2016/12/27

AIRSPY R2



 2016年も残り僅かな今日この頃。 2年越しのプロジェクトがひと段落したので、AIRSPY R2を入手。

 現在、地上局に組み込んでいるRTLSDRの困りごとは、周波数の近い業務用テレメトリの混信がひどく、観測時の切り分けが難しいこと。 解決策はフィルタを入れてしまうことだけれど、広帯域で観測できる(遊べる)利点がなくなるので避けていた。

 AIRSPYでは改善されているようで、同じアンテナで帯域をのぞいてみても、混信由来の信号はほとんど見えなかった。  RTL‐SDRを代替するなら、広帯域が必須ではないため、姉妹品のAIRSPY miniでも十分そうだ。

SDR#をインストールすると、AIRSPY用ツールがいくつかついてくる。 スペクトラム監視ツール(Spectrum SPY)で、チューナーIC(R820T2)の全帯域を覗いてみる。


屋外のUHFの衛星観測用アンテナに接続したときのもの。 1.8GHzを掃引するのに2秒ほどかかる。

業務無線や放送、携帯電話などのピークがよく見えている。


こちらは920MHz帯を20MHz幅で見渡してみたもの。 短いパケットがたくさん見えていた。 キャリアセンスや時間制限があるので、すぐには飽和しないと思うけれど、インフラとして今後どうなっていくのか興味深い。

2016/11/28

軌道上に狙いを定めて

                                             ・・・・

 2014年の夏も終わる頃、ひと粒の人工衛星の軌道寿命が尽きようとしていた。 
人工衛星が寿命を迎えるパターンは3通りある。人間が運用を停止したとき、機械が設計寿命を迎えたとき、もはや軌道を維持できなくなったときだ

 大型の気象観測衛星へ相乗りした軌道投入から半年が経過し、当初400kmあった軌道高度は250kmを切っていた。 
 低軌道は宇宙空間とされているが、同時に高度1,000kmほどまでは熱圏とよばれる大気構造の中でもある。軌道を変えるには推力が必要だが、ここでは希薄な大気との衝突が抗力を発生させ、軌道高度を低下させる作用をもたらす。低軌道衛星は高度によって数ヶ月〜数百年といったタイムスパンで空力ブレーキを受け続けているのだ。
 緻密な螺旋降下が解けるとき、遂に軌道は消滅する。衛星は濃い大気圏とまともにぶつかることになり、圧縮された空気が溶鉱炉並みの熱をもつ瞬間が訪れ…。

 国際宇宙ステーションや低軌道の大型衛星は推進系を用いて失った軌道高度を維持できるように設計されているが、小さな衛星はロケットが稼いでくれたエネルギーを失い続けるしかなかった。 
もうすぐ、地球は1.5kgの質量を取り戻すだろう。

 計画に携わった人工衛星の再突入が迫ったとある夕暮れ。
 久しぶりに自宅で衛星追尾をすることにした。がらくた箱から手づくりの八木アンテナを掘り返す。  バルサ材を軸として、ホームセンターで買ったアルミと真鍮の棒をエレメントとして並べた簡素なものだ。何度か自作して、一番コストパフォーマンスが高く、作りやすい素材を組み合わせている。 
 保管していた間に曲がったエレメントを一つ一つ手でまっすぐに直す。
 こんなアンテナでも、低軌道衛星が相手なら必要十分な性能がある。  

 知覚を技術で拡張する遊びは、身体を駆使するのが楽でいい。 見えない衛星を追うために、八木アンテナに型落ちのスマートフォンを取り付けて、コンピューター支援の照準とする。アンテナから伸びる同軸ケーブルの先には、ハンディレシーバーを接続した。  


 装備を身に着け、建物の屋上へ上がる。 頭上には夜空が広がっているが、いつものように都会の灯火の輝きを受けて、淡い灰色に染まっていた。 星は少なく、一等星だけがかろうじて見えている。


 ハンディレシーバーの電源を入れ、無線周波数をセットした。CWモードにして、車道の騒音に負けないよう、ボリュームつまみを回して量を最大まで上げておく。 スピーカーから狭帯域のホワイトノイズが聞こえてくる。 
 これで、聴覚がとある周波数を中心とした電磁波スペクトルに拡張されたことになる。 
 衛星の信号は、観測者との相対速度差によりドップラーシフトが発生している。衛星の周波数に、あらかじめ出現時のドップラーシフト分の補正を加えておく。

 AR表示に対応した衛星追尾アプリを立ち上げ、最新の軌道要素をダウンロードしておく。
 追尾アプリの画面は、GPSの位置情報と姿勢センサの値を反映して、黒背景とグリッドで画面の向こうと同じ座標を映し出す。 アンテナを上下左右に振ると、方位角と仰角の数値が追従する。
 
