2017/12/02

PIC32MZ基板


 趣味用にPIC32MZ 144ピンパッケージの試作基板を起こした。 最近は秋月でも石単体で取り扱いがある。

 最安値のPCB製造サービスをつかうため、5x5cm 2層基板で作成。
送料含めて8ドルくらいで届く。

 残念ながら回路図上で、10箇所のうちの4箇所、VCCとVSSを逆配線してしまった。 逆接箇所は足元のパターンにカプトンを張って絶縁し、外周配置のパスコンを起点に0.1mmのUEWで交差接続してリワークしている。

 回路図シンボルの端子配置を実体と同じ配置にするときは、VDDとVSSの取り違えに注意しないといけない。  こうしてチェックリストが更新され、趣味基板上のミスも減っていく(はず)


仕様

・実装クロック 24MHz(OSC)、32.768kHz(OSC)
・6ch UART(うち1chはRS422ドライバに接続)
・内部SPI (microSD, SPI-FRAM)
・内部I2C (MPU-9250)
・外部I2C,SPIポート(独立)
・USB-host
・CAN(ドライバIC)
・UART1ch、USB用の電源制御(バススイッチx2)
・16ビットパラレル入力(SH 20p)
・ADC8ch以上、GPIO(SH 20p)、PWM 6ch
・Vref: 2048mV
・LED x2

 大半のバスはPPS上の割当なので、MPLAB Harmony上で予め設定している。
2層でGNDプレーンをあるていど確保するため、パッケージのポート配置に逆らわず、最短でコネクタに逃がす。 SHやGHなどをそれなりにカシメられるクリンプ工具(PAD-11)を導入してあるので、ハーネス自体は作り放題。
セカンダリオシレータの低速クロックまでXTじゃなくてOSCにしたのは、現行リビジョンのエラッタ回避のため。 それほど大きさも変わらなくて消費電流もμAレベルなので、容量の調整の手間を考えるとこれで良いかもしれない。

発熱の観察



 パッケージの発熱を熱画像で見てみる。発熱でダイパッド(ダイを載せるプレート)の構造が見えている。放熱経路は、ダイパッド-樹脂パッケージ-基板となる。
  200MHzのクロックだと、今の時期で人肌程度なので、ほんのり温かい程度。

 高クロックで常用するなら、4層基板を使い、ダイパッドが露出したQFNタイプを実装するほうが熱抵抗が低く、放熱の面で有利になる。

資料:データシート上の熱特性。

(忙しいと積む基板が増える・・・)

2017/11/24

FLIR ONE proを試す

 熱源が恋しいこの季節、 FLIR ONE pro (iOS版)を入手したので、安価なサーマルカメラの使い勝手を試してみた。 


 ここ1年ほどゴツいケースに目覚めて、CATが販売しているiPhoneケースを使っている。
 さすが、FLIRを内蔵したスマートフォンをだしているだけあって、あつらえたようにピッタリ。

 第三世代のFLIR ONEはコネクタの高さをネジで調節できるため、この分厚いケースにも直に取り付けることができた。 ケース厚はおよそ4mmほど許容できるようだ。

Proはノーマル版と比べて値段が張るけど、-60℃から150℃、0℃から400℃の2つの測定レンジが選択できる。 動作はやや遅延が大きく、頻繁にキャリブレーションが走る。 内蔵電池の容量は少ないので、こまめな充電が必要そうだ。

PIC32MZの試作基板。 2層基板なので熱分布がけっこう偏っている
 解像度のおかげか、マイコンのパッケージの発熱をみると、ダイを載せるプレートと、対角に伸びるフレームが放熱ポイントとしてうっすら映るのがわかる。

パンフォーカスなのであまり期待していなかったけど、基板の熱分布をみるというのも楽しい。 

アイドル中のRaspi3

 はんだごてが光る

犬も光る 

ソーラーパネルも光・・・ 光っちゃってる

真面目な業務領域としては、ソーラーパネルのメンテナンスによく使われている。 上は一部に影が落ちたセルが発熱している様子をとらえたもの。 ホットスポットとよばれる。
 発電されたエネルギーが熱になっているわけで、セル1列分の電力が無駄になっているし、加熱が劣化を早め、最悪火災につながることもある。
冬は太陽が低く影が落ちやすいので、日照量の減少だけでなく、近辺の柱などの影が発電能力に与える影響も大きい。


