定やディスプレイ点灯時間の制限などを忘れないようにしよう。

Raspberry pi3を搭載する




このモニタはmodel Bの基板に合わせてHDMIコネクタやUSBコネクタのアダプタが用意されている。以前のモデルと違って裏返に固定するのでGPIOは丸ごとアクセス可能だ。
 注意点としては、拡張基板を固定しようとして、なべ小ねじの代わりにスペーサを立てようとすると、真下のスペーサ高が4mmしかない関係でネジ穴が浅いこと。

 ディスプレイは解像度を変更すると画面表示できないケースが多いので、FullHD固定のまま、RaspiConfig でピクセルダブリングを選択することで解決した。 (メニューサイズはMiddle)
実質960x540になってしまうけど、それほど不便ではない。
スクリーンキーボードを導入してみる。 Onboardというアプリをインストールして常駐させるとほぼスマートフォンと同じ文字入力環境が実現できる。


 静電量量タッチパネルであれば文字入力もそれほどストレスが無い。プロジェクトを寝かせていた2年の間に、UMPCを消滅させたUIが部品としてDIY世界に降りてきていた。
 ディスプレイの高機能化は好都合でもある、ポインティングデバイスを省略出来るのはキーボードの単純化につながって良いことだ。

電力


Raspberry pi3B を繋いだ場合、USBテスターの読み出し値はアイドル時で0.6A (約3.2W)負荷が上がると4~5W (Youtubeを全画面で再生しているときに平均4.5W)
となった。 vcgencmdでCPU温度を見るとスロットリングが発生していそうなので、冷却ファンを追加してみたが、電力消費に大きな差はなかった。

 
 スマートフォンのOSと比べると、Octaneのパフォーマンス差は結構大きいけれど、初期の2コアATOMを搭載したネットブックと比べたら似たようなスコアにはなっている。

 公称10000mAh(36Wh)のモバイルバッテリなら、アイドル時でフル稼働で7~8時間動かせそうだ。

2019/05/18

大きめの構造をプリントする


 Adventurer3を導入して4か月が経ち、5月に入ってからPETGフィラメントを使っている。PLAと似て匂いは無く、やや柔軟性があって加工しやすい。

 テーブルの傾き
テーブルが手前から見て右奥に向かって斜めに傾いており、特にPETGになると右奥の1層目が定着せずはがれるようになった。右奥まで使う広い造形だと、はがれて定着に失敗する。
 右奥のプレートの下にアルミテープを斜めに張り付けて、奥に向かっての傾きを調節すると、PETGで10x10㎝を超える板状の造形も成功するようになった。
傾きなどは一度補正できてしまえばその後はしばらく無調整で使える。数値的に調整したいので、ダイヤルゲージを買って水平出しをしようと思う。

 PETGのパラメーター調整も済んだので、150mm^3のプリントエリアを生かせる構造物として、CubeSatの1U規格構造のモックアップをモデリングしてみた。 家庭用の3Dプリンタには1Uサイズがちょうどよい。





 分解して持ち運べるように、M3の六角ナットをはめ込み、各面のパネルを皿ねじで固定する組み立て式にした。Z面(上下)には前回の記事で作成した5㎝角基板用フレームを固定できる。

 印刷時間は、メインのY+レール面が3時間半、X面が1時間半、Z面蓋が3時間 3種6面でだいたい16時間かかった。 最小板厚を2mmとしているのだが、もし壁の内部を充填したらもっとかかるだろう。

 お仕事では3Uをよく目にするけれど、自宅のテーブル上で1Uサイズを組み立ててみると、これはこれでかなりの大きさがあると感じる。 20年前にこの体積を埋めていた通信機や基板群はどんどん小さく、高性能になっていった。構造規格は変わらないけれど、いまや立方体形状は、観測機器のためのサイズや発生電力を考慮した2U以上の実用衛星の方向か、薄く重箱のようにスタックされたテレメトリセンサの方向への岐路にある。