 コンピューター制御された地上局として、自己を拡張する準備は整った。 あとは待つだけだ。

 北にアンテナを向けると、画面上の仮想の地平線から衛星軌道のパスをあらわす曲線が現れ、画面を二分した。 リハーサルとして、アンテナを画面上の軌道に沿って動かすと、パスは真上を横断し、南の地平線まで到達して空を2つに断ち切っている。
 地球の自転により、衛星が上空を通過する位置は毎回変わる。今晩のパスはほぼ天頂を通過するが、このような好条件で衛星を観測できるのは、これが最後かもしれなかった。 

 宇宙的なスケールからすれば、200km真上を通過するというのはほとんど目と鼻の先の事象なのだが、速度と地球の形状が壁となって立ちはだかる。衛星が観測地に接近すればするほど、あっというまに地平線の向こうへ飛び去ってしまうのだ。

・- --- ・・・


待機をはじめて数分後、衛星を示す輝点がスマートフォンの画面上に現れた。高度の表示が近くの建物の屋根を越えた頃、ホワイトノイズの彼方から、聞きなれたリズムが浮かび上がってきた。


 小さな衛星は、アマチュア無線のモールス信号によって自身の存在と情報を伝えるように設計されている。  人類が無線通信に利用してきた電離層の高度を周回しながら、人間にも解読可能なメッセージを発信しつづける遠隔無人局だ。

 ビーコンテレメトリは、定型文といくつかのデジタイズされた数値をゆっくりと伝えるだけだが、音声帯域に変換された雑音混じりの電波にもたくさんの情報が隠れている。 
 繰り返されるビーコンは、 強まるドップラーシフトに比例して少しずつトーンが変化していく。 時々レシーバーの周波数ダイヤルを回して追いかけなければならない。また、衛星自身の回転運動に伴い、信号強度が変化し、さえずりが海のうねりのように強弱を繰り返す。  映像はなくとも、雑音の中の信号品質を観察し、デジタルデータを物理値変換して読み解く作業を続けていくと、心眼が芽生え、衛星の様子をなんとなく把握できるようになる。 

 さかのぼること数年前、一枚のホワイトボードの殴り書きから、数十ページの計画書が生まれた。 チームが集まり、部品が基板に実装され、ソフトウェアが組み込まれて機能となった。配線で繋がれた基板群に電源が接続されてテストされ、削り出された金属筐体にネジ止めされた。アンテナと繊細な太陽電池を身にまとい、これから人工衛星となる機械は、いくつもの試験を経たのちにロケットの放出機構に収納され、南の射場へと旅立っていった。 
 自分の部屋の壁には、衛星が軌道から送ってきた最初の画像を引き伸ばして貼ってあった。 データ通信モードで数週かけて受信されたモザイク画だ。
衛星自らのアンテナが、地球を指し示しているかのように写り込んでいる。

 腕とアンテナは天頂を指し示す。相対速度は最大となり、ビーコンの音程が目まぐるしく変わりはじめた。 

 半年前まで手元にあった装置と、第一宇宙速度ですれ違う。  
 この瞬間、衛星は地球の影の暗闇を漂いながら、星明かりと都市の灯に挟まれているのだろうか。 低軌道では、視野の大部分を地球が占めている。 
 心眼の視点を衛星に向ける。ゆっくりと自転する衛星に貼り付けられた三接合太陽電池が、遠くに散らばる恒星と、地表に灯された人類の営みを交互に反射し映しだしていく様子を想像した。 

 周波数の変化に聞き入る間に、衛星は天頂を通過した。 南の方角へ飛び去るとともに、レシーバーのダイアルを回す頻度が減っていく。通り過ぎてからも、軌道高度が低いせいで、普段よりも強力な信号が降り注いでいる。実は指向性アンテナで追わなくても、普通のホイップアンテナで捉えられる強度があった。  


 わずか10分程度の可視時間はあっという間に過ぎ、アンテナで南の地平線を指していると、画面内の衛星表示は地平線に触れて消えた。 現実の信号はわずかに地球表面を回折して届いていたが、ほどなく弱まり、リズムは再びノイズの海に沈んだ。 

再突入間近のこの頃には、1日で10km近く降下しており、 一日に数度あるアメリカのレーダー観測の合間にも高度が変化し、軌道要素の予測誤差が増加していた。 より指向性の強い地上局の自動追尾では、信号を追いきれない場面が出てきていた。

 大気圏突入が夜の側で始まるのであれば、機体を構成する様々な金属イオンのスペクトルが流星として夜空を一瞬だけ彩るのかもしれない。しかし、そのロマンチックな光景が現実になるには、衛星が日没後の観測地点を横切る最中に再突入をはじめる必要がある。制御落下していない人工衛星は落下予測に1日程度の誤差がつきもので、その期間で衛星は地球を十周以上も周回できてしまう。電波と違い、光学的に衛星を観測できる範囲はとても狭い。