Proではただの熱画像のみを表示することもできる。 取り込んだ元画像はVGAまでアップコンバートされていた。 Proの出力画像は複数のデータが同梱されているので、以前のバージョンの出力ファイルから、個別にデータを取り出す例を見つけることができる。


 快晴の冬の空で顕著だが、上空は水蒸気が少ないので、熱放射が宇宙へ逃げていき、温度は測定限界以下となる。  
 放射冷却をバックグラウンドに、構造物を撮るとその対比がきれいだ。

2017/10/04

独立電源の実験#3 動作テスト

ガーデンプローブ
 秋は深まり、日に日に昼が短くなっていく。 ひまわり8号リアルタイムウェブをサブモニタに映し、自動更新で地球の変化を眺めながら作業している。
 静止軌道から眺めていると実感するが、電力収支を維持する上で、地上での太陽光発電は宇宙空間よりも不安定だ。
 秋分を過ぎ、もうじき冬至に向かってまた地球の影が傾いていく様子が見えるだろう。 地軸の傾きと気象により地上の日射量は大幅に変動し、 昼と夜のサイクルは12時間前後と長い。
 今年は曇ってばかりだった・・・。
 地上での平均的な発電量は、地球の公転軌道上の1割ちょっとまで落ちてしまう。
 もうちょっと太陽系視点で見てみると、太陽定数が1割ちょっとまで落ちるというのは、火星以遠の小惑星帯の公転軌道まで遠ざかるのと同じだ。

 さて、デジタルサボテンこと独立電源システムもある程度インターフェースが生えそろってきた。 近距離のハウスキーピングデータとコマンドの送受信のために、TWE-Liteを内蔵し、GPS、長距離ビーコン用とあわせて、3種類のアンテナが搭載されている。
単3電池駆動タイプも用意
 地上で連続して安定稼働させる場合、1日分の充電で数日間稼働できる要求仕様がベースラインになる。 その観点からしたら、このサイズでは高負荷のタスクは昼間だけという中途半端な位置付けになる。  試験機としては、蓄電系が小さくシンプルなほうがやりやすい。

 ソフトウェアによる電力管理の試運転で、2日ほど透明な保存容器に入れて密封し、窓の外に放置してみた。
太陽電池は300mW出力のものを1枚だけ取り付けている。
下記のグラフは受信したデータから電圧履歴と動作モード遷移を抜き出したもの。

 天候は1日目の昼間は曇り。 夜は雨だった。 二日目の昼は快晴。
建物の北西側に設置しているため、午後までは直射日光が当たらない。

 小容量のほうは日照状態で電圧がかなり左右される。 副作用として2つのキャパシタ間の電圧比較だけで太陽光発電中かどうか判断できる。

 動作モードは4つ用意した。
  1. 大容量キャパシタの充放電系統切り離し、小容量キャパシタ駆動モード。 (完全放電からの復活)
  2. 大容量キャパシタ初期充電モード、放電なし(HK送信開始)
  3. 大容量キャパシタ駆動開始、省電力モード。 
  4. 通常運用(規定電圧以上で、 測位などを許可)
 動作モードは始動と通常運用の2つの段階がある。 ブートストラップ用の小容量キャパシタは大容量キャパシタの放電を開始した段階で状態遷移フラグから無視する。
 大容量キャパシタの電力がマイコンの下限電圧を下回るまでは、3と4を行き来している。

 省電力モードなら、曇り空程度でも電力収支が成り立っている。 余裕を考えると、パネルは2枚にして、0.5W以上あるほうがよさそうだ。

 夜間の電圧カーブを見ると、平均500μA程度で動作しているように見える。
OBC-644基板上の周辺機器の省電力をまだ極めていないので、最終的に100μA程度までは減らせると思う。

 モード4の間は10分おきにGPSの電源を入れ、測位を行っている。コールドスタートでは測位に40秒ほどかかるけど、バックアップ電源端子には常時給電しているので、次回以降はホットスタートを行い、測位時間を数秒まで短縮できる。  

 ATmegaを1.8Vまで駆動できるようにしたので、だいぶ稼働時間を伸ばせた。
 キャパシタを5.5Vから1.8Vまで使うと、静電容量180クーロンになり、約50mAhの電池で動いているのに等しい。  4V止まりだと6割どまりで、せっかくの容量を活かせない。

容量を稼ぐには、快晴時は簡易的にMPPT動作を行い、昇圧させてキャパシタをフル充電まで持っていく仕組みが必要になるだろう。  さらにオンボードで電圧履歴をもたせ、もっと動的な動作モード配分も・・・。