たまたま、Chromebook C720/2 の中古を見つけて安く手に入ったので、Ubuntu専用機として環境整備をしてみた。
C720/2のスペックは、
Celeron 2955U(Haswell世代)
4GB RAM
16GB SSD(M.2)
USBポートが左右に一つずつ、オーディオジャックとSDカードスロットがあるだけの割りきった設計。
2~3万円でWindowsタブレットやWindows10の激安ノートが新品で手に入る時代だけれど、 ハードウェアに32bitOS縛りが無いものはその2倍程度になってしまう。
ファンレスではないが、最大負荷でもほとんど音が聞こえない、静かなファンを搭載している。
価格なりの点としては、液晶がTNなのと、キーボードの日本語配列は英字配列の枠をそのまま使って、キーを分割して詰めこんであるあたり。 やや慣れが必要だ。
ChromeOSそのものはブラウジングだけでいろいろ完結するので、ストレスなく利用できる。 スワイプ動作が秀逸。貧者のMacbookAirと呼ばれるけれど、北米では教育機関への導入でAppleのシェアを奪っているという記事もあった。
Linux機としての利用
ChromeOSそのものはlinuxカーネルで動いていて、Ubuntu等を利用する場合は3通りの方法が存在する。
ハードル(ChromeOS、ハードウェアへの影響度)の低い順だと、
1: croutonで、ChromeOSのカーネルを利用して、Ubuntu環境を追加で導入する。(開発者モード)
2: Chrxの導入で、予備のパーティションを利用してChromeOSとのデュアルブート環境を構築する。 (開発者モード、レガシーブートの有効化)
3: Ubuntuをクリーンインストールする。 (開発者モード、レガシーブートの有効化、USBブートの有効化)
一通りの導入を試してみた結果、自分の場合はクリーンインストールが最もストレスが少なかった。
もしSSDが16GBのままなら、デュアルブート環境では残り容量の点でかなり厳しいという弱点もある。
ChromeOS自体は、BIOS設定で失敗して文鎮化しなければ、リカバリメディアを作成していつでも復旧できる。
1はChromeOSにログインしてから、Ubuntuデスクトップへ切り替える形で、共存させて動かすことができる。 いろいろと制約はあるけど、一番お手軽だ。
2、3の方法ではBIOSの設定が必要。ChromebookのBIOSはChromeOS専用にカスタマイズされているので、通常は起動プロセスは遮蔽されている。 開発者モードに移行したChromeOS上から、コマンドでレガシーブートの有効化、USBブートの有効化を行う。
カーネルを触れる開発者モードと、レガシーブートへの移行には起動時のキー操作が必須になる。
2、3では起動時にCtrl+Lを押さないとレガシーブートに移行しない。 自動的にレガシーブートへ移行させるには、マザーボードの物理的なライトプロテクトスクリュー(ネジ)を一時的に外してBIOS設定をすることになる。 利便性のために、筐体の分解作業と保証を外れるというリスクがある。
1,2ではインストールした時点でChromebook用のパッチ適用やホットキー設定などが一通り済んでいるので、日本語環境の導入をすれば使えるようになる。 ただ、カーネルバージョンやパーティション設定などの制約があったりする。 しばらく試してみたが、必要なソフトウェアを入れることができなかった。
Ubuntu14.04 LTS日本語版の導入
日本語版をUSBブートでインストールする。 WindowsだとWin32 DiskImagerを使うと今のアーキテクチャで変な相性問題が出ない。
そのままだとタッチパッド、ホットキー、サスペンドと終了時ができないという問題が発生するので、USBマウスを使いながら、まずカーネルを3.19にアップデートする。
sudo apt-get install linux-generic-lts-vivid
これでタッチパッドのパッチが導入されたカーネルになる。そのままだとカーネルの過去のバージョンが/Bootを圧迫するため、いずれアップデート時に警告が出る。 不要なイメージは削除したほうが良さそう。
ホットキーとサスペンドの問題については、幾つかのファイルをgrubなどに追加する。下記のサイトが参考になった。
Fixing Suspend in Xubuntu on the Acer C720 – A Simplified Guide
周辺機器やバッテリ設定(TLP)などは、下記のサイトを参考にした。(カーネルについては3.19の導入で対策済み)
(Part 3/3) Clean Installing Linux on the Acer C720P/C720 Chromebook – A Complete Guide
FnキーはChromeOSのアイコン表示しかないので、Ubuntuでの利用を考え、自分でカスタマイズすることにした。
2年経っているモデルでもあり、情報が多くて助かった。 サスペンドに入れない問題が解決しなかったら、おとなしくChromeOSのままだったかもしれない。
現在はM.2 SSDを128GB(MyDigitalSSD)に換装して利用中。 (一部のSSDは電源管理の機能の有無によって相性問題があるようだ)
M.2規格は初めて見たけど、とても小さい。 現行の低コストなノートPCは、ほとんどがタブレットと同様にeMMCのオンボードになっているので、換装といった拡張性は望めなくなっている。 ノートPCがスマホ部品に依存しはじめている兆候なのだろうか。
個人的には配線された電解コンデンサとケーブルが、チップ固体コンデンサの単価より安いのか気になるところ。 |