2011/10/06

BookSatellite


空想宇宙機シリーズ 今回はキューブを通り越してフラットな折りたたみ超小型衛星。

小型化が活用の道を切り開いた小さな衛星たち。

英語で画像検索すると色々なプロジェクトが出てくるので定期的に調査しているが、最近の超小型衛星は、規格化と参入が進んで回路が洗練されつつある。

中には5cm角の衛星の計画まであるらしい。 ビーコンを発信するだけだったら、アマチュアでも簡単に手が出せる回路規模だけに、教育/技術試験など沢山の計画が目白押しである。

進歩の中の制約条件

高機能化が進んだ携帯電話も、バッテリの動作時間と、人間が快適に扱える限界の大きさはあまり進歩していない。 このスペックを無理しても使いにくくなるだけだろうから。

CubeSatの最大の魅力である小ささは同時に弱点でもある。

CubeSatはみな筐体に太陽電池を貼りつけたタイプが標準だ。これは姿勢制御や展開機構をもたなくて済む利点がある。
ただし、立方体だとすべての面に同時に太陽光を受けることはできないため、前提として6面あるうちの一つの面の発電量でも動作するように設計しなくてはならない。

CubeSatだと10x10cmの面積に貼りつけた太陽電池セルとなる。 この制約下では、できるだけ高性能なセルを使い、通信機とバス機器だけは動作することように設計する。 負荷の大きな機器を積みたいときは、バッテリに溜めた電力を間欠駆動でやりくりさせる。

静止画撮影などは一瞬の負荷なのでリカバリー可能だが、連続して稼働させたい用途には向かない。 

小さくても夢を見たいのが常なので、こうした制約をくぐり抜けるには、

A:立方体を大型化する。B:展開式パネルを装備する

という道がある。CubeSat規格の最大サイズである3Uになると、こうした条件はあるていど緩和される。
 
実際最近は3Uサイズの計画が多い。

展開式の場合は、単純に折りたたんだパネルを開いて面積を増やすタイプと、大型衛星のように姿勢制御するタイプとある。Cubeでは前者が多い。

(余談だが、「CubeSat」で画像検索かけると最近は3Uが増えてきた)

フラットにしてみる

この文章では、立方体という制約を外してみたい。パネル面積を増やしつつ、容積を据え置くなら・・・


CubeSatとして必要なシステムは参入が増えたことで小型化が進み、1UのCubeSatでも結構な容積が余るようになってきている。

タブレット端末の画面を太陽電池に置き換えたような衛星を想像してみよう。技術的にはCubeSatと同じだが、回路は薄い筐体に納められている。そして一枚あたりの発電量は増える。
無重力での運動を考えると、裏表だけでは心細いので、本みたいに展開することにする。

構造自体が展開式パドルだけになったような感じだ。枚数は3枚とする。


展開するとバネの力で3角柱になる。  

面積が広いことは、発電量の増加だけではなく、安価な太陽電池を採用してコストを下げることにもつながる。たとえばフィルム太陽電池など。
個人的には電力が数ワット確保できれば、レピーターを搭載したアマチュア衛星や、高速通信機の搭載が視野に入るので魅力的。
衛星を複数スタックすることも簡単そうである。