 回路部品実装と構造積層を同時に行って、構造と回路基板の境目を無くす方向も面白いかもしれないなぁ… と、実物大の構造を手に取って考えたりするのであった。

2019/05/07

高速試作フレーム



 まとまった空き時間ができたので、プロトタイプ用のフレーム構造を製作していた。試作のお供、3Dプリンタの存在もあり、思いついたアイデアが間違っているかどうか、数十分待てば結果が分かる。


 通信機を備えた遠隔システムのプロトタイプなので、HILSを構築するにしても、構造として統合したまま全機能の検証作業ができると良い。アプリケーションが決まっていれば、便利なSoCを使って基板一つに全機能を落とし込むのもたやすい時代だけれど、高性能なSoCやMEMSは大規模な需要のお零れなので供給期間は短く、依存性を下げて乗り換えやすくしておかないと小規模では割に合わない。

要求は以下のとおり。
・供給期間は最低5年くらい
・素早くテストしたい
・コンポーネントをとりかえて検証したい

 基板をスタックしていく構造で、基板サイズは5㎝角にする。 最近は10cm角の基板でも最低価格で製造できてしまうのでコストメリットは減少しているけれど、基板面積が限られているほうが基板一枚に載せる機能を限定できてよい。

OBC基板と基板カバー

ターゲットとして5㎝角で設計した32MZ基板を選択



 基板間の電気接続は、ピンヘッダをやめて構造依存性の少ないハーネス接続とした。
 デメリットとしてはハーネス加工と圧着作業がはんだ付け同様、専用工具や練度を要する作業であることが挙げられる。
  基板間の配線と圧着作業は少ないに越したことはないので、 デジタル接続による配線本数の削減や、クリンプ済みリード線のバルク買いなどを活用していく。

コンポーネント例
通信機基板
OBC基板と通信機基板を連結した例。組み合わせが決まっているのならば、基板間ピンヘッダによる接続で完全に固定するのもあり。
実験用バッテリホルダ
キャパシタバンク 5V 150F


光学系と撮影テスト

始めの頃は、Arducamモジュールのテストベッドとしてフレームを作っていた。光学系の種類によっていくつか構造部材を設計し交換する。 特に望遠レンズを固定し、屋外でテスト撮影するときに役立った。
Arducam 5MP と ESP8266の組み合わせ。 WLAN接続は不安定だったのでUART経由でキャプチャした


広角レンズ接続例。 ArduCamはお手軽に5MPを撮像できてすごい

超望遠テスト撮影



望遠レンズはSpacecomの産業用望遠Cマウントレンズ(G6x16-1.9 Macro-L 43~270mm)と、中古で見つけたKenkoのミラーレンズ(400mm F8)を用意。ミラーレンズは各社カメラマウントの下にTマウントネジが切ってあるので、Cマウント-Tマウントアダプタを接続している。

OV5642のイメージサイズだと35mm換算のだいたい10倍になるので、270mmは2700mm相当に、ミラーレンズはこのサイズで4000mmというお化けになる。当然ながら要求分解能にたいして光学系の解像度が足りず、拡大しすぎてタブレットでプレビュー画像を見ながらでも何を映しているのか、ピントが合っているのかを確認することすら困難を極めた。微動雲台が無かったらまともに撮影できなかっただろう。
270mmで撮影した富士山。レンズ上のゴミが写り込んでいる。IRカットフィルター無しなので鮮明
ミラーレンズで撮影した4000換算の富士山山頂付近 視野内の明暗差で周囲が変色気味

同時にNikon1でミラーレンズと専用の300mm望遠レンズを比べた比較画像を用意した。 値段の差がそのまま表れているという当たり前の結果になった。                                                       


2019/04/03

Deskmini A300で自作


 ASRockのMini-STXベアボーン Deskmini A300 でサブ機を組み立てた。
 メインマシンより省エネな仕事用PCとして整備してみた。

構成


DeskMini A300
APU: Ryzen3 2200G (Radeon Vega8)
RAM: Team DDR4 2666 SODIMM 8GBx2
SSD: NVMe WD Digital BLUE SN500 500GB
Windows10 Home

