スキップしてメイン コンテンツに移動

小型ローバーの実用例

世界の小型ローバー

原子力エンジンを検索していたらアメリカの企業が作った小型偵察ローバーの記事(中国語)に行き着いた。そんなこともあるよね。

というわけで、世界の小型ローバーロボット技術探訪。研究分野以外ではどんな使われ方をしているのか、というものを二つピックアップしてみた。

「死角に放り投げるだけ」偵察用の小型ローバー

軍事領域での開発にかけてはアメリカの右に出るものは居ない。
米ReconRobot社のローバーは小さなダンベル位のサイズで、中央に尾をもつT字型の典型的な筐体をしている。
http://www.reconrobotics.com/index.cfm
約540gの筐体に広角カメラ、2個の丈夫な車輪を備えている。操縦はジョイスティック一個で、無線でローバーのカメラの映像をモニターしながら操縦できる。
オプションを見るかぎり、主な供給先は軍や警察だ。現場で運用されることが考えられている。シンプルで頑丈、低コスト。 
その用途はまさに「車輪付き偵察カメラ」だ。デモムービーが分かりやすい。
印象的なのは、目的の場所に無造作に放り投げて動作する所だろう。



・制圧作戦で建物内の敵の把握
・犯人の逃げ込んだ先の特定
・籠城の様子の偵察
・人命救助

これまでは人命リスクで情報を得られず、闇雲な行動に出ざるを得なかった領域に普及していくのだろう。しかし戦場や修羅場でいざ投げ込まれた側にしてみれば、パニックに陥りそうな気もしてちょっと気になる。

「ハイテク玩具」カメラつき遠隔操作ローバー$130


http://www.spygear.net/spy-gear/item.php?key=64
革新的なおもちゃに関してもアメリカの右に(ry



 チルトカメラとキャタピラを備えた遠隔操作ラジコン。コントローラーには画面が付いており、モニターしながら操作可能。
CPUはARMで、SDカードに画像を残す事もできる。 さらにソフトウェアを追加可能。
ここまで書いておいて、130ドルで買えるおもちゃである。
おそらく組み込み系Linuxで稼働するのだろう。かつてならこの内容で10万円はしていたはず。 小型軽量の模型飛行機の価格破壊の流れで、こうしたハイテク玩具がどんどん普及している。 かつてこういうモノを作りたくて試行錯誤してきたことを考えると、はじめから手に入れられる時代が羨ましいと同時に複雑な気持ちになる。(時を同じくして個人向け電子部品市場も充実してきたのでよしとしよう)
最初に紹介したローバーともだいぶ似通ったシステムではある。もっとも、おもちゃの場合は15メートルから落としたら粉微塵になってしまうだろうけど。 注目なのはお掃除ロボットRumbaと並んで改造し甲斐がありそうなデバイスだという点だろう。 結局 大きいお友達向けの視点になってしまった。

 こうして世界の技術を追っていると、猫じゃらしロボットのインパクトはあまり無さそうである。しかし糸巻き戦車ローバーもあと2回くらい変身の余地を残している。慌てることはないさ…  こちらは最終的に操縦者なしで行動する放浪者を目指しているのだから…。 道のりは遠い。

もちろん、日本にはサウンドエンターテイメントロボット Rolly がいるではないか。
見ていて楽しく実用的なRobotが増えるといいな。
<終>



Popular posts

Arduino Nano Everyを試す

 秋月で売っていたAtmega8と、感光基板でエッチングしたArduino互換ボードを製作してみて、次に本家ボードも買って…  と気が付いたら10年が経過していた。  ハードウェア的な観点では、今は32bitMCUの低価格化、高性能化、低消費電力化が著しい。動作周波数も100MHz超えが当たり前で、30mA程度しか消費しない。  動作電圧範囲が広く、単純な8ビットMCUが不要になることはまだないだろうけど、クラシックなAVRマイコンは値上がりしており、価格競争力は無くなりつつある。 そしてコモディティ化により、公式ボードでは不可能な値付けの安価な互換ボードがたいていの需要を満たすようになってしまった。     Arduino Nano Every https://store.arduino.cc/usa/nano-every https://www.arduino.cc/en/Guide/NANOEvery  そんな中、Arduino本家がリリースした新しいNanoボードの一つ。  他のボード2種はATSAMD21(Cortex-M0+)と無線モジュールを搭載したArduino zero(生産終了済み)ベースのIoT向けボードだが、 Nano EveryはWifi Rev2と同じくAtmega4809を採用していて、安価で5V単電源な8ビットAVRボードだ。  Atmega4809はATmegaと名がついているが、アーキテクチャはXMEGAベースとなり、クラシックAVRとの間にレジスタレベルの互換性は無い。   https://blog.kemushicomputer.com/2018/08/megaavr0.html  もちろん、ArduinoとしてはArduinoAPIのみで記述されたスケッチやライブラリは普通に動作するし、Nano Every用のボードオプションとして、I/Oレジスタ操作についてはAPIでエミュレーションするコンパイルオプション(328Pモード)がある。 公式のMegaAVR0ボードはどれもブートローダーを使わず、オンボードデバッガで直接書き込みを行っている。  ボードを観察してみると、プログラマ・USBCDCとしてATSAMD21が搭載されている(中央の四角いQFNパッケージ)MCU的にはnEDBG

