スキップしてメイン コンテンツに移動

小さな太陽電池パネルを作る


2センチ角程度で、開放電圧5V程度の太陽電池パネルが見つからないので自作してみた。

出来たもののスペックは、22x22mmで 4.5V 10mA。単結晶シリコンのモジュールとなった。

・・・・

100mW以下の太陽電池を選ぶときは、開放電圧におおよその最適動作点となる0.8を掛けた電圧が、負荷となる回路の動作電圧に近いものを選ぶと、自然とインピーダンスが合うので無理が無い。

お手本になったソーラーLEDライトの太陽電池の開放は4.5~5V付近で、8割だと3.6~4V付近となる。LEDに3.5V程度必要なので、その充電池を充電するのにちょうどよい値となっている。

 キーライト用途のほとんどはアモルファスシリコン。取り出してしまうと、ガラス基板なので結構デリケートだ。
 安いけれど効率はそれなり。写真のパネルで直射日光下で1~3mA程度。

 電池を1Fの電気二重層コンデンサに置き換え、PICを動かしてみたり(過去記事)しているけど、もう少し効率的なものが欲しい。 大きさに制限のあるものに組み込もうとすると、効率が低いことをカバーしようとすれば、負荷を軽減するしかない。

 ある程度の高効率を求めて、次に手を出してみたのが多結晶シリコンのパネル
中国の業者から輸入してみたもの。 モーター付きおもちゃなどに使われているもの。

 パネルは多結晶シリコンを基板に乗せて、エポキシ樹脂で封入したタイプ。
 ただ、小さいパネルは開放電圧が0.5Vだったり、1.5V程度のパネルしか見つからず失敗。
 いくつか直列につなげるしかなくて、せっかく正方形でも単体では生かしにくい。

 足りない電圧は昇圧という手段もあるけれど、実用的なのは数Wレベルのパネルでの話で、100mW以下だと変換効率によるロスが大きくなるという。

昇圧前提で真面目に考えるなら(若干観点がおかしいが)、家庭用ソーラパネルの単結晶セル(120x120mm)を買って、1枚をMPPT回路内蔵の昇圧ICで昇圧するのがちょうど良さそうだ。

………

ということでセルを買ってパネルを作ることにする。無いなら作るしかないじゃない!


アメリカの業者(SolarMade)から購入したのが、単結晶シリコンのセル。単セルで0.5V 10mA。 いくつかある中で一番小さなもの選択して、小面積で電圧を稼ぐ方針。
これを9個直列にするために、ユニバーサル基板に手作業で取り付けた。


セルを1枚カプトンで貼り付けてから、2箇所のスルーホールに裏からハンダを流し込んで、セルの裏面をハンダ付け、全部固定したあとに、電極間の接続はワイヤをほぐして取り出した単線を使った。 基板を起こしたらリフローに切り替えよう…。

効率測定
今までのパネルと効率の違いを簡単にくらべてみた。

 1F 5.5Vのスーパーキャパシタを使って、以前基板に載せたアモルファスシリコンパネルの2個並列バージョンと共に、電圧増加にかかる時間を比べてみた。 ちなみに面積はアモルファスシリコンのほうが3倍くらいとなる。
 増加時間はバラバラに測ったのであくまで傾向の確認だけ。

比較したもの

結果は、短絡電流の計測値による推測とだいたい符合した。 アモルファスシリコンの方は面積3倍くらいあるにもかかわらず、実際の効率はかなり低かったのだなあ、と。 アモルファスのパネル1枚と比較したら、自作パネルは8~9倍の差を出していることになる。

