手持ちの八木アンテナによる衛星追尾をしてみると、見えない衛星の導入を簡単にしてみたくなる。
…と思ったので思いついたのは、スマートフォンを八木アンテナに取り付け、ガイドさせるというもの。最近流行りのARだ。
昨今のスマートフォンは計算性能含めて立派なコンピュータと言えるが、センサを搭載したり、手のひらサイズだったりすることで、より人と環境にフレンドリーなデバイスに進化した。
今までの歴史に登場した様々な端末でも軌道計算は可能だが、iOSやAndroidでは加えて以下のセンサを使うことができる。
現在地→GPS
方位角→電子コンパス
仰角(姿勢)→加速度センサ
これらの連携により、計算機は軌道計算を観測者の現在地、方向を含めて算出することができる。
Androidには既に、「GoogleSkyMap」のような角度+コンパス+GPS座標を使ったAR天体ビューワーソフトが存在するし、すでにToriSatのようなISSビューワが親しまれている。
今回は任意の衛星を導入したいので、TLEを入力できる汎用なものが必要になりそうだ。
TLEとは地球軌道上の衛星の軌道要素のフォーマットで、軍事以外の宇宙機はすべて登録されている。
PCの軌道表示ソフト「Orbitron」のようなソフトは無いだろうか。
今回は任意の衛星を導入したいので、TLEを入力できる汎用なものが必要になりそうだ。
TLEとは地球軌道上の衛星の軌道要素のフォーマットで、軍事以外の宇宙機はすべて登録されている。
PCの軌道表示ソフト「Orbitron」のようなソフトは無いだろうか。
・・・で、たまたまAndroidマーケットで検索したところ、まさに上記のことができるアプリを発見。作る人はいるものだ。
「DroidSat」
GoogleSkymapのようなAR感で、TLEデータをダウンロードして座標とともに表示してくれる。 今のところ、目的の衛星の現在地を眺める以外はほとんど機能が無いので、改良に期待するか、同じようなアプリを自作するべきなのかもしれない。 手持ちの端末がAndroid1.6止まりなので、他にもよさそうなアプリがありそうな気はする。
試作
6素子の500円アンテナにAndroid端末(HT-03A/HTC magic)を取り付けてみた。
うーん、それにしても見た目が・・・
せっかく追尾するからには、もうちょっとアンテナ自体の指向性を増したい。6素子だと16方位の指示くらいでもよさそうな気がする。
結果としては、かなりよかった。
PCでやると方位まではわからないので、おおよその範囲を探すことになる。地面に置いたPCで衛星の角度を確認して、アンテナを向け直し、目的の衛星の周波数サーチや受信周波数のドップラー補正までこなすのはかなり面倒な作業だが、ARだと手持ちの装備でガイドと受信が完結するので割り込みが減ってとても楽になる。
週末のアマチュア衛星の交信や、大学衛星のビーコンなどの受信も成功した。特にISS高度の衛星やデオービット間近の衛星は足が早いので、ドップラー補正まで自動化できたらかなり本格的な道具になるかもしれない。
理想型
iPhone版AR_GS(Ground Station) |
スマートフォンの現在の機種であれば、TLEによる導入支援に加えて、イヤフォンジャックからの音声録音&電波解析も出来るのだろう。電波を出さないのであれば、無線機はSDR受信ドングルという形での接続もありうる。Bluetoothやソフトモデム経由で外部アクチュエータをつなぎ、追尾作業も完全自動化なポータブル地上局も作れる。
実はArduino程度でもTLEから軌道計算ができる。ということでもっと組み込んだ形でもARアンテナが作れる。デジタルコンパスとGPS、加速度計を揃えるとローコストとは言い難いけど、無線機の周波数制御とあわせて自動化するアプローチの一つだ。
スマートフォンのもう一つの強みはネットワークの構築。スマートフォンならアプリ内でSNS連携を行い、受信者同士をつなげることが簡単だ。イベント化させた草の根活動にはいいかも。
無線免許資格者であればアップリンクも出来るので、法令では出来ない無人局からの送信の代替案となったり・・・するかもしれない
参考文献とお借りしたもの
DroidSat http://sites.google.com/site/droidsatproject/
電波受信まとめ(自家記事) http://kemushicomputer.blogspot.com/2010/12/blog-post_18.html
500円八木アンテナの改良版(自家記事) http://kemushicomputer.blogspot.com/2011/03/500.html
Orbitron http://www.stoff.pl/