【サボテン】太陽電池の結線

 久しぶりにサボテン計画。 忙しかったり投薬治療直前でだるかったりして、かなり放置していた。 さぼてんも不機嫌そうだ。 せっかくなので、園芸用の水受けに移す。  関節痛で寝込んでる間に、エイプリルフール終わってましたね^^・・・。  太陽電池の展開機構を想像したが、まずは太陽電池の結線を済ませよう。  配線を綺麗にまとめたくていろいろ探していたら、千石電商でぴったりなものを見つけた。 LEDリング基板 というらしい http://www.led-paradise.com/product/629?  本来はチップLEDをリング状にまとめる代物。 イレギュラーな使い道だ。   今度は小径のを買って、GX200のリングライトに仕立て上げよう。   嬉しいことにフレーム径にジャストフィット。 配線を綺麗にまとめられた。   太陽電池の接続部。逆流防止用にショットキーダイオードを入れている。 かなりスッキリ。 蛍光灯下 500ルクスでの実験。 EDLCは10Fを使用。  ちゃんと充電が行われている。 といっても、とてもとてもゆっくりとだけれど・・・。

ATmega4809(megaAVR0)を試す

megaAVR 0という新しいAVRシリーズを試してみた。  小さいパッケージなのに、UARTが4本もあるのが気になったのがきっかけ。 登場すると噂の Arduino Uno Wifi rev2  にも採用されるらしい。  簡単にデータシートを眺めてみると、アーキテクチャはXmegaシリーズを簡素化し、動作電圧範囲を広げたもののようだ。  CPUの命令セットはAVRxtと新しくなっているが、Xmegaで拡張された一部の命令(DESやUSBで使われる命令)が削除されていて、基本的に今までのATmegaとほぼ同じだ。  コンパイラからは、先に登場した新しいtinyAVR0, tinyAVR1シリーズと共にAVR8Xと呼ばれて区別されている。  CPU周りを見てみると、割り込みレベルなど、今までのクラシックなATmegaで足りないなと思っていたものがかなり強化されていた。 ArduinoAPIを再実装するとしたら便利そうなペリフェラルもだいたい揃っている。 データシート P6  DMAは無いけれど、周辺機能にイベント駆動用の割り込みネットワークが張り巡らされているのがわかる。  できるだけCPUを介在させない使い方がいろいろ提案されているので、アプリケーションノートやマニュアルを読み込むことになる。 ピックアップした特徴 ・データメモリ空間(64kB)に統合されたFlashROMとEEPROM ・RAM 6kB ROM 最大48kB (メモリ空間制限のため) ・デバッグ専用の端子 UPDIを搭載 ・優先度付きの割り込み(NMIと2レベル) ・ピン単位の割り込み(かなり複雑になった) ・リセットコントローラ(ソフトウェアリセット用レジスタが実装され、リセット原因が何だったかもリセット後に読み出せるようになった) ・豊富な16ビットタイマ(4809では5基) ・16ビット リアルタイムカウンタ(RTC) ・豊富な非同期シリアル/同期シリアル(USART 4ch、SPI 1ch,TWI 1ch) ・内蔵クロックは最高20MHz(PLL)と32kHzの2種類。外部クロックは発振器と時計用水晶のみ ・ADCは10bit 16ch ・内蔵VREF電圧が5種類と多い(0.55V,1.1V,1.5V.2.5V.4.3V

GPSアンテナをつくる

GPSアンテナを作ってみた。 1575MHzの波長は約19cmなので、半波長で9.5cmとなる。 GHz帯とはいえ、結構長いものだなぁ。 セラミック等の誘電体がなければ、平面アンテナで真面目に半波長アンテナを作ろうとすると手のひらサイズの面積が必要になってしまう。 普通のダイポールだと指向性があるので、交差させてクロスダイポールにする。 屋外地上局のアマチュア衛星用アンテナの設計をそのまま縮小したもの。 水平パターンはややいびつ 92.2mmの真鍮の針金(Φ=0.5mmくらい)を2本用意して、42.3mmで90°に曲げる。 長さの同じ素子同士を並べて配置する。 (全長が半波長より長い素子と短い素子が交差した状態) 片方をアンテナ信号線、もう片方をGNDにつなげば完成。 実際5分くらいでつくったけれど、果たしてどうだろうか。 今回は、道具箱に眠っていた表面実装タイプのMT3339系モジュールに取り付けた。 アンテナはもともと3x1.2mm程度のとても小さいチップアンテナで、 LNAが入っているけど感度が悪かったのでお蔵入りしていた代物。 最近の携帯機器はみなアンテナに厳しい。 さて・・・ クロスダイポール版モジュールをPCでモニタしたウインドウ(左)と、QZ-Rader画面 東側に建物遮蔽があるので、そちら側の衛星はSNが悪い。 とりあえず補足できた衛星数はシミュレーションされたものとほぼおなじだった。 アンテナの角度をいろいろ振って、逆さまにしてもロストすることはなかった。 セラミックのパッチアンテナレベルにはなったかな・・・。 簡単にできてそれなりに測位するけれど、携帯性は皆無になった。 あと、近接周波数の干渉を受けやすいかもしれない。 GPSアンテナのDIY例としては、QFHアンテナもある。 ラジオゾンデなどで使われている例がある。 いつもお世話になっているQFHアンテナ計算シートのサイト https://www.jcoppens.com/ant/qfh/fotos_gps.en.php ヘリカルアンテナは加工精度の難易度が上がるので、今回はクロスダイポールにした。 GNSSとなると、複数の周波数のために調整されているセラミックパッチアンテナが有利だと思う。 セラミックパッチア