 ・-・・ --- ・・・


 2日後の朝方、軌道要素の予測高度が180kmを切ったあと、予定された可視運用時間に信号はなく、自動録音にはホワイトノイズのみが記録されていた。
 日本列島の手前、太平洋のどこかで衛星は地球に戻ってきたようだ。

 久しぶりに大学の地上局にプロジェクトメンバーが集った。運用部屋の狭い空間では無線機と管制画面が並び、まだ稼働を続けていた。 半年前、打ち上げ直後の生々しい初期運用の光景が、記憶に色濃く残っている。
 この部屋で、衛星の産声(ファーストボイス)に耳を澄まし、テレメトリデータを解析するために、皆で夜通し無線機のホワイトノイズを聞き続けた。 その後数日間は、生活音の中にモールス信号が聞こえる幻聴に悩まされたものだ。

 モニタのひとつに表示された軌道予測ソフトの画面上では、レーダー観測による更新が途絶え、魂を失った軌道要素が、まぼろしの軌道を巡り続けていた。




APPENDIX


TLEによる軌道高度降下履歴


SpaceTrackで配信されているTLEを元に算出した実際の軌道降下のグラフ。 縦軸は高度、横軸は打ち上げからの日数を表す。 (Apとは軌道の遠地点高度、Peは近地点高度) 




作中の電波受信はだいたい184日目(だったはず)。 落下1日前にも車で移動中にホイップアンテナのみで受信に挑戦し、傍受に成功している。


衛星諸元(運用期間): http://artsat.jp/project/invader/invader-specification
AR八木アンテナ http://blog.kemushicomputer.com/2011/06/droidsat.html

2016/10/22

白金温度センサで簡易温度測定

白金温度センサ(RTD)は温度係数が規格で定められているので、アナログ回路を積む余裕があって、広範囲の温度を測定したいときに向いている。 
素子部がシンプルであることを除けば、ワンチップの温度センサICのほうが楽に測定できてお得なのだが、その場合電源のための配線が増えてしまう。 2線式でよいアプリケーションでは、電流駆動のみで単純化できて、NTCサーミスタのような複雑な換算も不要になるというメリットがある。

DigikeyでVishayのチップRTDを見つけて、下駄基板を作った。 データシート上では、-50℃から150℃程度まで、換算表が記載されている。 
被測定物に接着することを想定し、5mm角で、1608と3216のパターンをつなげただけのもの。 どちらかに素子をとりつけ、ハーネスを半田づけする。 基板は0.6mm厚で発注し、表裏はVIAとパターンで熱を伝えやすくしておいた。 



RTDには定電流ICによる1mAを与えて、出てきた電圧値を非反転アンプで増幅する。
素子の物理的サイズよっては、1mAも与えると自己発熱が高精度測定を邪魔するようなので、高精度測定では500μA以下に絞ると良さそう。

測定回路は自作のPIC32MXボードにつないだ。 ADCは10ビットで、2048mVの基準電圧(REF3320)を参照させる。 
簡易構成用に0.1%精度の100Ω抵抗を買っておいた。


試験として、冷却スプレーを吹きかけて応答を観察してみた。

冷却スプレーといっても、自宅にあったのはフマキラーの凍殺ジェット。
代替フロンとジメチルエーテルによる気化冷却方式で、殺虫成分は含まれていない。 回路基板の温度試験用の冷却スプレーとほぼ同じ使い方ができると思う。
入手性が高いのもポイントだ。
 普段は冷却スプレーでTCXOなどをイジメたり試験しているので、実際の温度変化が知りたくなった。

(換気徹底と、火の気には注意!)

まず、10cmほど離して素子に吹きかけると、-46℃を記録した。 製品は気温30℃から-85℃下げられるとあるので、近いところまで下げられているようだ。 
あまり近すぎたり、吹きかけすぎても冷媒が気化できずあまり温度が下がらない。 塗装のコツと似たような雰囲気


20Hzで応答を観察してみた。 
高速応答をみるなら, 細いワイヤに素子を直接半田して熱容量を下げるのが良さそうだったので、新たに用意。

モニター画面はMegunoLinkというArduino向けデスクトップ測定/制御環境で、シリアル経由のコマンド発行やボタンGUI等の作成、時間軸/2次元空間プロット等が行える教育向けソフトウェア。 
このような画面も数クリックで作れる。
簡単なモニタリングに便利なので、1万円ほどの商用ライセンスを購入して使っている。 (ホビイストライセンスは安い)
とりあえず時間軸プロットを行うだけなら、指定された定型文と一緒に数値をシリアル経由で送信する。 測定項目ごとにチャンネル名を付加しておけば、自動で個別データとしてプロットしてくれる。


今度はADIのアナログマルチプレクサによる多チャンネル測定回路を組み、
ハーネスの先で空中固定したRTD0(赤)
回路基板上のRTD1(ピンク)
回路基板上の校正用100Ω抵抗(緑)
の応答を測定している。 

