GoogleMap、ふたつのOS(iOS,Android)、A-GPSの3つが組み合わさることで急速に統合されたモバイルGPS業界。
どちらかというとWindowsCE時代のスタンドアロンなGPS機能に慣れ親しんできたので、最近のトレンドを若干誤解していたのだが、スマートフォンのGPS機能はネットワーク依存の比重がとても大きい。
ネットワーク以前の情報端末におけるGPSはスタンドアロンなナビゲーションだった。高価な地図データをカードにおさめて、高感度を売りにするSiRFなどの専用SoCをつかう図式である。Garmin社の専用GPS端末やカーナビと同じ図式だ。
対して携帯電話は早くからA-GPSを搭載した。A-GPSにおいて、端末は衛星から時刻情報だけ入手し、基地局から位置情報を提供してもらう。
基地局を頼ることで、測位までの時間の短縮、GPSの苦手な都市部での測位を実現した。
地図はもちろんサーバーからサービスとして入手する。オンラインであることが前提だ。
なのでA-GPSは携帯の機能を提供するベースバンドチップにも早々と組み込まれている。
(もちろんほとんどの機種では単独測位が可能)
そしてスマートフォンはケータイと同じく通信インフラが前提にある。調べたところでは、Andoroid端末のほとんどがベースバンドチップのGPS機能を利用しており、iPhoneや一部のAndroid端末のみがBroadComなどの専用チップを利用している。Appleも専用SoCにこだわりがあるわけではないようで、CDMA版iPhoneでは統合機能を利用している。
意外にもかつては主流だったSiRF系の専用チップを組み込んだ端末は全く見当たらない。ハイエンドなGPS端末で有名なGarmin社が手がけたAndroid端末は売上げで苦戦しているらしい。
つまり、かつてのPDAと携帯を融合させたスマートフォンは、ネットワーククライアントへ変化すると共に、位置情報もネットワーク利用を前提にしたということだ。逆にPDA時代のGPSソリューションは、カーナビ端末として専門化され現在に至っている。OSが遮蔽されているから誰も気にしないけれど。(なので、WindowsCEの隠れシェアはかなりあったり?)
以前みちびきに対応したGPSチップを載せた端末が出回っていると書いたが、そのころはスマートフォンにも早速対応してくれるだろうと思っていた。
だがAndroid端末の例をみても、そのためだけに専用SoCを各社端末が載せるかどうかは甚だ疑問だ。ただソフトウェア的な改修で済むので、統合チップの機能として提供されるハードルはそんなに高くない。現在、各国がそれぞれ独自GPS衛星を打ち上げつつあるため、将来的には全タイプの衛星から信号を受信するモデルが主流になるだろう。
問題は、現状において既にA-GPSと利用範囲が被っているという点だろうか。 ただ、通常の使い方でも、天頂付近で測位に使える衛星が1機増えれば精度は上がるし、みちびきのために拡張されたID番号を使い、屋内の送信機から、位置情報とメッセージを配信するという計画もある。
スマートフォンで高精度測位を生かせるアプリケーションはどう増えるだろうか。ライフログ関係では、ジオタグつき写真のような利便性と、第三者による個人情報の類推材料となる間で揺れている。
いま衛星を使って測位しているのか、ネットワークによる簡易測位かの区別が曖昧になっているように、普通の人であれば今後はGPSが使われているということすら意識しない使い方が増えていく。 そういう点では、匿名化された個人の位置情報の定期送信が義務付けられて、渋滞情報や都市設計の解析などに活用されてほしいものだ。インフラ災害の防止、低減や災害時の救助にも役立つだろう。(えっ、ビッグブラザー的思想だって?)
A-GPSとは(ケータイWatch)
http://k-tai.impress.co.jp/docs/column/keyword/20100223_350721.html
http://k-tai.impress.co.jp/docs/column/keyword/20100223_350721.html
Qualcomm gpsOne (A-GPS)
http://www.qualcomm.co.jp/innovation/stories/gpsone.html
※GPSチップといえば、MTMで見たAndroid開発用ボードにはMN1010とか載ってた記憶が…
http://www.qualcomm.co.jp/innovation/stories/gpsone.html
※GPSチップといえば、MTMで見たAndroid開発用ボードにはMN1010とか載ってた記憶が…