2017/10/04

独立電源の実験#3 動作テスト

ガーデンプローブ
 秋は深まり、日に日に昼が短くなっていく。 ひまわり8号リアルタイムウェブをサブモニタに映し、自動更新で地球の変化を眺めながら作業している。
 静止軌道から眺めていると実感するが、電力収支を維持する上で、地上での太陽光発電は宇宙空間よりも不安定だ。
 秋分を過ぎ、もうじき冬至に向かってまた地球の影が傾いていく様子が見えるだろう。 地軸の傾きと気象により地上の日射量は大幅に変動し、 昼と夜のサイクルは12時間前後と長い。
 今年は曇ってばかりだった・・・。
 地上での平均的な発電量は、地球の公転軌道上の1割ちょっとまで落ちてしまう。
 もうちょっと太陽系視点で見てみると、太陽定数が1割ちょっとまで落ちるというのは、火星以遠の小惑星帯の公転軌道まで遠ざかるのと同じだ。

 さて、デジタルサボテンこと独立電源システムもある程度インターフェースが生えそろってきた。 近距離のハウスキーピングデータとコマンドの送受信のために、TWE-Liteを内蔵し、GPS、長距離ビーコン用とあわせて、3種類のアンテナが搭載されている。
単3電池駆動タイプも用意
 地上で連続して安定稼働させる場合、1日分の充電で数日間稼働できる要求仕様がベースラインになる。 その観点からしたら、このサイズでは高負荷のタスクは昼間だけという中途半端な位置付けになる。  試験機としては、蓄電系が小さくシンプルなほうがやりやすい。

 ソフトウェアによる電力管理の試運転で、2日ほど透明な保存容器に入れて密封し、窓の外に放置してみた。
太陽電池は300mW出力のものを1枚だけ取り付けている。
下記のグラフは受信したデータから電圧履歴と動作モード遷移を抜き出したもの。

 天候は1日目の昼間は曇り。 夜は雨だった。 二日目の昼は快晴。
建物の北西側に設置しているため、午後までは直射日光が当たらない。

 小容量のほうは日照状態で電圧がかなり左右される。 副作用として2つのキャパシタ間の電圧比較だけで太陽光発電中かどうか判断できる。

 動作モードは4つ用意した。
  1. 大容量キャパシタの充放電系統切り離し、小容量キャパシタ駆動モード。 (完全放電からの復活)
  2. 大容量キャパシタ初期充電モード、放電なし(HK送信開始)
  3. 大容量キャパシタ駆動開始、省電力モード。 
  4. 通常運用(規定電圧以上で、 測位などを許可)
 動作モードは始動と通常運用の2つの段階がある。 ブートストラップ用の小容量キャパシタは大容量キャパシタの放電を開始した段階で状態遷移フラグから無視する。
 大容量キャパシタの電力がマイコンの下限電圧を下回るまでは、3と4を行き来している。

 省電力モードなら、曇り空程度でも電力収支が成り立っている。 余裕を考えると、パネルは2枚にして、0.5W以上あるほうがよさそうだ。

 夜間の電圧カーブを見ると、平均500μA程度で動作しているように見える。
OBC-644基板上の周辺機器の省電力をまだ極めていないので、最終的に100μA程度までは減らせると思う。

 モード4の間は10分おきにGPSの電源を入れ、測位を行っている。コールドスタートでは測位に40秒ほどかかるけど、バックアップ電源端子には常時給電しているので、次回以降はホットスタートを行い、測位時間を数秒まで短縮できる。  

 ATmegaを1.8Vまで駆動できるようにしたので、だいぶ稼働時間を伸ばせた。
 キャパシタを5.5Vから1.8Vまで使うと、静電容量180クーロンになり、約50mAhの電池で動いているのに等しい。  4V止まりだと6割どまりで、せっかくの容量を活かせない。

容量を稼ぐには、快晴時は簡易的にMPPT動作を行い、昇圧させてキャパシタをフル充電まで持っていく仕組みが必要になるだろう。  さらにオンボードで電圧履歴をもたせ、もっと動的な動作モード配分も・・・。


2017/09/05

miniVNA tinyでアンテナ特性を測定

  いろいろなアンテナを自作していくうえで知りたかったのがVSWRやリターンロスといった特性。校正済みの測定器を使える環境に出入りさせてもらっているけれど、やはり手元で実験しながらエレメント長の調節などをしたい。特にサブGHz以上になってくると調整は測定が前提になってしまう。

 USB接続のVNAを探してみたところ、miniVNAシリーズというものがあった。

キャリブレーションキット(オープン、ショート、50Ω)
 反射特性と伝達特性計測のほか、信号発生やケーブル損失の測定などもできる。 miniVNA tinyでは3GHzまで計測できるので、自分の利用目的に合致していた。 アッテネータを付けてもらい、代理店から購入。マニュアルも充実しているので、特に迷うことはなかった。 (Aliで見つかるものはコピー品らしい)

 自作アンテナ測定(反射特性の計測)