電流源を一つだけにしたので、測定値にはマルチプレクサ内のオン抵抗が加味される。
測定回路の診断の意味で、100Ω抵抗を接続したchを元にオン抵抗を計測し、ソフトウェア的に除去することにしている。精度を高めるにはオン抵抗の温度係数なども考慮に入れたほうがよさそうだが、ADCの解像度的にそこまで追求していない。 高精度が必要で、基板面積が許すならば、個別に電流源を用意するべきだろう。

温度グラフは一瞬最低まで下がったあと、冷えた基板上で気化できなかった冷媒がゆっくり気化していく過程でもう一つのピークが現れている。 その後は徐々に室温に戻っていった。

数cm角のプリント基板上の素子と、ハーネスの先の素子とでは、接地面の熱容量の差が現れていた。 何の温度を測っているのかを知るのは結構難しい。

2016/10/20

PIC32MMGPLを試す

追記 後発のGPMシリーズが発表された。上位互換になっていて、DMA,I2Cなどが追加されている。 https://www.microchip.com/design-centers/32-bit/architecture/pic32mm-family

PIC32MM0064GPL028を入手してみた。 32ビットシリーズとしては、アナログが強化され、独立した周辺モジュールが多数実装されていて、低消費電力設計になっている。
ラインナップが省ピン構成のみなのと、低価格なところはとっつきやすくて良さそう。
(エラッタリストも少なめ)

 ROM/RAMの容量が控えめだが、CPUコアはmicroAptiv M14k UCコア(FPUなし)を搭載し、命令セットがmicroMIPSになった。 一応メモリ消費は抑えられている模様。
M14kコアなので、製造プロセスはMZと同じなのかな・・・?

足回りはアナログが強化された8ビットシリーズに似ている。 モーター制御向けの波形生成回路、プログラマブルロジックセル(CLC)や、12ビットADCが内蔵された。

 その他、FlashがECC対応だったり、個別にUDID(ユニークデバイスID)を持っていたりと、スマート機器や産業向けの機能が盛り込まれている。

個人的に、HLVDというプログラマブルな電圧検出モジュールが気になっている。 18Fシリーズなどから搭載されていた機能で、バッテリの等の非安定化電圧のスレッショルド検知にADCを使わずに済む様子。 

早速、SSOP28なものをサンプル購入したので、下駄基板を設計してelecrowに発注した。
プロトタイプ用なので、最小限の電源まわりの実装と、水晶発振子のパターンを実装した。

書き込み出来ないんだぜこれ
 基板はきれいに仕上がったけれど、MCLR端子を外に引き出し忘れるという重大な設計ミスが発覚。  仕事疲れでMPが減っているときに趣味設計に走る場合、根本設計のポカミスに注意が必要だ((泣)。
とはいえ小規模試作にしか使わないので、UEWを一本延ばす必要が生じるだけではある・・・。


早速MPLAB Code Configurator(MCC)でピン設定を行い、レジスタをセットしてみた。
Lチカしようとおもい、うっかり、8ビット版での癖で__delay_ms()を呼び出すコードを書いてコンパイラに怒られてしまった。 PIC32ではコアタイマーを利用して実装する必要がある。 これもMCCで設定して関数を生成しておく。
INTOSCを8MHzで動作させ、GPIOをH/Lしてるときの平均消費電流は3mAほどだった。

追記: 最初気が付かなかったが、PIC32MMでは周辺機能にI2Cが無い。I2C接続の機器をつなごうとする場合は気を付ける必要がありそうだ。 一応、32MMのリソース一覧の中にはBitbangのためのコードが公開されている。
 http://www.microchip.com/wwwproducts/en/PIC32MM0064GPL028    "Code Examples" 

また、MCCで生成する周辺モジュールのコードは初期化が抜けてたりするので油断出来ない。

 最近はお仕事でもμAレベルの回路を実装する機会がでてきて、中古で校正済み34401Aを入手して、電流値デバッグをしている。 省エネトレンドの、高クロックでタスクを短時間に終わらせる、みたいな設計思想を試行錯誤していきたい。

2016/10/05

大型パラボラアンテナの時代

昔のSFチックな映像作品だと、やたらとパラボラアンテナが並んでいたものだけれど、その近未来感は、大容量の海底ケーブル、地上回線、携帯電話網に置き換わりつつある。 先進国では、アンテナという用語を、画面隅のピクトグラム以外に意識しない世代が育ちつつあり・・・

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府中には浅間山(せんげんやま)がある。 標高は80mほどだが、林の中は整備されていて居心地が良い。自転車散策の途中で立ち寄ってのんびりする場所の一つ。

