スキップしてメイン コンテンツに移動

Cubesatで使われるPC/104規格

海外のCubeSatはCubeSatkitの系譜で、PC/104規格の基板を採用している例が多い。

PC/104とは小型の産業用ボードコンピューターの規格のこと。デスクトップPCのマザーボードとして一般的なPC/AT規格との違いとして、PC/104は計測、制御、通信インターフェース等を増設するために、縦に基板を積み重ねられるようになっている。

 基板同士は連結ピンソケットを介して繋げられている。
 元々はPCのISAバスを連結するためのもので、規格名も104ピンのコネクタを使うことから来ている(らしい)。 現在はISAバスを使うものは少ないので、PCIバスを連結するものが多く、こちらはPC104-PCIやPCI104と呼ばれ、ISAバスとは別に基板間コネクタが指定されている。 PC/AT規格のマザーボードのように、ネジ穴、基板間コネクタの位置が規定されている以外は比較的自由で、様々なコネクタが横からつきだしていたり、製造元やアプリケーションごとにかなりバリエーションが見られる。

Pumpkin社のCubeSatkitは、PC104ボード資産を活かせるようにしつつ、主要なコネクタ接続にはPCI信号のコネクタを使用している。 規格準拠の独自ボードはISAのコネクタを実装しないものが多い。基板外形は上手いこと1Uの構造外形に収まるようになっていて、欧米の大学衛星ではほとんどデファクトスタンダードとなっている。
 過去には、PC/104規格の産業用ボードコンピュータをそのまま搭載した例があったが、最初からCubeSat用に作られた基板のみの場合が大半と思われる。
 
CubeSatkit サイト
http://www.cubesatkit.com/

PCB外形
http://www.cubesatkit.com/docs/CSK_PCB_Spec-A5.pdf

 打ち上げ機会の増大により、参入、開発期間/コストの削減、信頼性の向上要求が増大している。   ただ、基板の規格はあくまでベースなので、分業体制を構築できないと特定企業のフルセットを購入しない限りメリットは薄そうだ。 日本では採用した所ってあるのだろうか…。

(番外編) Original Standard (オレオレCube規格)


本格的な利用は置いといて、自分で作る基板も何かしらの規格化を行っておくと後が楽になりそうだと思い、これまでも趣味でPC/104もどきな構造を入手しやすいユニバーサル基板をベースに作ってきた。 
 汎用を求めすぎて全体設計に失敗する段階にあった頃の自分は、とりあえず制約条件として、CubeSatみたいに、立方体のスタック構造で機能を分けて作ってみよう、程度の動機で始めたのだが…。

PC/11(仮)


 これはユニバーサル基板(UP-204GSR)をスタックするために作ったもの。 この基板を、10mmスペーサと標準的な連結用ピンヘッダで連結して立方体をつくると、ちょうど東急ハンズで購入できる50mmのプラスチックキューブに収めることができる。ピンヘッダ1列で11ピンなので、PC/11。 ちょっと足りないので2列(22ピン)ほしいなぁと作ってから思った。
規格に沿って製造したものとして、データロガー基板MORIKAWA_LOGがある。

PC/40(仮)

立方体教へようこそ

最近目をつけたのはB基板。95x72mmあるので、評価基板やブレイクアウト基板を載せて、余裕のあるブレッドボードモデルが組みやすい。 PC/11では屋外で機能評価するにはなにかと窮屈すぎたので、こちらはモニタリング用のセンサやIFを組み込む余裕を見込んでいる。ネジ連結なので強度の余裕もある。

連結用ピンソケットは40ピンタイプを使った。 ピンソケット同士を連結すると、10mmの連結スペーサでは高さが足りないので、調整のためすべてワッシャを嚙ませている。

わざわざ72mm角の正方形に基板を加工しているが、見た目にこだわってしまっただけなので、立方体縛りがなければ外形加工せずそのままスタックするほうが明らかに便利だろう。 そうして脳が規格化に縛られ始める…。

