MSP430FR5969 LaunchPadで最近遊んでいる。
低消費電力前提のアプリケーションや、FRAMに変数を置く使い方を試しているところ。デバッガに搭載されたEnergyTraceも、消費電流を細かく観測できて面白い。
手元のボードで問題が起きたのは、Energiaで試そうとして、デバッガをアップデートするという表示が出た時。 アップデートを選択したところ、失敗したというダイアログと共に、COMが消え、デバッガの緑色のLEDも消えてしまった。 USB経由ではケーブルを挿しなおしてもまったく認識されない状態に陥った。 裏のソフトウェアのバージョンが古かったのかもしれない。 もうすこし調べておくべきだった…。
USB経由のブートローダーが生きているはずだが、接続しても何も出てこない。 文鎮化していた。
仕方ないので、デバッグのインターフェースについていろいろ情報を集めた。
新しめのLaunchPadに搭載されたデバッグ部分は、ez-FET Liteというもので、いろいろなマイコンをデバッグ可能らしい。 調べるとオープンソース用のパッケージがあった。
リビジョンは1.1で、ソフトウェア、回路図、ドキュメントが含まれている。
http://software-dl.ti.com/msp430/msp430_public_sw/mcu/msp430/MSP430_ezFETLite/latest/index_FDS.html
部品発注も兼ねて、もう一台新しいLaunchPadを発注…。
(モノが届くまでに、UART BSLによる書き込みを試してみたが、上手く認識できなかった)
手順
ボードでの作業
MSP-EXP430FR5969 Hardware Design Filesの回路図、レイアウト図を参照
・ターゲットとなるデバッグボードの、3ピンと7ピンのスルーホールにコネクタをはんだ付け
・書き込み側のLaunchPadのターゲット側のジャンパピンを全て外し、単独のデバッガとする。
・書き込む側の EZfet-VCC, GND, TEST, RESET へ接続。
書き込み作業 (作業環境: Windows7)
MSP-EXP430FR5969 Software Examples
eZ-FET lite rev 1.10 Release Package
が必要。
・書き込むファイルは、eZ-FET lite rev 1.10 Release Package/Firmwareフォルダ内のEZFET_LITE_Rev1_1_FW_3_3_0_6.txt
MSP-EXP430FR5969 Software Examples/Binaryの中に、任意の名前で新しく作成したフォルダをつくり、ファームウェアのtxtファイルを持ってくる。
・Binary内の任意のサンプルフォルダから、バッチファイルをコピーし、作成したフォルダにファームウェアとともに設置。 このバッチファイルをテキストエディタで編集し、ターゲットマイコンの名前(MSP430F5528)、書き込むファームウェアファイルの名前に書き換える。
このバッチファイルは、Software Examples内に同梱されている、MSP430Flasher.exeという書き込み用プログラムを呼ぶためのものだ。
デバッグ側の接続が間違っていなければ、バッチファイルを起動すると書き込みが行われる。
完了後に配線を外し、USBケーブルで接続すれば、緑のLEDが点灯し、認識が行われる。
動作チェックのために、FR5969用のExampleの書き込みを行ってみると、MSP430Flasher.exe がファームウェアの更新を薦めてくる。更新を選択すると、新しいファームウェアがロードされた。
CCSでLチカサンプルをビルドして、デバッグを行ってみると、またファームウェアがアップデートされた。 enegyTraceも動作しているので、元通りにできたようだ。めでたしめでたし。
すこしサンプルを修正して、1HzのLチカで消費する電力を可視化したところ。 消費電流デバッグが統合されているのはとても便利。
デバッガのバージョンは、CCSでは常に最新のファームウェアがロードされる。Energiaでは古いMSP430.dllが使われているようで、そのあたりが文鎮化の原因なのかもしれない。
TIからMSP430Flasherをダウンロードして、Energia内のMSP430.dllとHAL.dllを置き換えると上手く行くとあった。 実際、dllを置き換えた後はEnergia上でのアップデートに成功している。
http://forum.43oh.com/topic/5683-energia-0101e0012-and-msp430fr5969/page-2
ということで、せっかく2個もあるし、しばらくは片方をCCS専用にして、もう片方をEnergiaとLinux向けのファームウェアと分けることにした。