自作の430M帯のターンスタイルの特性を見てみる。 いつも屋上のSDR受信局につけていたものを再整備を兼ねて外した。




MMANAでのシミュレーションをもとに無調整で作ったけれど、それなりに特性が出ていた。 ちゃんと円偏波になってる様子。


 アンテナ測定は周囲の金属や人体でかなり特性が変化するので、できるだけ何もないところで測定する。

 スキャン速度を高速にして、荒い解像度でフリーランさせて手や金属を近づけたりすると、特性が変動する様子が観察できる。

伝達特性の計測





アッテネータの特性を見てみた。10dBと20dBのアッテネータを組み合わせてみてみたが、ちゃんと30dBの通過損失が測定できている。

 なんといっても持ち運びやすいので、出先の実験などでアンテナやRFケーブルのチェックに役立ちそうだ。

2017/08/31

独立電源の実験#2 

 夏といえば、統合試験と環境試験が立て続けに始まる季節。発生する怪奇現象(不具合)を退治し、スケジュールで肝試しを行っていたら、いつのまにか夏は終わってしまった…

その脇で、前回手配線した独立電源試作機の実験結果をもとに基板のアートワークを行い、新型OBC基板と電源基板、化粧板をelecrowに発注。
KiCADのボードをVRMLで出力すると、Windows10の3Dビューアで簡単に表示することができる。

 5㎝角以下だと最安値になるので、試作にかかるコストはどんどん下がっている。 もう手配線はよっぽどのことがないとやらなくなってきた。

OBC644-10D rev:E

OBC基板もバグ修正と端子増設でバージョンアップしている。
・SPIとFTDI配列を統合し、GPIO2つとシステム電源電圧(3.3V)出力端子を追加。
外部基板のIC(デジタルセンサやレベル変換、バススイッチ)にもシステム電圧が必要だったのと、UARTとSPI用の制御用端子として新たにGPIOを引き出した。
ATmega644のGPIOピンをすべて利用できるようになった。



拡張基板スタック

OBC644用の拡張基板だけど、ピンヘッダ継ぎ足し地獄は無駄に階層が増えてしまうので、2層基板を2枚重ね合わせてみた。疑似的に4層基板となる。貼り合わせる面にクロストークが心配な配線は避けよう。
 

 裏面はSPI-ROMが2つ乗るので、そのエリアを避けて基板外形を設定。 OBC644基板は1mm厚、拡張基板は0.6mm厚で発注していて、張り合わせれば1.6mmの標準の厚みとなる。
 2つ重ねてピンヘッダにはんだ付けするので、貼り合わせでシビアな工程は特に無い。
今回は試しにu-bloxのMAX-M8Qと、マイコンの書き込み用に基板対電線コネクタ(GH5ピン)を搭載した。 単体でGPSロギングにも使えるだろう。
  アンテナはU.FLコネクタを設けて、外部から引き込む形にした。

電源系統&構造体

 

 手配線プロトタイプとほぼ同じ構成の電源系統とした。太陽電池は2系統入力可能。 キャパシタバンクの上流/下流のスイッチは逆流防止機能付きのロードスイッチにしている(ただし、ON時の逆流は阻止できないので理想ダイオード動作にはならない)
キャパシタバンクに使ったパナのゴールドキャパシタは18650セルとほぼおなじサイズになっていて、競合他社の製品よりスリムで細長いタイプ。 
 小容量の起動用コンデンサはいつもどおり単純化のためにショットキーダイオードORだが、順方向電流が100mA以下のものに交換した。1Aクラスにしてしまうと漏れ電流により、他の系統から逆流が起きてゆっくりと充電されてしまう。
 太陽光が常時あれば、大容量キャパシタを使わなくても、間欠駆動状態でテレメトリを送信可能。

 構造的には、電源基板が各基板のハブとなっている。キャパシタバンクの左右の空間に、FTDI配列対応の無線モジュール基板や、GPIO、UART、I2Cのセンサを挿して設置できるようにした。
 拡張要素はOBC基板の電源管理下にあり、OFF時にバス配線などを切り離せるようにしている。

 日照がない場合、外付けで電池を搭載することで安定して稼働させることができる。
下記は拡張ベイに単4電池をCRD経由で接続したもの。 大電流を取り出せない大容量の1次電池との組み合わせも考えられる。


電源基板自体にPIC12F用のパターンを用意したので、基板単独でも電源管理やOBC系統のリセット介入ができる。 



薄曇りの日没時に試験運用したときのデータ。 曇りなのでフル充電にはならず、テストのため1分毎に無線送信、3Vで送信停止なので、日没後1時間ほどで停止した。
 試作機ではデフォルトで2.7V以下になるとでマイコンのBORが働くが、 システム的には1.8Vまで動作可能なので、ヒューズビットの設定でBORを1.8Vに設定しなおした。

PCBアンテナ(おまけ)

 化粧板として発注する基板に、GPS L1用のPCBアンテナパターンを作ってみた。これでも測位できたが、あまり性能はよくなかった。VNAで測定してもらった結果、2.4G帯に感度があることが判明。思ったより短縮効果が無かった…。

 もともとパッシブアンテナを付ける場合、配線長は100mm以下で近接配置が推奨されている。 素子の特性が悪いと結構厳しい。
  
 とりあえずMAX-M8QのRF入力に同軸給電のための受動部品を追加して、市販のアクティブアンテナを取り付けて解決とした。
同軸給電に改造
AliexpressでGNSS対応のアクティブアンテナを入手して取り付け

過去に入手してあったアクティブアンテナ。 これはGPS L1のみ