整備された登山道を登り、新小金井街道が見渡せる場所に立つと、北西の方角も森になっていて、木立の間から、パラボラアンテナが2基そびえ立っているのが見える。



 写真は4月に撮影したもの。

 もともと在日米軍の通信設備で、調べるといろいろな資料が見つかる。
冷戦当時は全国に同様の中継局が置かれ、専用回線を構成していた。
返還後も解体されずに朽ちるままとなっているようだ。

 このパラボラは、対流圏散乱波通信に使われていた。
見通し外通信の一種で、対流圏で僅かに電波が散乱されることを利用する。
電離層を利用する短波帯などと比べ、太陽活動や季節の影響を受けにくい利点がある。 ただし、減衰が大きいため大掛かりなアンテナと送受信設備が必要になった。

見通し外通信といえば、月を利用するものもある。 文献を漁ると、宇宙開発初期の時代には、NASAが世界各地の深宇宙局の時刻同期をとるために、月面反射通信を利用していたという。 もっとも、当時は原子時計がまだ大規模すぎて、各地に配備できなかったという事情があるようだ。

 こうした設備も、60年代からは衛星通信などに置き換わっていった。
 60年代の通信衛星についてのドキュメンタリーがYoutubeで見られる。 通信衛星といっても、パッシブな風船、エコー衛星と、商業衛星として有名になったテルスターについてのもの。 どちらも初期特有の独特な衛星だ。



 宇宙に中継点を置くために試行錯誤していた時代。 アンテナの形態も、技術や周波数、通信対象の変化で時代とともに移り変わっていく。 最近は老朽化した大型アンテナの解体や、更新の時期にあるようなので、いつまでも建っているとは限らない。

 今後大型アンテナを町中で見かけることはなさそうだけれど、 宇宙の観測や探査機の通信でなら、まだ使う機会に恵まれることがある。 近くで大きなパラボラアンテナをみると、スケール感というか、視覚が騙されて面白い。

2016/09/12

VHF用クロスダイポールの試作


1mの真鍮パイプ(Φ=3mm)を2本使って作れるVHF用クロスダイポールアンテナ。

ISSの周波数にあわせて、145.8MHzでMMANA上で最適化をかけたところ、1mのパイプ2本を折り曲げるだけで作成できることがわかった。 材料削減と製作の手間軽減につながる。



真鍮パイプは524mm /476mmとなる位置で直角に曲げる。
万力に片方を固定して、管が潰れないようにゆっくりと曲げた。

配置は同じ長さの辺が一直線に並ぶように配置し、給電点に繋ぐ。



VHFだと、1mを超える大きさになるので、今回は秋月のハーフサイズのC型基板に錫めっき線で固定して、基板用のBNCコネクタをハンダ付けした。 基板はもう一枚使って、化粧板にしてみた。



感度は問題なし。 VHF帯のAPRSビーコンで試しても、拾ってもらえるようになった。 この場所だと付属のホイップアンテナではたまにしか通らない。

何度かテストしたら、受信局に接続して運用をはじめたい。

2016/08/23

[KSP]KSP的イオンエンジン探査機

宇宙開発ゲーム Kerbal Space Program(以下KSP)には、イオンエンジンがある。
キセノンタンクと電源があれば、やたら⊿Vを確保できるので、惑星間航行にはおあつらえ向きだ。
問題はTWRが低いのと、割と電力を必要とすること。 とはいっても、単体でMinmusレベルの天体に着陸するには十分なパワーを持っている。


 公式のサンプル機体のひとつに、イオンエンジン探査機が含まれている。 RTG2本が電源で、最初の頃はフルスロットルだと直ぐ電力が尽きるので使えなさそう、と思いこんでいたが、単純に電力が足りないなら推力を絞ればいいということに最近ようやく気付いた。

 スロットル15%ほどであれば、キセノンが尽きるまで推進し続けることができる。 惑星等の影にはいっても加速を続けることができるので、太陽電池よりも使い勝手が良かった。

 いずれにしても、噴射中はゲーム内時間を操作できないので、イオンエンジンを運転しているとかなりの時間が必要になる。



試しにサンプル機体からバッテリを外し、低軌道から連続運転してみた。軌道進行方向へ姿勢制御しつつ噴射し続けた結果、30分で(Kerbalの)第二宇宙速度に到達した。 TWR1超えの液酸エンジンを選べば2分程度で終わる工程だけれど、かなり現実離れした性能をもっている。

キセノンタンクは大型タイプもある。 どうせならフルスロットル可能な電力を確保したい。 簡単に作ると下のようになった。

ステーション向け大型太陽電池アレイを取り付けたもの。

KSPの太陽電池は、設置型と展開式にわけられる。 小型展開式は設置型パネルを6枚並べた面積をもち、設置するだけで太陽を自動追尾してくれる。 大型の展開パネルは上の写真のとおりで、一基だけで有り余るエネルギーを発電してくれる。