 GaAsセルには手が出ないので、現状では最も高効率な小型パネルとなった。

単結晶/多結晶シリコンの効率については、あくまで直射日光下での話なので、室内光ではアモルファスのほうが有利かもしれない。

正方形にかぎらず、セルの配置を変えれば、ロボットに貼り付ける際の自由度も上げることができそう。SolarSpinnerの設計をやり直すと面白そうだなあ。


試験用基板にはMSP430を取り付けて、発電量モニタを作ってみようと思う。


Popular posts

Arduino Nano Everyを試す

 秋月で売っていたAtmega8と、感光基板でエッチングしたArduino互換ボードを製作してみて、次に本家ボードも買って…  と気が付いたら10年が経過していた。  ハードウェア的な観点では、今は32bitMCUの低価格化、高性能化、低消費電力化が著しい。動作周波数も100MHz超えが当たり前で、30mA程度しか消費しない。  動作電圧範囲が広く、単純な8ビットMCUが不要になることはまだないだろうけど、クラシックなAVRマイコンは値上がりしており、価格競争力は無くなりつつある。 そしてコモディティ化により、公式ボードでは不可能な値付けの安価な互換ボードがたいていの需要を満たすようになってしまった。     Arduino Nano Every https://store.arduino.cc/usa/nano-every https://www.arduino.cc/en/Guide/NANOEvery  そんな中、Arduino本家がリリースした新しいNanoボードの一つ。  他のボード2種はATSAMD21(Cortex-M0+)と無線モジュールを搭載したArduino zero(生産終了済み)ベースのIoT向けボードだが、 Nano EveryはWifi Rev2と同じくAtmega4809を採用していて、安価で5V単電源な8ビットAVRボードだ。  Atmega4809はATmegaと名がついているが、アーキテクチャはXMEGAベースとなり、クラシックAVRとの間にレジスタレベルの互換性は無い。   https://blog.kemushicomputer.com/2018/08/megaavr0.html  もちろん、ArduinoとしてはArduinoAPIのみで記述されたスケッチやライブラリは普通に動作するし、Nano Every用のボードオプションとして、I/Oレジスタ操作についてはAPIでエミュレーションするコンパイルオプション(328Pモード)がある。 公式のMegaAVR0ボードはどれもブートローダーを使わず、オンボードデバッガで直接書き込みを行っている。  ボードを観察してみると、プログラマ・USBCDCとしてATSAMD21が搭載されている(中央の四角いQFNパッケージ)MCU的にはnEDBG

【サボテン】太陽電池の結線

 久しぶりにサボテン計画。 忙しかったり投薬治療直前でだるかったりして、かなり放置していた。 さぼてんも不機嫌そうだ。 せっかくなので、園芸用の水受けに移す。  関節痛で寝込んでる間に、エイプリルフール終わってましたね^^・・・。  太陽電池の展開機構を想像したが、まずは太陽電池の結線を済ませよう。  配線を綺麗にまとめたくていろいろ探していたら、千石電商でぴったりなものを見つけた。 LEDリング基板 というらしい http://www.led-paradise.com/product/629?  本来はチップLEDをリング状にまとめる代物。 イレギュラーな使い道だ。   今度は小径のを買って、GX200のリングライトに仕立て上げよう。   嬉しいことにフレーム径にジャストフィット。 配線を綺麗にまとめられた。   太陽電池の接続部。逆流防止用にショットキーダイオードを入れている。 かなりスッキリ。 蛍光灯下 500ルクスでの実験。 EDLCは10Fを使用。  ちゃんと充電が行われている。 といっても、とてもとてもゆっくりとだけれど・・・。

