宇宙機お絵かき。 今回は物理データを地上に送り届けるグライダーを搭載したキューブサット(の構想)
2009年に、ISSから紙飛行機を地球に落とそうというプロジェクトがあった。結果的に中止されてしまったけれど、軽量な紙飛行機なら再突入に耐えるかもしれないというアイデアは結構魅力的だったと当時思った。
中止された理由は放出方法が不確定であることだったらしい。前例のない軽量物体なので、放出する挙動が掴めないというのもあると思う。ISSではクルーの安全が第一なので、ちょっとでも不安定要素があれば中止されるのが常である。
ISS高度だと希薄だが大気があるため、物体は数ヶ月で落ちる。ISS自身もリブーストという高度修正を行い続けないと落ちてくる。
CubeSatをその高度に放てば、同じように数カ月で大気圏に突入する。
紙飛行機も同じように落ちてくるだろうけれど、確実に落としたい。再突入用の軽量なグライダーを落とすための仕組みをあれこれ考えて、もうちょっと具体的にしてみた。もちろんこれは妄想である。
<衛星に格納する>
ISSにはCubeSat用の放出機構が付けられる予定なので、CubeSatにグライダーを収めよう。
図の衛星は3Uと言って、3つ分重ねたCubeSat規格の最大サイズ。スロットをまるごとひとつ専有する。
これで放出方法は大丈夫だろう。 衛星とグライダーを切り離すのは再突入直前まで待つことにする。
衛星に収めることでもう一つのメリットが発生する。それは大気圏再突入の時期がモニタリングできるということだ。ソユーズなどの宇宙船に例えれば、軌道での動作に必要なサービスモジュールである。紙飛行機だけでは、地上に電波を送ったり、数ヶ月稼働するシステムを収めることは難しい。
紙飛行機だけだと、結局いつ地球に戻ってくるのかはわからない。大気の密度は結構変わるので、再突入の精密な予想はまだない。
おそらく大気圏に無事戻っても回収は難しいだけに、せめて軌道側での情報は沢山取得したい。<大容量データ回収>
せっかく地球に戻ってくるので、なにか役割を期待したい。 ひとつ考えられるのが、HD映像など、小型衛星では難しい大容量データの回収。 microSDを一枚でも、最近は32GByte(実29.8GB?)の容量がある。(64GBも出てきた)
これは例えばCubeSatではまだ搭載例が少ないSバンドの無線機で、100kbps、1日4回40分、合計30MB/日、通信できたとしても、降ろすのに1000日以上かかるデータ量だ。無線なので観測データ以外にヘッダやCRCを挟むため、実際のデータはもっと少ない。地上局が沢山出来たりしないと、5~6年はかかると思う。つまり30GBなんてデータ量をナローバンドで得るのは途方もなく困難で、1200bpsでは不可能な領域だ。
このグライダーを大容量データを降ろすための手段として使えたら、未知の世界が見えるかもしれない。衛星は燃え尽きても、データは地上に戻ってくる。単純に考えると、GoProで撮った全周軌道映像だろうか。
RFC1149はジョークプロトコルだけれど、考えてみれば現在でも大容量データは物理メディアによる配布が一般的ですね。(1TBを超えるとHDDの輸送を検討する感じ)
wikipedia 鳥類キャリアによるIP RFC 1149
グライダー側も、GPSと100mW程度の送信機を積んで、現在地と目的地を放送するといったことができると、発見確率を高められるだろう。 その上で、ある程度人の居る地域へ誘導する。 それでも海洋上に落ちたり、無人地帯に落ちる可能性がほとんどだろう。やはり再突入タイミングを調節できないと厳しそうだなあ。 うーむ。
翼長40センチほど。microSD,フィルム太陽電池、GPS、送信機搭載で50g以内に納めたいなあ |
地球は広いなー