PC/11 実装例

PC/40 実装例
 スタック型の基板にはひとつ欠点がある、それは一度組み上げると真ん中の基板にアクセスするために、全部ばらさなければならないということ。 規模が小さいうちは良いのだけれども…
 構体がある程度大きくなってくると、基板を固定するパネル構造を取り外し可能にしたり、井桁構造に組み付けるほうがメンテナンス性が良くなる。


某計画で圧力容器内に設置するために制作した構体の初期案。 よくあるスタック型。
一応各階ごとに分離することはできたが、電装ハーネス処理を考えてなかったのでボツになったもの。 構造はMDFで、ホームセンターの加工サービスを利用。

Ver:2 大型のバッテリを中央の柱状空間内部に配置。 取り外し可能な板を4面に設置して、ネジ付きスペーサーで固定できるようにした。 基板や記録装置を4枚の板に組み付けて固定する。 柱と板の間に隙間があるので、電装の引き回しもしやすい。

Popular posts

【サボテン】太陽電池の結線

 久しぶりにサボテン計画。 忙しかったり投薬治療直前でだるかったりして、かなり放置していた。 さぼてんも不機嫌そうだ。 せっかくなので、園芸用の水受けに移す。  関節痛で寝込んでる間に、エイプリルフール終わってましたね^^・・・。  太陽電池の展開機構を想像したが、まずは太陽電池の結線を済ませよう。  配線を綺麗にまとめたくていろいろ探していたら、千石電商でぴったりなものを見つけた。 LEDリング基板 というらしい http://www.led-paradise.com/product/629?  本来はチップLEDをリング状にまとめる代物。 イレギュラーな使い道だ。   今度は小径のを買って、GX200のリングライトに仕立て上げよう。   嬉しいことにフレーム径にジャストフィット。 配線を綺麗にまとめられた。   太陽電池の接続部。逆流防止用にショットキーダイオードを入れている。 かなりスッキリ。 蛍光灯下 500ルクスでの実験。 EDLCは10Fを使用。  ちゃんと充電が行われている。 といっても、とてもとてもゆっくりとだけれど・・・。

Arduino Nano Everyを試す

 秋月で売っていたAtmega8と、感光基板でエッチングしたArduino互換ボードを製作してみて、次に本家ボードも買って…  と気が付いたら10年が経過していた。  ハードウェア的な観点では、今は32bitMCUの低価格化、高性能化、低消費電力化が著しい。動作周波数も100MHz超えが当たり前で、30mA程度しか消費しない。  動作電圧範囲が広く、単純な8ビットMCUが不要になることはまだないだろうけど、クラシックなAVRマイコンは値上がりしており、価格競争力は無くなりつつある。 そしてコモディティ化により、公式ボードでは不可能な値付けの安価な互換ボードがたいていの需要を満たすようになってしまった。     Arduino Nano Every https://store.arduino.cc/usa/nano-every https://www.arduino.cc/en/Guide/NANOEvery  そんな中、Arduino本家がリリースした新しいNanoボードの一つ。  他のボード2種はATSAMD21(Cortex-M0+)と無線モジュールを搭載したArduino zero(生産終了済み)ベースのIoT向けボードだが、 Nano EveryはWifi Rev2と同じくAtmega4809を採用していて、安価で5V単電源な8ビットAVRボードだ。  Atmega4809はATmegaと名がついているが、アーキテクチャはXMEGAベースとなり、クラシックAVRとの間にレジスタレベルの互換性は無い。   https://blog.kemushicomputer.com/2018/08/megaavr0.html  もちろん、ArduinoとしてはArduinoAPIのみで記述されたスケッチやライブラリは普通に動作するし、Nano Every用のボードオプションとして、I/Oレジスタ操作についてはAPIでエミュレーションするコンパイルオプション(328Pモード)がある。 公式のMegaAVR0ボードはどれもブートローダーを使わず、オンボードデバッガで直接書き込みを行っている。  ボードを観察...