組み立て



 ケース自体もATX電源と同サイズ。M.2 SSDを使えばM/B上で全機能が完結する。
 Mini-ITXですら大きすぎるように感じ始める。  木製PCケースを作っていた頃の苦労も今は昔・・・。

 Deskmini専用のCPUクーラーが同梱されているけれど、先人たちが開拓したAPU付属のWraith Stealthを細工して取り付ける方法を試してみた。
 高さ方向については、Wraith Stealthからロゴの入ったファンガード外周の飾り部品を外した時点でケース内に収まる寸法になっていた。 ただし、CPUクーラー取り付け方向によっては、上蓋のネジマウント部と側面の爪の部位が干渉するので加工が要る場合がありそう。

ニッパで削った突出部。 クーラーの取り付け向きを変えれば加工する必要は無いかもしれない
上蓋中央部にもやや突起があるが、少しだけ外にたわませてマザボを差し込むと問題ない。


電力、性能


 OSをインストールし、ドライバやソフトウェアを導入し終えたあと、 サンワサプライのワットモニターを使用して計測した。
・アイドル時: 9W前後
・ファイルアクセス時: 25~30W
・CPU高負荷時ピーク: 45W程度

 アイドル時に90~100W前後消費していたメインマシンと比べると大幅に省エネになった。 外付け機器の少なさと、外部チップセットが無いことがだいぶ効いているようだ。

机に設置していると、静かな環境であれば距離の近さでファンの風切り音がかすかに聞こえてくる程度だ。
 試しに19V3.42A(65W)のACアダプタがあったので使ってみたところ、CrystalMark 2004R7を実行しても特に異常はなかった。 cTDP設定で電力制限しなくても、OCCTのような極端な負荷をかけなければ大丈夫そうだ。コードも眼鏡ケーブルになり、コンパクトな65Wアダプタだと持ち運びが楽になるだろう。

 GPU(VEGA 8)の規模や性能はメインマシンのRX VEGA 56の10分の1程度だが、単精度で1TFLOPS越えらしいのでなかなか侮れない。仕事などで使う回路図CADや統合開発環境、3DCADも使用感はほぼ変わらなかった。 
 KiCadの基板3D表示は大規模な基板だとかなりの頂点数となり、ぐりぐり動かすとかなりの負荷がかかるけど、これもマウスの動きに追従できている。
 マインクラフト程度ならゲームも問題なかった。 さすがにプレイ中はAPUが70℃付近まで上昇する場面もあり、ファンは最大回転になるが、口径が大きめなおかげでノートPCでありがちな高周波音は出てこない。


画面への排他・共同接続


メイン機で使うディスプレイをサブ機にも割りあてる。 ちょうどDELLのハイエンドモニタを2台体制にしたので、どちらもDisplayPort入力を2系統(mDP端子とDP端子)、DP出力を備えている。
 画面1をメインディスプレイとしたマルチモニター環境の2系統排他利用は、2画面をデイジーチェーン接続することでシンプルに実現できた。
サブ機のHDMI出力は2系統同時利用のために画面2に接続しておく。 (普段はリモート接続で済ませようと思う)


2019/03/14

型落ちのミラーレス機でレンズ沼


昨年の秋、Nikon 1 J2 を中古で見つけた。 すでに6年前の機種なので、標準ズームレンズ付きで1万円だった。
これは、光学系の性能を限界まで使うリモセン衛星のような撮像、画像処理技術を、誰もがそうと知らず日々使いこなし、オンラインに投稿している時代に、オフラインで光学系を試行錯誤する(レンズ沼に落ちる)記録。





いつの間にか所有していたCマウントレンズの特性を探る

 SPACECOMの手動ズームレンズ G6x16-1.9 Macro-L
何年か前に中古で手に入れてあったもの。
1インチセンサ用で、35mm換算で約43~270mmの焦点距離となる。 マクロモードもあって、数センチからピントを合わせられる。
http://spacecom.co.jp/products/g6x16-1-9-macro-l/
小さいけど産業用ゆえ、金属製で620gあり、見た目よりずっしりとしている。