便利ではあるが、ロマン成分が足りないので、パネル選択をこだわってみた。
V1.1のイオンエンジン一基はフルスロットルで、6枚パネルx4程度の電力を消費する。
惑星間では太陽と推進軸は垂直に位置する事が多い。 今回はパネル角固定縛りで設計してみた。

惑星間をゆく探査機は、太陽に盾を向ける騎士みたいなイメージを勝手に抱いている。

打ち上げ機 3段式

V1.0からパネルの種類がやや増えて、大きめの角度固定パネルというものがでてきたので、推進用に4枚を太陽面に設置。あとは、姿勢が変わっても電力を確保するために、小型パネルを残りの3面に一枚ずつ配置。 これで大型アレイよりも軽量化できたので、⊿Vが増えた。
 このゲームのリアクションホイールも、アンローディングという概念は無い。Kerbalsの技術力はあなどれない(?)
 いろいろと現実の挙動を省いてくれるおかげで、機体をフィーリングで作って飛ばしてができるのでありがたいなぁ。


2016/08/13

16チャンネル電力分配、計測ボード

依頼を受けて、各種試験用に簡単なテスト用電源供給回路を製作。

アプリケーション
・機器動作試験、遠隔制御
・バッテリーテスト

要求
・多チャンネルを個別に計測、ONOFFしたい。
・数百mA程度までを高精度にモニターしたい。

仕様
・16チャンネル 電圧、電流計測 電圧0~36V(1.25mV/div) ±3.2A (0.1mA/div)
・16チャンネル スイッチ制御 電圧は16V程度まで

インターフェース
・配線は40Pフラットケーブル、MILコネクタを使用。
・TIのPch FETを I2C GPIOエキスパンダ(MCP23017)で制御
・ハイサイド計測はストロベリーリナックスのINA226キット(高精度タイプ)を使用 INA226は最大16個接続できる。 (アドレス設定が必要)。
・制御と計測はI2Cのみで完結。

基板設計、組み立て
・はじめはまじめにINA226もバラで実装しようとしたが、2層では限界があった。
  →キットを縦置き。 I2Cだから配線は束ねられるので、単線ワイヤで結ぶ。 これで実装エリアを大幅に小型化できた。
・ピン配置はB基板と合わせてある。 一応スタックして連結していくと、もっとたくさん繋げられるかも。 ただし、I2C系統はボードごとにバスマルチプレクサなどで分離する必要がある。



MILコネクタとフラットケーブルを使えば、一つ一つ配線する手間も省け、ハーネスの信頼性も確保しやすい。
 実装の都合で、各chのLEDはシャントモニタの下流に取り付けることになった。 10kΩなので数百μAの消費にしかならないけど、今回の構成だと一応レンジ内に現れる。 LEDの発光の目視を含めて、供給系統の反応を見るためのセルフテストに使えて便利な一面もあった。

I2Cバスのみで完結しているので、スイッチ、INA226ともすぐに動作確認を終えることができた。INA226のアドレスを使いきったのははじめてだったけど、特に問題なし。
シリアルをプロットしてくれるソフトウェアを使えば、リアルタイムにモニターすることもできる。 

2016/07/30

USBカメラで星を撮る



高感度なUSBカメラをAliexpressで注文し、天文用に組み立ててみた。

搭載センサはONsemiのAR0130CSで、1.2Mピクセル カラーのバージョン。
普通のCMOSセンサに比べると、ダイナミックレンジや量子効率がかなり高い。


ソニー製のセンサなどと共に、夜に強い監視カメラ向けとして人気のようで、センサ名で検索するといろいろな形態で販売されている。 ボードカメラのモデルは40ドル程度で入手できる。
 同じセンサを搭載した望遠鏡用のカメラ/オートガイダーも存在する。 低価格な望遠鏡のカメラとしても幾つかのメーカーから出ているようだ。

 値段をケチるために筐体無しのものを選んだが、動作中は結構熱くなるので、放熱等を考えると筐体モデルのほうが良いのかもしれない。 消費電力は0.5W程度だった。



タカチの小型ケースのネジ穴と基板のネジの配置がぴったりだったので、簡単に固定台をつくり、自撮り棒についていたスマートフォン用のホルダを使って、三脚に固定した。


SharpCapという天文用のカメラ制御ソフトを使用して、キャプチャを行ってみた。UVC対応なので、特にドライバ等は必要ない。

このカメラは露出時間を最大にすると、撮影間隔が1~2fpsに落ち、街明かりが飽和を起こす程度まで明るくなる。 iPhoneのカメラと比べると、数段くらい暗く撮影出来ている様子。

ボードカメラでお馴染みのM12規格のレンズだが、Aliexpressでいろいろなレンズがみつかる。1000円以下のものは大半が車や監視カメラ用なので、解像度を考慮すると、Megapixel対応と謳うものがよさそうだ。素子面積は1/3インチなので、焦点距離と併せて画角を考慮すると良い。
魚眼レンズが多いけれど、空に向けた場合、広すぎると細かいディテールが失われやすい。

