ハンディな広帯域受信機DJ-X11でモビールアンテナを家の屋根にくっつけてみたところ、田舎の山に近いところなので聞こえてくるものといえば地元のラジオと短波、それにACARSのパケット音くらい。
そこで、ためしにAPT受信を試みた。 これはNOAA衛星からの気象ファックスで、高度800kmから137MHz付近で放送されている画像を受信することで、比較的簡単に雲画像を得ることができるサービス。
DJ-X11ではKG-APTという便利なソフトを使うと自動受信が可能。
おお・・・左に日本列島の太平洋側が見える! なかなか楽しい。
しかしこれだけの画像が受信できたのはこの日だけで、あとは信号が小さくノイズだらけのパスばかりだった。小さいモノポールアンテナでは向いてないのは最初から分かってたが・・・。
QFHアンテナ
空を駆け巡る衛星から電波を安定して得る方法はいろいろ存在する、指向性の強い八木アンテナで追尾するものから、全方位に感度を持つアンテナで固定運用、まで。
NOAAのAPT受信ではQFHアンテナを使うのがメジャーらしい。
QFHは無指向かつ、偏波の変動に強い方式。
ならばこいつを作ってみようということで、とりあえず針金を一巻き揃えた。
430M帯用アンテナの試作
アンテナ工作自体は、こちらのサイトの情報を参考にして、このサイトで寸法を計算。 組立用の寸法でみると137MHz用はとても大きく、縦で70センチ近くなる。 ということで436.5MHzに合わせた小型衛星用アンテナをまず作ってみた。 こちらは縦が30センチ。 小さいので作りやすい。 QFHアンテナでは長めの素子、短めの素子を組み合わせてひねり、2重らせんを作る。(捻る方向は注意)
泡立て器1号 |
素子の上下の固定にはペットボトルのフタを使った。底部にもう一つ貼りつけて、いざとなればペットボトルを土台にできるようにする。 あまり深い意図は無い。
素子同士の接続は圧着端子で行った。
前回超軽量八木アンテナで使っていた鰐口クリップ使用の接続コネクタ。 これを使い回す。
このように素子との接続をワンタッチで行えるため、面倒なハンダ付けを回避できた。
性能
雪原に木の棒をさしてその上にアンテナを載せてみた の図。 このときは雨が降ってきたので諦めた。
夜に窓際に置いて小型衛星を待ち受けたところ、南の方から上がるパスのKKS-1、PRISM のCWが明瞭に聞こえてきた。 角度は12度くらいからだったと思う。(山もそれくらいあるのでなんとも言えない)
窓辺なので視覚的には天頂と北側が見えないのだが、このアンテナだと北にEL30度くらいまでは弱まりながらも波形が確認された。 まんべんなく電波を受信していたようだ。 固定運用には使えそう。
137MHz
NOAA衛星はそう頻繁に現れないので、夜に完成したときはACARSのビーコンを聞いたりして、だいたい136MHzに感度のピークが来ることを確かめた。 天候が回復したら、こんどこそはこいつでAPTを受信してみたい。
コスト
25m498円の針金と廃品だけで出来ているので、単価でみれば限れば500円以下で実現できるのではなかろうか。 針金一巻きあれば、いろんな波長のアンテナを試作するのには困らないだろう。(受信に限れば)
ちゃんとした性能を求める場合は、SMAコネクタなどをはんだ付けできるように真鍮の針金を使うと良いだろう。
参考
気象衛星NOAA用 受信アンテナの製作(QFHアンテナ1)