ATmega4809(megaAVR0)を試す

megaAVR 0という新しいAVRシリーズを試してみた。  小さいパッケージなのに、UARTが4本もあるのが気になったのがきっかけ。 登場すると噂の Arduino Uno Wifi rev2  にも採用されるらしい。  簡単にデータシートを眺めてみると、アーキテクチャはXmegaシリーズを簡素化し、動作電圧範囲を広げたもののようだ。  CPUの命令セットはAVRxtと新しくなっているが、Xmegaで拡張された一部の命令(DESやUSBで使われる命令)が削除されていて、基本的に今までのATmegaとほぼ同じだ。  コンパイラからは、先に登場した新しいtinyAVR0, tinyAVR1シリーズと共にAVR8Xと呼ばれて区別されている。  CPU周りを見てみると、割り込みレベルなど、今までのクラシックなATmegaで足りないなと思っていたものがかなり強化されていた。 ArduinoAPIを再実装するとしたら便利そうなペリフェラルもだいたい揃っている。 データシート P6  DMAは無いけれど、周辺機能にイベント駆動用の割り込みネットワークが張り巡らされているのがわかる。  できるだけCPUを介在させない使い方がいろいろ提案されているので、アプリケーションノートやマニュアルを読み込むことになる。 ピックアップした特徴 ・データメモリ空間(64kB)に統合されたFlashROMとEEPROM ・RAM 6kB ROM 最大48kB (メモリ空間制限のため) ・デバッグ専用の端子 UPDIを搭載 ・優先度付きの割り込み(NMIと2レベル) ・ピン単位の割り込み(かなり複雑になった) ・リセットコントローラ(ソフトウェアリセット用レジスタが実装され、リセット原因が何だったかもリセット後に読み出せるようになった) ・豊富な16ビットタイマ(4809では5基) ・16ビット リアルタイムカウンタ(RTC) ・豊富な非同期シリアル/同期シリアル(USART 4ch、SPI 1ch,TWI 1ch) ・内蔵クロックは最高20MHz(PLL)と32kHzの2種類。外部クロックは発振器と時計用水晶のみ ・ADCは10bit 16ch...

GPSアンテナをつくる

GPSアンテナを作ってみた。 1575MHzの波長は約19cmなので、半波長で9.5cmとなる。 GHz帯とはいえ、結構長いものだなぁ。 セラミック等の誘電体がなければ、平面アンテナで真面目に半波長アンテナを作ろうとすると手のひらサイズの面積が必要になってしまう。 普通のダイポールだと指向性があるので、交差させてクロスダイポールにする。 屋外地上局のアマチュア衛星用アンテナの設計をそのまま縮小したもの。 水平パターンはややいびつ 92.2mmの真鍮の針金(Φ=0.5mmくらい)を2本用意して、42.3mmで90°に曲げる。 長さの同じ素子同士を並べて配置する。 (全長が半波長より長い素子と短い素子が交差した状態) 片方をアンテナ信号線、もう片方をGNDにつなげば完成。 実際5分くらいでつくったけれど、果たしてどうだろうか。 今回は、道具箱に眠っていた表面実装タイプのMT3339系モジュールに取り付けた。 アンテナはもともと3x1.2mm程度のとても小さいチップアンテナで、 LNAが入っているけど感度が悪かったのでお蔵入りしていた代物。 最近の携帯機器はみなアンテナに厳しい。 さて・・・ クロスダイポール版モジュールをPCでモニタしたウインドウ(左)と、QZ-Rader画面 東側に建物遮蔽があるので、そちら側の衛星はSNが悪い。 とりあえず補足できた衛星数はシミュレーションされたものとほぼおなじだった。 アンテナの角度をいろいろ振って、逆さまにしてもロストすることはなかった。 セラミックのパッチアンテナレベルにはなったかな・・・。 簡単にできてそれなりに測位するけれど、携帯性は皆無になった。 あと、近接周波数の干渉を受けやすいかもしれない。 GPSアンテナのDIY例としては、QFHアンテナもある。 ラジオゾンデなどで使われている例がある。 いつもお世話になっているQFHアンテナ計算シートのサイト https://www.jcoppens.com/ant/qfh/fotos_gps.en.php ヘリカルアンテナは加工精度の難易度が上がるので、今回はクロスダイポールにした。 GNSSとなると、複数の周波数のために調整されているセラミックパッチアンテナが有利だと思う。 セラミックパッチア...