  望遠側は絞り開放だと快晴下でパープルフリンジが目立つ。
明るいところではかなり絞ったりしないと難しいレンズだ。

 J2のフルマニュアル操作については、ピント合わせが難しかった。 晴天下では液晶が見にくいことも手伝い、絞り解放に近いと狙ったピントを出せない失敗が多い。

Cマウントレンズの望遠端で遠方の花火(トリミング)
  いつもコンデジにまかせていた値をマニュアル操作しているうちに、だんだんとレンズの癖を会得していく。

直焦点撮影

 簡単に望遠鏡の直焦点撮影に挑戦してみた。 数年前に中古で入手したMEADE ETX-60AT (焦点距離350mm f5.6) 1インチセンサでは940mm相当の単焦点となる。
 鏡筒へはCマウントアダプタ - アイピースリングアダプタで接続。



 秋晴れの朝に撮った80km先の富士山(RAW現像)。 裾野を写すために、2枚を合成している。

10月18日夜、月と火星(左下)が接近していたので、撮影に挑戦。 ちょうど視野に収まった。
固定点から望遠撮影するなら、デジタル雲台付きレンズと考えるととても使いやすい。
あとで登場する専用の超望遠レンズと比較すると色にじみが多く、エントリーモデルゆえのレンズ性能不足が見え隠れする。

やっぱり専用設計のレンズは値段相応の価値があるのだな(沼の淵に立ちながら)。
たいていはRX100を使っているが、仕事で出先の記録写真として超望遠と超広角が欲しいと思う場面がいくつかあった。
  Nikon1自体は既にシリーズごと終息してしまったが、大きさが気に入ったので、中古でJ5のボディと超広角、標準単焦点、超望遠の3種類を入手した。 これでほぼレンズ交換ができるRX100みたいな形になる。


1Nikkor VR 70-300mm


 沼に落ちたきっかけのレンズ。 1インチセンサでは望遠端810mmの超望遠レンズになる。ただし、J5と組み合わせて890gで済んでしまう。
  
810mm f5.6  1/500s ISO720 トリミング 
換算810mm F5.6 1/400秒 


J5にはJ3のようなEVFやメカシャッターは無いけれど、手持ちで低空を通る航空機を追ってみたら、強力な手振れ補正のおかげで思った以上に撮れていた。

 空に浮かぶ安定した被写体ということで、光学系の癖や設定の効果を確認するために月を撮る。 フォーカスはマニュアル固定。三脚に数千円の微動雲台を取り付けると、移動する月を中央に収めておくのが楽。
Nikon1 J5 810mm f5.6  ISO200 1/200s

 流石に1枚だけ見てみると、大気のせいでクレーターが眠い状態だ。 しかし連写機能を使い、数十枚撮影した画像をスタックし、Registax6でWavelet変換をかけると、月のクレーターを炙り出すことができる。

Wavelet処理前 月だけを拡大したもの
処理後 (20枚スタック)

Ryzen5のコアをぶん回して出てきた画像を見ると、かなりクレーターが浮き上っている。
特に色にじみなどもみえない。

1インチセンサで画面一杯に月を撮るには、焦点距離が900mm(35mm換算で2430mm)くらい必要なようだ。 コンパクトなマクストフカセグレン鏡筒が視野に入ってくる。 こうなってくると良い架台も欲しくなって、果てのない性能向上要求が始まってしまう、危険な領域だ。設置も撤収も持ち運びも楽な今の構成のままで楽しみたいところだが…

1Nikkor 18.5mm

標準画角でf1.8と明るく、描写性能の高さに定評がある単焦点レンズ。
樽収差も少なくけっこう寄れるので、ブツ撮りに適している。
卓上で基板の全景写真の撮影によく使用している。

Nikon1 J5 換算50mm f3.2 ISO160 1/6400 

Nikon1 J5 換算50mm F2.8 ISO800 1/25秒 

1Nikkor 6.7-13mm

換算18mm-35mmの超広角レンズ

 歩きながら景色を撮るのに最高なレンズ。 建築写真、現場作業記録にも強い。

Nikon1 J5 換算18mm F4 ISO160 1/1000秒 

Nikon1 J5 換算18mm f3.5 ISO160  1/1600