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GPSユニットの比較

GPSユニットを比較してみた。

経緯: 2008年に、秋月でGPSユニットを手に入れて遊び、しばらく放置していた間に、いろんなユニットが入手しやすくなっていたので、いくつか見ているところ。
2年もしないうちに、高性能なセンサとかユニットが普通に売られているようになった。

(お粗末な経緯としては、最近GPSユニットを手に入れたら、期待していたものと違ったので、比較対象として成仏させる必要が生じたから、という・・・)

Sparkfun製のちいさなGPSモジュール。 12チャンネル(捕捉可能衛星数) ちょっと値が張った。
なにをやっちまったかというと、同じような大きさ、形で、SiRFStarⅢを搭載したユニットがあり、そちらを買うつもりだったのだ(泣) 自分のせいなのでしょうがない。

出ているピンも、電源ピンとTx端子のみ。LEDは測位可能になった時点で点灯するようだ。

唯一の利点は、そのシンプルさ。 Arduino FIOにも無改造で付いた。
小ささを生かした開発に使いたいものですね。(おまえなんてさぼてんのGHS時計にしてやる!)

次は本命、Sparkfun EM-406A 
SiRFStarⅢチップ搭載の20チャンネル高感度GPSモジュール。

そこそこの大きさだけれど、外付けは一切ないためコンパクト。 
Sparkfun曰く、もう古くなりつつあるユニットですが、どうでしょう。

3: GPS-52 レシーバー(秋月電子)
2008年頃に秋月で初めて出てきたGPSユニット。 

当時からGPS誘導のロボット製作に関わっていたので、これは研究用に買って、シグマリオンにつけて歩き回っていた記憶が。
古いカーナビ用らしく、SiRFStarⅡですが、測地系がTokyoだったりして、癖のあるユニットです。

このたびジャンク箱から蘇り、別なプロジェクトの試験機として余生を送っておられたところ。グランドプレーンと外付け回路が結構場所とってます。

かくして三種類のユニットが揃ったのだった・・・

<消費電流>


お約束の消費電力を測定。電圧はすべて3.3Vで動作させた。
(データシートは4~5Vだったりするが、内蔵レギュレータの降下電圧分とみた)
非測位時の値が以下となる。

Sparkfun   SiRFStarⅢEM 406a 35mA
Sparkfun  GPS MiniMod          46mA
秋月     GPS-52               64mA

EM-406Aは流石というべきか・・・ 
意外にもGPS Miniモジュールのほうが消費電流が多め。外見によらず・・・

秋月のやつは結構食っている模様。ただ後発のGPSユニットGT-730FL)は、発熱、消費電流が多いらしい(初期ロット180mA 、追記:後期では下がっている様子)。
そう考えると、皆優秀なほうなのか。 30mA程度のユニットなら、FT232RLの3.3V出力でも駆動できてしまう。 GPS-52はさすがに駆動できないので、USBの5Vからシリーズレギュレーターを介して生成しています。


<即位測位>


深大寺公園の駐車場で、3つのモジュールに衛星を補足させて順番に記録し、GoogleEarthに表示。
座っていたところはだいたいEM406Aの測位地点内

EM-406Aは、ホットスタートの速さ、ズレの少なさ共にダントツ一位。 高度もズレが少ない。
DGPSも作動。
GPSMiniModの場合、補足さえ済めばほとんど同じ。 ちょっとズレ気味? 安定はEM406Aに劣る。
緑の円は、測位直後のフラつきなので無視してよい。
フラつきが406Aよりは多め。
GPS-52はそもそも測地系が違うため、コマンド入力による変更を諦めて、変換ツール(POT2KML)で換算したもの。
安定後は、判で捺したように同じ位置から動かなかった。 たしか自動車用なので、止まってると不都合があった気がする。 StaticNavigationが働いているのかな?


以上、ユニット間の簡易比較でした。 Sparkfunには他にも10Hz更新65chモジュールもあるけれど、ここまでくると知りたくなってきたな (おい 
 
あとで聞いた話、65chモジュールは場合によると安定しないことが多いみたいで。


<周辺機器>

PCへの接続は、使い易いよう改造した秋月のFTDIシリアル変換器で、電力も供給。 
このユニットはもともとArduino Pro( あるいは FIO)用の書き込み機として作成したもの。ピンソケットの配列はSparkfunの書き込み器に準拠。

 改良点としては、ボードの動作電圧に応じて3.3Vと5Vを使い分けられるようにスイッチを付けた。 (もちろん、オリジナルは取り違えないようにあえて分けてあるのだろう・・・)
 ジャンパー線でGPSモジュールを接続。

<ターミナルソフトなど>

海外のサイトで知った、RealTermが便利(シリアル通信の細かい設定ができる、コマンド送付し易い)
http://realterm.sourceforge.net/
Pot2KML (ログをKMLに変換、同時に測地系も変換できるので、GPS-52には便利)
http://www.geocities.jp/zymmt/
NMEA.モニター Ver1.60 GPSの監視と、記録に使用しました。
http://homepage2.nifty.com/k8/gps/indexj.htm

協力 akr氏 夜明け前にわざわざ公園まで同行してもらった GPS「即位しました」は、彼の自宅の車が元ネタ (誰得)

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