ATmega4809(megaAVR0)を試す

megaAVR 0という新しいAVRシリーズを試してみた。  小さいパッケージなのに、UARTが4本もあるのが気になったのがきっかけ。 登場すると噂の Arduino Uno Wifi rev2  にも採用されるらしい。  簡単にデータシートを眺めてみると、アーキテクチャはXmegaシリーズを簡素化し、動作電圧範囲を広げたもののようだ。  CPUの命令セットはAVRxtと新しくなっているが、Xmegaで拡張された一部の命令(DESやUSBで使われる命令)が削除されていて、基本的に今までのATmegaとほぼ同じだ。  コンパイラからは、先に登場した新しいtinyAVR0, tinyAVR1シリーズと共にAVR8Xと呼ばれて区別されている。  CPU周りを見てみると、割り込みレベルなど、今までのクラシックなATmegaで足りないなと思っていたものがかなり強化されていた。 ArduinoAPIを再実装するとしたら便利そうなペリフェラルもだいたい揃っている。 データシート P6  DMAは無いけれど、周辺機能にイベント駆動用の割り込みネットワークが張り巡らされているのがわかる。  できるだけCPUを介在させない使い方がいろいろ提案されているので、アプリケーションノートやマニュアルを読み込むことになる。 ピックアップした特徴 ・データメモリ空間(64kB)に統合されたFlashROMとEEPROM ・RAM 6kB ROM 最大48kB (メモリ空間制限のため) ・デバッグ専用の端子 UPDIを搭載 ・優先度付きの割り込み(NMIと2レベル) ・ピン単位の割り込み(かなり複雑になった) ・リセットコントローラ(ソフトウェアリセット用レジスタが実装され、リセット原因が何だったかもリセット後に読み出せるようになった) ・豊富な16ビットタイマ(4809では5基) ・16ビット リアルタイムカウンタ(RTC) ・豊富な非同期シリアル/同期シリアル(USART 4ch、SPI 1ch,TWI 1ch) ・内蔵クロックは最高20MHz(PLL)と32kHzの2種類。外部クロックは発振器と時計用水晶のみ ・ADCは10bit 16ch ・内蔵VREF電圧が5種類と多い(0.55V,1.1V,1.5V.2.5V.4.3V

GPSアンテナをつくる

GPSアンテナを作ってみた。 1575MHzの波長は約19cmなので、半波長で9.5cmとなる。 GHz帯とはいえ、結構長いものだなぁ。 セラミック等の誘電体がなければ、平面アンテナで真面目に半波長アンテナを作ろうとすると手のひらサイズの面積が必要になってしまう。 普通のダイポールだと指向性があるので、交差させてクロスダイポールにする。 屋外地上局のアマチュア衛星用アンテナの設計をそのまま縮小したもの。 水平パターンはややいびつ 92.2mmの真鍮の針金(Φ=0.5mmくらい)を2本用意して、42.3mmで90°に曲げる。 長さの同じ素子同士を並べて配置する。 (全長が半波長より長い素子と短い素子が交差した状態) 片方をアンテナ信号線、もう片方をGNDにつなげば完成。 実際5分くらいでつくったけれど、果たしてどうだろうか。 今回は、道具箱に眠っていた表面実装タイプのMT3339系モジュールに取り付けた。 アンテナはもともと3x1.2mm程度のとても小さいチップアンテナで、 LNAが入っているけど感度が悪かったのでお蔵入りしていた代物。 最近の携帯機器はみなアンテナに厳しい。 さて・・・ クロスダイポール版モジュールをPCでモニタしたウインドウ(左)と、QZ-Rader画面 東側に建物遮蔽があるので、そちら側の衛星はSNが悪い。 とりあえず補足できた衛星数はシミュレーションされたものとほぼおなじだった。 アンテナの角度をいろいろ振って、逆さまにしてもロストすることはなかった。 セラミックのパッチアンテナレベルにはなったかな・・・。 簡単にできてそれなりに測位するけれど、携帯性は皆無になった。 あと、近接周波数の干渉を受けやすいかもしれない。 GPSアンテナのDIY例としては、QFHアンテナもある。 ラジオゾンデなどで使われている例がある。 いつもお世話になっているQFHアンテナ計算シートのサイト https://www.jcoppens.com/ant/qfh/fotos_gps.en.php ヘリカルアンテナは加工精度の難易度が上がるので、今回はクロスダイポールにした。 GNSSとなると、複数の周波数のために調整されているセラミックパッチアンテナが有利だと思う。 セラミックパッチア