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方位・加速度センサ内蔵GPSモジュール LS20126を試す

最近Sparkfunで取り扱いを始めた小さなGPSモジュール、LS20126。
2010年夏現在、本家でしか扱っていないが、
(取り扱ってますね^^)
取り寄せることができたので調べてみた。

2010/07/30更新

<特徴>
このモジュールの特徴を挙げると、
・SiRFStarⅢ内蔵
・3軸加速度センサ
・電子コンパス
・温度センサ
・消費電流 約33mA

金属ハウジングされたチップセット部の横に、T字状に1センチ角のセラミックアンテナが取り付けられている。 合計8つの端子があるが、表面実装用。 側面にも端子は露出しているため、ハンダ付けは問題なくできた。 Sparkfunではブレイクアウトを用意するとアナウンスされている。
SRAM等のバックアップ電池は内蔵されず、外付けとなる。何も付けないと毎回コールドスタートになるようだ。

この小ささと、2DのHDG(電子コンパス)、そして独自フォーマットでセンサ出力をNMEAと一緒に吐き出してくるというのがポイント。 用途によってはデータロガーがこれ一つで完結してしまうかも。

データシート

<組み立て> 
 基板の切れ端を加工して、配線を引き出して使用可能にしたところ。 
バックアップ電池(キャパシタ)はまだ取り付けていない。 
M0 ポジション
  アプリケーションノートによれば、デフォルトではM0ポジションでの使用(写真のように立てて使う)が前提なようだ。 コンパスの向き等はコマンドで配置を変更できるようだ

<センサ出力>
GPSに混じって、PLSRというセンテンスが出力されていた。
方位、磁気、3軸加速度(XYZ)、温度といったデータが出力される。 センサ情報については、更新周期は1Hz。 最大5Hzだが弄る方法は公開されていない。

<電子コンパス>
(追記) 実際にLS20126の電子コンパスを使用してみたところ

 HT-03aの電子コンパスと同じ角度を返したのが、この向きだった。 横に寝かせる。
 2Dセンサらしいので、姿勢が変わる使い方には注意が必要かもしれない。




------PLSRの抜粋-------
PLSR,245,SentenceID,
245,n = センテンスID
n=1 PLSR Compass Measurement Report 1 (Max 5Hz)
n=2 PLSR Compass Measurement Report 2 (Max 5Hz)
n=7 Proprietary Messages for Magnetic Sensor
-----------------------

$PLSR,245,1,157,0,291,35,264,-4,36,0,2*22
n=1 PLSR Compass Measurement Report 1 (Max 5Hz)
 /Direction(deg),
 /Calibration Status(7:complete Auto-calib),
 /Magnetic Field Intensity(0~1000),
 /Acceleration X (-512 to 511, -2.0G to +2.0G),
 /Acceleration Y (-512 to 511, -2.0G to +2.0G),
 /Acceleration Z (-512 to 511, -2.0G to +2.0G),
 /Temperature(Celsius),
 /Mounting Mode (default: 0),
 /Current Calibration Data Status n: vaild 0: not vaild,
 /*Checksum
---------------------------------------------------------
$PLSR,245,2,-1165,3889,538,212,-497,4060,3921,1182,-61*27
n=2 PLSR Compass Measurement Report 2 (Max 5Hz)
加速度センサの生の値?
---------------------------------------------------------
$PLSR,245,7,14,-1,-6*37
n=7 Proprietary Messages for Magnetic Sensor
GPS speed(east),(north,(up),*Checksum

PLSRからは加速度、方位の生の値、温度が得られる。
方位に関してはHDGからも

---------------------------------------------------------
<まとめ>
・SiRF以外の独自センサ等のパラメータをいじる方法は公開されてない
(工場出荷時に設定済み?)
 なので、モジュールは(M0)以外のポジションに設定できないようだ。
・以上の理由でセンサ情報を5Hz更新できるかどうかも不明。
電子コンパスは2Dなので、角度を保たないとダメ?
データシートから読み取れる内容ではそんな感じだった。
・相変わらずSiRFStarIII (という声もちらほら・・・ どうでも良いけど)
 感度は申し分ない。

<用途?>
・GPS誘導ロボットで方位情報を使う。
・カメラのExif情報に現在地、方位、温度等を記録する。
といった用途に使えそう。 
 HT-03Aに内蔵のセンサはほとんど同じ機能と性能を持ってるけど、同じチップなのだろうか。
 ・・・と思ったけれど、個別に加速度等の値を呼び出せるから、多分違うのだろう。
 IO数のカツカツな製作例なら、とても便利なモジュールですね。

参考までに。

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