最近はGoPro用の高級(?)レンズも増えてきて、すごいお値段なものもあるけど、撮像素子が1.2Mピクセルなので、そこまで違いはなさそう。

 明るさはF2程度のものが大半なので、より明るいレンズを使ってみたいときは、CSマウントに交換するのも良い。どちらかというと、CSマウントのほうがピント合わせが楽で良い。
aitendoでも取り扱われている。 http://www.aitendo.com/product/12784
CSマウントに交換したもの。

梅雨明けとともに晴れ間が見えたので、3時間ほど撮影してみたものがこちら。レンズはCSマウントで、焦点距離2.8mm F1.2をIRカットフィルタなしで取り付けた。 115度ほどの画角がある。 映像は128倍速にした。

ゲインは控えめにしたので、肉眼でみた空の明るさに近くなっている。 下に土星、火星とアンタレスで構成された三角形が映っていて、日周運動で移動していく様子がわかる。

最大感度でゲインを上げると、熱ノイズのような固定パターンが現れるため、暗い星との区別が難しい。 ダークフレームを取得しておいて、減算していく必要がありそうだ。

 やや夜に強いUSBカメラということで、応用性は高い。 ただ、露出時間は1/2秒程度までなので、本格的な用途には厳しいかもしれない。 天文用の製品は数百秒まで露出可能になっている。

UVC対応でドライバレスなので、RaspberryPiなどと相性が良い。


簡単な直焦点撮影をしてみた。 ETX-60ATに3倍バーローをとりつけて撮影した土星。1050mm相当の焦点距離で、画像の一部を切り出したもの。 あまり追尾精度が良くないのでコンポジット等はできないけれど、撮れてはいる。 頑張れば輪の模様も映りそうだ。
(惑星撮影するなら、カセグレン式の望遠鏡が欲しいなぁ・・・)
 木星は地平線に近くて条件が悪かったが、ガリレオ衛星が確認できた。

追記
熱ノイズ対策は重要らしいので、冷却を検討したほうが良さそう。

2016/07/23

タフパッド


過去の機種ということで、1万円代で購入できたPanasonicの防塵耐衝撃タブレット JT-B1

AndroidのバージョンはICS(4.04)だが、業務用のためか、細かい修正パッチは最近まで適用され続けている。  発売当時のOSのままということもあり、レスポンスは良いが、時の流れはごまかせないので、特定のアプリのみを動かすということに割り切る必要はある。 ちょうど、初代Nexus7に背面カメラをつけたようなスペックだ。一応、RTL- SDR関連は動いた。


 防塵耐衝撃ということで、大きいこと(8型タブレットを2枚重ねたくらい)、 重い(500g級)ことは覚悟していた。 あえて利点を挙げるとすれば、厚みがありベセルが広いので保持しやすいところ。 そして物理的に強そうな見た目。

また、電源コネクタとmicroUSB端子が別に用意されている。 さすが業務用だった。

一つ困ったのが、待機中の電池の消耗スピードが早いこと。
最小限のアプリとバックグラウンドサービスにとどめても、1.4%/hのレートで放電があるようだ。
単純計算だと、待受状態で3日もたない。 無線関係をオフにしても、その傾向は変わらなかった。
この原因は後ほど判明する。

お約束の分解。

固定にはすべてY型のネジが使われているので、Y型ネジ用のドライバーを取り寄せた。


背面中央部にある蓋のネジを取り外すと、取り付けられたWWANモジュール(Gobi 4000系)が確認できる。 空間の余裕があるからか、WWAN対応PCと同じような構成だ。
LTEモジュールにアクセスするなら、この4つのネジを外すだけよかった。

次に、本体を開ける。 筐体のつなぎ目はゴムパッキンが取り巻いている。
メイン基板はすっきりしていて、主要パッケージはシールドケースに収まっており、マグネシウム筐体に伝熱シートで押し付けてある。 徹底的な放熱パスの作成がなされている。

GPS、Wifi,BT,WAN関連のアンテナはフィルム基板に形成され、Pogoピンで基板から接続されるタイプ。 アクセサリーポートの上側と、画面側の右上、NFCの読み取り位置の付近に設けられている。 この2箇所は何かで覆わないようにしたほうがよさそう。 

GPSの感度だが、アプリで表示する限り、Nexus7に比べて測位時に使われる衛星数が半分くらいになってしまうのが惜しい。

待機電力の調査

OSが古いので、OSのブラウザは封印、Chromeのみにして、使わないGoogle系のサービスも封印。
バックグラウンド更新等を切り、常駐アプリを減らした。

結果からいくと、WAANモジュール取り外して起動、放置すると、待機中のバッテリの放電レートが10分の1にまで下がった。 もともと5Ah級のバッテリを装着しているので、待機電流さえ減れば、おそろしく長持ちしそう。


