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UMPCもどきの製作3 構造のくみ上げ


UMPCもどきの2つ目の制作記事からまた半年が過ぎた。

 その間に、RaspberyPi4が国内入手できるようになっていた。が、電力設計などでまだ扱いづらいところがある。アイドル状態で結構温かくなるサードパーティーのヒートシンクを触っていると、専用のPMICが無いRaspiの弱点が目立ってきたように感じる。

 今回はBT接続の小型キーボードのデッドストック品の入手をきっかけとして、唐突にWaveShareのHDMI接続5.5インチOLEDモジュール(Raspi3用)のフレームを作成した。
 その流れを生かし、ハンドヘルド端末として骨組み構造をプロトタイプしてみた。

始まり

 中古で手に入れたキーボードはエレコムのTK-GMFBP029BKという製品。 日本語46キー配列。2012年にiPhone向けの英語配列モデルと同時に展開され、手持ちでライトなチャット入力用途とされていたもの。電源は単四電池x2なので経年劣化は無い。
 これが5.5インチOLEDディスプレイと横幅がぴったりだったので、フレームをつくってハンドヘルド端末を組み立ててみることにした。

5.5インチ HDMI液晶について

 手持ちの5.5インチディスプレイはHDMI接続、かつタッチ部はUSBなので接続対象を選ばないが、基板に直に組み付けられるのはRaspi3系統だけとなる。今確認すると、   Raspi4にも対応し、ケース付きになっている後発品も併売されている。

3Bと4Bを買えばすぐわかるけれど、両者はHDMI端子もだが、LANとUSBコネクタの配置まで異なっており、3B用のHDMI液晶キットは4Bではそのままだと使えないので、購入時には注意だ。

https://www.waveshare.com/product/displays/lcd-oled/lcd-oled-1/5.5inch-hdmi-amoled-with-case.htm
拡散されるとは思ってなかった写真

 フレーム側面にキーボードについていた展開式カバーを模擬した固定ヒンジを設けた。
フラットなキーボード端末を目指していたので、特に折り畳み機構は設けなかった。 バッテリ位置と基板の拡張性を考慮しなければ、PSIONのハンドヘルド端末ライクな形態もとれると思う。 

ディスプレイ部のフレームの横幅は144㎜で、幸運にもAdventurer3で出力できるぎりぎりの大きさだった。このサイズはベッドの僅かな傾きで四隅のうちのどこかの食いつきが悪くなり、一つの隅だけ剥がれて反り上がりが発生しやすい。そのため、1層目の品質を見ながら高さ調整を繰り返すことになった。
 このままでもいいけれど、バッテリを内蔵して持ち運びできるようにしたい。ということで、フレームにM3のジュラコンスペーサを立て、残りの筐体フレームを設計していった。
3回ほどリビジョンアップした後の形状

底部のフレームも何とか出力に成功。PETGなのでPLAよりは柔軟性がある


 最終的に、底部プレート+バッテリ上部のプレート、ディスプレーフレームの3層構造になった。キーボードは10Whのモバイルバッテリの上に乗っかる形で、自由に角度をつけられるようにした。

 筐体設計で考慮したのは、RaspberryPiの端子アクセスと拡張基板の搭載を邪魔しないこと、ばらばらに分解できること。バッテリへのアクセスも同様に解放されていること。入れ替えが効くよう、あくまでコンポーネントを一つにまとめているだけにとどめている。
手持ちした感覚は良好
造形が気に入っている英語圏の電子辞書とツーショット

 ひとまず形にすると、あれこれ改良点や機能追加が浮かんでくる。 すでに耐衝撃端末のようなバンパーをTPU素材でつくってみようとか、オリジナルキーボードをつけようとか、そういうことばかり考えている。ヒトはなぜハンドヘルド端末に心惹かれるのだろう…と、主語を無駄に大きくしながら、コモディティ化した市場とサイズ制限によるギリギリのスペックゆえに生まれる多様性の儚さに思いを馳せるのであった。

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ATmega4809(megaAVR0)を試す

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