上の画像は、WifiをOnの状態で、1日目まではWWANなし。 その後、12時間は、SIMなしの区間で、最後の12時間がデータSIMありの待機電力となる。 LTEモジュールが刺さっていると、モバイルデータ通信を切っていても、待機時間は約3日くらいになる。 取り外せば、1ヶ月くらいはもちそう。 (すべてのアプリを切った状態)

たまに使う普通のタブレットとしては、数日目を離した隙に使用不能になっているのはやや不便で、
充電台/給電ケーブルに繋ぎっぱなしが可能な業務利用とはちょっと評価軸が変わる。
LTE環境が必要なときだけ、モジュールを刺して使おう・・・。


TH-D72をあらたに自局へ登録したので、APRSのテストのため、近所の山へお出かけしたときの構成。
APRSの連携もアプリが幾つかあるが、まだ試せていない。 
かたやパケット通信そのものを楽しむものと、当たり前のようにどこかの基地局と通信をしているものを運用していると、よくわからない心境になる。
APRSのほうは、UHFの5Wで100kmほど先のI-Gateに拾われることがわかった。宇宙機相手だと1Wくらいの出力で、数百kmレンジの空間を拾うことになる。 ハンディ機だと自分が衛星の立場みたいで面白い。 (ハンディ機を組み込んだ衛星も結構運用されていた)
目標としては、ISSのデジピータにアクセスするところまでやってみたい。

2016/06/29

コードレスはんだこて FX-901

電源の取れない場所で使えるように、電池式のコードレスはんだこてを導入してみた。



FX-901 https://www.hakko.com/japan/products/hakko_fx901.html

少し前だと、ガス式ぐらいしか無くて、それはちょっと取り扱いが難しいので躊躇していた。

セラミックヒーター式で、単3x4本で動くのでお手軽だ。  新品のエネループを使用して、基板のハンダ付けをしてみた。 30分ほどの作業だったが、重たいのは別として、あまり電池式ということを意識することはなかった。 コードレスということで、ケーブルを意識しないで済むのは新鮮かもしれない。

 ニッケル水素充電池だと、電圧が低いのでアルカリ電池よりもW数が下がるらしい。 最大温度がだいぶ変わるようだけど、基板の端子程度であれば、GNDパターンでも半田が溶けないということはなかった。 公式のPDFでは、もっと熱容量の大きな配電盤などの端子での比較が載せられている。 (特徴データというPDFを参照)
なお、ニッケル水素のほうが放電カーブが緩やかで、長時間作業できるようだ。

増殖している・・・
とつぜん砂漠の真ん中でハンダ付けする必要が生じる場合は、予備の電池とともに携行しておくと心強いかもしれない。

2016/06/11

RetroBSDを試す

RetroBSDというプロジェクトがある。  http://retrobsd.org/wiki/doku.php

2.11BSDの組み込みマイコン向けの移植版で、MMUをもたないマイコンで動作させることが可能だ。

現在のところ、PIC32MXをサポートしている。

環境構築については、Ubuntu上でプロジェクトファイルをビルドすることができる。
カーネルはPIC32MXに焼くHEXファイルとなる。
ボードが幾つか登録されていて、使うボードに応じて基本的なコンフィグを設定する。
あと、SDカード用のイメージがある。 SDカードにはファイルシステムが入る。

自作ボードではLEDやSDカードのピン配置が異なるので、記法に従って、MAX32のカーネルコンフィグを修正してビルドしてみた。


カーネルは、ボードのブートローダーを利用して焼くことができる。 Windows上だと、コマンドラインから付属するpic32progで書き込むことになる。
オプションによってはブートローダーを経由せず、PICKIT2などを使って直接焼くことも可能だった。


ログイン画面
電源投入から数秒間待つと、ブートメッセージのあとで、おなじみのログイン画面が出て来る。
UNIXなので、Cコンパイラまで搭載している。 実際にDhrystoneのベンチマークもサンプルに入っていて、ビルドして実行することができた。
80MHzで Dhrystoneをビルドして実行した結果

binの中身 TCP/IPまわりは有効化してないので動作しないものもある
デバイスドライバを掘り下げるのは又の機会ということで、カーネルの設定で遊んでみた。
デフォルトではPIC32MXの最大周波数の80MHzで動作する。 30MHzに下げたカーネルをビルドして動作させると、処理中に50mA アイドル時24mAという消費電流になった。  最大周波数と比べればもちろん動作はもっさりしてくるけど、UNIX機としては160mW程度と、かなり省電力だ。

最近では、LiteBSDというプロジェクトも出てきた。 MMUを搭載するPIC32MZ上で、4.4BSDを実行する。  32MZはエラッタにビビってまだ使えてないけれど、時間があったら動かしてみたい。